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第30話

今回は短いです。


「くくっ!イルフェア公爵家のご令嬢は何だか聞いていたの違っておもろいな」


え、えっと。ど、どういうことなのかな?というより、レイアの口調が大阪の関西弁のような....

もしかして、レイアの本性がこれ(..)なの?!

頭の中で混乱していたらそんな私を見てレイアはニヤリと笑って耳元で囁いた。


「顔に出てるで。この話は後で話すから___一緒に教室に向かいましょうか。折角私が道を知っているのに遅れてしまっては大変ですから」


何事も無かったかのように微笑むレイアを見て何も言えなくなった私は口を噤み頷いて見せた。確かに速く教室に行った方が良いだろう、ヒロインであるフローラの最初のイベントがあるのだ。初日で迷子になってしまい遅れて教室にやってきたフローラがクラスのみんなに注目されてしまうシーンだ。そこで同じクラスのアルトと担任の先生である『ノエル』に興味を持たれ悪役令嬢であるリラに目を付けられることになるのだ。とはいえ、元々私はいじめなんて大嫌いだし、するつもりもないので悪い子じゃなければ、悪役でもヒロインと仲良くなれないかなと思っている。少し思ったんだけど、先生との恋って良いのだろうか?こっちではどうなのか分からないけど、あっち(日本)では禁断の恋になるのに....


「___そう、ですね。速く教室に向かいましょうか」

「ふふっ。では、案内いたしますわね。__ローゼリラ様」


動揺をなんとか堪え、公爵家の淑女らしく優雅に微笑んでみせるとレイアは面白そうにくすりと笑い教室へと足を進めるのだった。イベントのことを頭の隅に留めておいて今は歩を進めながら学園の窓からとても素晴らしい中庭を横目で鑑賞するのだった。


***

やはり学園はとても大きかった。もしかしたら王宮と同じくらいの大きさなのではと思ったほどだ。レイアに案内してもらわなければ、確実に自分も迷子になっていただろう。私はぐるりと教室を見回すと男女で隣なのではなく、親しい友人と固まって座っているのでどうやら席は自由のようだ。私は周りからの視線を感じながらもスルーしてレイアと窓の近くの席に隣り合って座った。席に着いて少しすると、先生が入ってきた。


「やあ、初めまして。このクラスを担当することになったノエル・ジェントだよ。私は主に魔法の研究をしているから魔法で分からないところがあったら放課後に聞きにくるといいよ」


そうやって先生の自己紹介から早速ホームールームに入ろうとしたときだった。突然大きな音をさせてドアが開く、そのドアから入ってきたのはやはり彼女だった。

私が寮の薔薇園で見かけた乙女ゲームのヒロイン。フローラ・カディユ、幼い頃孤児院から引き取られたカディユ男爵家の養子だ。


「先生!遅れてすみません!!」

「えっと、お前は...?」


溜息を付いてしまいたくなる程、ゲームの台詞と今現実で先生とフローラが話している台詞が一致している。ここまで同じだと逆に不気味に感じてしまうが、ゲームのスチルで遅れてきた主人公を描いたものがあるのだが、その光景まで同じだ。....どうしてここまでゲームと一致しているのだろうか。


「そう、この学園は広いから迷う生徒はよくいるから構わないよ。それじゃあ、その跳ねてる髪を直してから席に着いてね」


フローラは指摘されて少し頬を染め、慌てて手ぐしで髪を整えると席に座った。その仕草は可愛らしくとても庇護欲をさそるようなものだ。いきなり、可憐な美少女が現れたため男性陣がなんだかざわついているようだ。だが、アルトは動じていなかったところが少し気になった。そして、ホームールームも再開したのだが、席に着く時フローラが私のことをまるで親の仇を見るような目で私を睨んできたのだが、どういうことなのだろう。

わたしはこの時点では物語でも絡んではいなかったはずなのだけど。__もしかして転生者?

私は小さな可能性を感じたけれど、自分であり得ないと思いそのことは除外した。


___だって...乙女ゲームの世界に悪役転生した主人公とヒロインに転生した人の絡みだなんてまるで王道の物語のようだ。現実味が無いと思う。


しかし、私は忘れていた。この世界は魔法がある時点で非現実的だということを。


***

どうして、どうしてうまくいかないのよ!!!

おかしいわ...全てが完璧にうまくいっていたはずなのに。薔薇園のときもだったけど、アルベルト様の態度も何だかおかしいし。だいたい、悪役のローゼリラは金髪碧眼でうざったらしい巻き毛くるりと巻いてあるような容姿だったのになんで全然違うの?!

『ゲーム』では遅れてきたヒロインを蔑んだ目で鋭く睨みつけてくるのに全然そんなそぶりも見せなかった。おまけに私に付くはずだった『サポートキャラ』まで味方に付けているし、本当に苛つくわ。

フローラは暗い寮の部屋でぎりっと爪を噛む。


「でも、私の邪魔をするなら容赦しないわ」


だって、この世界は私が主人公なんだもの。私が愛されないのはおかしいわ!!


この世界は私が一番に愛されなければいけないの!!悪役はさっさと自分の仕事をして国外に追放されてしまえば良いのよ!!


___うふふっ!あはははっ!


暗闇で響く狂ったような声を聞き届けるものがいた。


「...彼女は主の敵か。警戒していた方が良さそうね」


そして、瞬きをするよりも速くその影は最初からそこに何もなかったかのように跡形もなく消え去った。

主人公の名前を変更しました!詳しいことは活動報告に書こうと思うのでよろしくお願いします。

あと、これから高校の試験勉強があるため、入学まではおそらく書けません。

ご了承下さい!!

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