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第29話

この学園は毎年、沢山の人が入学するのでそれぞれの科で分かれてそこからクラスを作るようだ。なのでクラス表が作られている。

だけど、見えないーー。どう頑張っても見えないのだ。

___本当はシルクに飛んでいってもらって見てもらえば、一発だったのだがこのときはそのことをすっかり忘れていた。

なので私は最近全く伸びなくて気にしている低めの背を精一杯伸ばし、クラスの表を見ようとしていたが。これが前の人の背が高くて全く見えないのだ。

もう少し待ってから見ようかなと思い始めた時だった。いきなり後ろから肩を叩かれたのだ。


「ひゃぁ!」

「あ、ごめんなさい」


私は驚いて思わず少し大きめの声を上げ、仰け反り振り返った。そこにはまるで炎のような綺麗な赤の髪を後ろで纏めており、オレンジの瞳からは活気そうな雰囲気が漂う少女が私に手を伸ばしている状態で立っていた。その少女はここまで驚かれるとは思っていなかったのか、申し訳なさそうな表情をしていた。ここまでの過激反応をした私は恥ずかしくて頬が少し熱くなった。

____うぁーーーー!恥ずかしいよぅ。



「え、えっと。貴女はローゼリラ嬢で合っているかな?」

「え、えぇ。そうよ。わたくしはローゼリラ・イルフェアと申しますわ」


いきなり聞かれて戸惑ったもののお母様の教育のおかげで咄嗟に令嬢モードで返すことが出来ていた。お母様、あの鬼のような訓練が役に立ちました!私の脳内ではあの苦労した日々が流れていたが、ところでどうして私のことを知っているのだろうか。私はあまり社交界の中ではあまり有名ではないはず、いやある意味有名なのかもしれないが。

__それもこれもすべてお父様の所為である。

お父様は私をあまり嫁に出したくないようで公爵家ということで小さい頃から縁談は来ていたのだがことごとく潰してしまい、更に出会いの場とも社交界でも王族からじゃない限りお父様はあまり私を社会に出さないため、社交界では『謎の病弱深窓令嬢』と言われている。...実際は病弱どころか冒険者までしている全く令嬢らしくない令嬢なのだが。


「貴方はどなたですか?」

「私はレイアというの。クラス表が見えなくて困っているのですよね」

「えぇ。もうちょっと人が少なくなってから見ようと思っていたのですけれど___難しそうですわね」


そういいながら人混みを見ると減るどころか少しずつ人の数が増えてきた。これでは待っている間に一番最初の授業で遅れてしまいそうである。困ったように人混みを見つめているとレイアさんは楽しげに笑っていたので不思議に思い聞いてみたらぱちりとオレンジの瞳を瞬かせて、もしかして知らないのですか?と逆に聞かれてしまった。


「?何のことでしょうか?」

「この学園では成績優秀者の順にクラスが割り当てられているんです。それに加えてリラニャルート嬢はあのアルベルト王子を抜いて主席合格したと聞いています。なので必ずクラスはSクラスになるんです」


そんなの私初めて知ったよ?!はっ!もしかしてあの陛下の甘ったるい笑みはそうゆうことだったの?!

あのアルトを差し置いて主席で入学した私に笑っていたの??やっぱり陛下って性格悪い気がするよ。

ここはアルトが陛下の影響をあまり受けていないことに思わず内心ほっとした。陛下に言ったらなんかいじられそうな気もしなくもないが...


「私も成績優秀者ということでSクラスなんですよ。一緒に教室に向かいませんか?」


思ってもいなかった申し出に私は笑って頷いた。この学校はこの国で一番大きい学校なだけあって、物凄く広い。新入生は道が分からなくなり最初の授業で遅刻してしまったり、移動教室の時に場所に辿り着けないというのがある意味、伝統になりかけてしまうほどである。


「本当ですか?ちょうど教室の場所がよく分からなかったので嬉しいです」

「この学校広いですからね。私もここに来たときにお城かと思いましたから」

「ふふっ。本当に大きな学園ですものね。あ、わたくしのことはリラと呼んで下さいね」



レイアはくすりと笑うリラを見て目を瞬かせ驚いた。貴族というのはあまり感情出さず、悪い貴族は平民から税を絞りとってしまうというのが自分の貴族のイメージだったからだ。しかし、リラは私が平民だと知っても態度は変わらず貴族にもこんな人がいるのだと、自分の考えを改めた。とはいっても、本当はリラの方が貴族からかけ離れている所為でもあるのだが。しかし、レイアは口元をニヤリと歪ませるとリラに近づいて、耳元で呟いた。



「それならリラ。うちのことはレイアと呼んで欲しいな、これからほなよろしゅうな」


「えっ!?」


思わずリラはレイアを見るがにこにこと笑っているだけで空耳だったのかと思ってしまう。しかし、そんなことはないはず__と思案していたが、少し楽しげ呟かれた声で考えが変わった。


____空耳じゃないで。


思わず目を見開いて驚く私を見てレイアは面白そうにニヤリと口元を歪ませていた。



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