第25話
「そのぉ、お嬢様。帰っても宜しいのでしょうか?」
「リラでいいよ。皆そう呼ぶし」
「で、でも。………分かりました、リラ様」
様は、無しでいいのに。様なんて呼ばれてると慣れてなくてむず痒いんだよね。フィナのお嬢様呼びは、もう直せないから諦めてるんだけど。これから学園に出たら様付けなんてよくあることだから今のうちに慣れておかなくちゃな、と思いながら少し冷めてしまったフィナが入れてくれたハーブティーを一口飲んだ。
「リラ様、私と娘を借金取りから守って下さり本当にありがとございました。この御礼は、いつか必ず返させてもらいます」
「うぇ!?そ、そんな!いいよ。私、ちょうどギルドの依頼を受けようとしていたらうるさい人たちがいたからそれを倒しただけだから」
「ですが……」
シェリアは、困ったように眉を下げた。御礼をどうすればいいのか迷っていた。私には、夫と自分。そして、この一番下の娘と少し上の王都の学園に明後日から通うこととなる娘が1人いるだけだ。流石に家族を差し出すのは、躊躇った。
「お嬢様。学園に通う準備が整いました」
「うん、ありがと。それじゃあ、明後日宜しくね」
「はい、勿論でございます」
「え、学園ですか?もしかして王都の『バルシリア魔術学園』のことですか?」
「?そうですよ?」
「そのぉ、実はその学園に今年から入る娘がいるんですが…娘と友達になってあげてくれませんか?」
あ、そういえば……あの学園って平民も通えるんだった。単位制で三年間学ぶことができる学校で何より有名なのが『平民でもそれなりの学力があれば入ることができる』ということだ。それよりも私が気になる事はその子が私と同じ学科であるかどうか、なんだだけど……。
「でも……私は、魔法科なので学科が違うとあまり話すことが出来ないと思うのですが……」
学科が違うとあまり話すことができないので私としては、できれば同じ学科がいいんだけどもともと貴族には魔力が多く、平民は魔力の量が少ないので魔法を使える人が少ない。だから、平民のほとんどは、魔法科に入らないのだ。
「あぁ、その件なら大丈夫です。私の娘は、魔法科の試験に受かっておりますから」
「え、魔法使えるんですか?」
「はい、私は、使えないのですが……夫が冒険者なもので魔法を扱うことができるんです。それで父の力を受け継いだのか上の娘だけ魔法が使えるようになっていたんです」
「あとは、同じクラスになればいいだけかな?」
「そういうことになりますね」
まぁ、私もちょうど女の子の友達が欲しかったからいっか。まさか、助けた相手がフィナの知り合いだとは思わなかったけど。フィナもシェリアさんさんと会えていつもはあまり表情を動かさないのに今は、嬉しそうに微笑んでいた。
その後、シェリアさん達親子は、名残惜しそうに帰って行った。まだ、フィナと色々と話したかったようだが、そろそろ外が暗くなり始めていたので今日は、帰ってもらうことにしたのだった。その時に娘さんの特徴を聞いておいた。聞いておかないとどんな子なのか分からないからね。私は、新しい友達が出来ることが嬉しくって学園に行く日を楽しみに待つのであった。
学園で大変なことに巻き込まれてしまうこととは知らずに……。
□■□■
「ふふっ、ここがあの『ゲーム』にあった学園ね!」
そこには、学園の桜並木の中、つい目を惹かれてしまうような美少女が立っていた。しかし、他の人が聞いても分からないことを話していた。
「この世界は、私のためにあるのよ?『悪役令嬢』なんか捻り潰して『攻略対象』と逆ハーレムを築いてみせるわ!うふふっ」
目は光がなく黒く濁っている目をしている少女は、狂ったように笑いそこに異質な光景を作り出す。
___うふふふっ、あははは!
そして、狂った歯車は止まることを知らず周りを巻き込みながらも少しずつ回り始めていたのだった。
ここから2章に入り、学園編となります。ここまで見てくれた皆さま!本当にありがとうございました。おそらくここから親にスマホを取り上げられるので小説を書けなくなり投稿が途絶えてしまいますがご了承下さいませ。中途半端にしたくなかったという駄作者の我儘なので本当に申し訳ありません!




