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第26話

ここがバルシリア魔術学園___。

学園へ行くための道には、この世界には珍しい『桜』が植えられていた。その美しさからか私の他にも立ち止まり見惚れている人々がちらほらいた。


なんて素晴らしい桜なの_。


故郷を思い出し胸の奥を突き刺すような痛みを感じる。駄目よ、私はもうあの世界に未練などないのだから。

一瞬浮かび上がった優しい声を首を横に振ることでかき消した。


「お嬢様?どうなされたのですか?」


心配そうに顔を覗いてくるフィナを見てはっとする。いけない顔に出してしまったか、私も令嬢としてまだまだだな。私はまだ心配そうに見つめてくるフィナに大丈夫よと応えた。


「何でもないの、フィナ。そろそろ、女子寮に向かいましょう?明日のために支度をしなくては」


フィナは少し訝しげにしながらも大切なお嬢様のために更に問い詰めるのは止めた。

それがお嬢様のためならば__。


「_お嬢様の仰せのままに」


追求してこないフィナに私はどこかホッしながら考えたもうあの世界のことを考えるのを止めようと。

どうせ手を伸ばしても声を出しても向こうには届かないのだから___。


そうして私たちは女子寮へ向かうのだった。


***


しばらく歩いているとシルクはふわりと姿を現した。こうやって、隠れてもらっていたのは念のためだ。シルクの話では精霊の姿は本人が姿を見せたいと思った相手にしか見えないのだ。

実際に隣で半歩後ろで歩いているフィナにはシルクの姿は見えていない。だけど、魔力の扱いに長けているものや精霊と契約を果たしているものには精霊の姿が見えることもあるのというのでひとまずシルクに隠れてもらっていた。


『なかなか綺麗な所ねぇ~、私が見てないうちにこんな建物が出来ていたのね』


__あれ?シルクは知らなかった?この学園はだいぶ前からあるって聞いたことあるけど。


『私は今まで精霊の森に住んでいたからあまり人間のことは、知らないわ。そもそも関わろうなんてしてこなかったもの。ただ、私のように人間の姿に変化出来ない下位精霊は稀に人間が食べているお菓子とかを悪戯で持って行っちゃう子もいるわ』


そのお菓子って私がお菓子を作ろうと固く決意した原因のお菓子だよね....田舎の方ではまだこのお菓子が主流のようだ。はっきり言うと、日本の縄文時代で食べられていたような、どんぐりのクッキーである。それに『精霊の森』って、確か精霊達が住むとても神秘的な森で少し前にキルフが精霊の森とはその美しさからかこの世界を見守っている神々に会えると言われていて精霊にしか、その場所は、分からずまさに伝説の森なのだということを聞いたことがある。シルクが行ったことがあるなら今度シルクと冒険者として、行くときは精霊の森に連れていって欲しいな。


『?いいわよ、ここからだと少し精霊の森に行くためには遠いわよ?それでいいなら今度案内してあげるわよ』


__いいの?


少し上を向いてシルクを見つめた。本当にいいのだろうか?精霊にとっては私は邪魔になるんじゃないかな。


『えぇ、それぐらい大丈夫よ』


__ありがとね。


ほんの少し頬を緩つつ、寮に辿りついた。それにしても流石王立の学園というところか設備も整っている。

そういえば、私のルームーメイトは誰なんだろうか?まだ見ていないけど、優しい人なら嬉しいなぁ。


「フィナ、後の片付けはあなたに頼んでもいいかしら?」

「はい、分かりましたわ」


フィナは深く礼をして、荷物を整理し始めた。私は寮のまわりをよく見ておこうかな、それで迷子になったら意味ないけどね。


「私は寮の周りをみてくるわ。夕方になったら帰ってくるから」

「しかし、護衛も連れて行かないと」


フィナは危ないからと心配しているようだが、こちらには力強い友達がいるのだ。私に手をだそうというものなら怒り狂ってまでして相手を倒してくれるだろう。

それに私だって魔法が使えるのだからある程度自分を守ることは出来るのだ。

シルクのことは言わないでこのことを話したらやっと了解してくれたのだった。


***


私が向かった先は寮にある薔薇園だ。この情報は母様から聞いたことだ、寮にはとても素晴らしい薔薇園があるのだと。実をいうと、寮に行きたかった理由はこれなんだが絶対に父様にはいえない。

寮に行きたかった理由を聞いたら絶対に薔薇を用意して家に戻ってこいと言われそうなのだ。初めて父様を見たらとてもかっこいい人だと思っていたのに私や母様が関わると残念な人になってしまうということが最近分かったのだ。

家を出る時の寸劇を思い出し、くすっと笑いながらも薔薇園へ歩を進めた。



「ここかしら?」


目の前の薔薇園を見つめた。そこには、色とりどりの薔薇が咲いており、とても大事に育てられているのが私にも分かった。

周りを見回して薔薇の香りを楽しみながら次のお菓子を考えた。そうだなぁ~~、次は薔薇の香りをつけたパウンドケーキを作ろうかな?リラの頭の中は既にお菓子のことでいっぱいだったのだが、薔薇園の中から聞こえた聞き覚えのある声を聞いてリラの思考はぶち切られた。




遅くなってすみませんでした。感想に書いてもらったアドバイスを元に今回からパソコンで投稿することにいたしました。アドバイスをして下さりありがとうございました!

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