第22話
「………へ?」
目の前で言われたことが衝撃すぎて思わず固まり気が抜けたような声を出してしまう。そんなことより今、なんて言った!?婚約してほしいって嘘だよね!?
「あ、今言ったことは本気だよ?」
「はぁぁぁ!?アルト君、本気で言ってるの!?」
「うん、本気だよ。リラ、僕の婚約者になってくれないかな?」
もう一度繰り返すように言われた言葉に身体の温度が上昇していくのを感じる。
前世では、恋人はいたけどこんな風に言われたのは初めてだよ!?
「な、なんで突然!しかも婚約!?」
「リラ、顔真っ赤だよ。それと少し落ち着いて」
そう言われて頑張って落ち着こうと試みていたらアルト君は、跪いた状態から立ち上がりながらくすくすと笑っていた。誰のせいでこうなったと思っているの…。私が恨みがましい目で睨んだ。少しの間、アルト君は、笑っていたけどすぐに真剣な表情に戻った。
「あのね、僕。初めて会った時から君のことが好きなんだ」
「う、嘘!?」
「嘘じゃないよ」
困惑してアルト君のことをじっと見ていたらすっとアルト君の手が伸びる。そして、アルト君の手が腰に伸びてギュッと抱きしめられた。
「あ、アルト君!?」
「ねぇ、リラ。そのアルト君っていうの止めて?」
「……えっ?」
私はその言葉に目を見開いた。そんなことを言われるとは思わなかった。それに昔から君付けだったし。
「アルトって呼んでよ」
「……ひゃぁ!?」
耳元で喋ってきたので私は、思わず悲鳴をあげた。というか、アルト君はいつの間にこういう色仕掛けみたいなのを覚えたの!?恥ずかしいよぉ〜。若干涙目になり始めていた私は、早く終わらせるために羞恥を我慢して名前を呼びかけた。
「……あ、アルト?」
「…破壊力ありすぎる…」
何故か真っ赤だし…。手で赤くなった顔を隠しながら何やら呟いたようだけど私には、よく聞こえなかった。
「アルト、どうしたの?」
「ううん、なんでもない。そうだ、リラに渡したいものがあるんだ」
「?なぁに?」
いきなり話を変えてきたので不思議に思い首を傾げた。それに渡したいものとは何だろうか?頭の中が疑問符でいっぱいになっているとアルトは、綺麗な金の刺繍が入っている服の胸元から小さな箱のようなものを取り出した。
「リラ、後ろに向いてもらっていい?」
私は、アルトの言われた通りに後ろを向いたくと、何かをひやりとしたものが首元に当たった。何だろうと思い手に取って手のひらに置いて月明かりに照らして見てみた。そこには、月明かりに照らされて光るコスモスのような飾りがついた首飾りで私と同じオレンジのような琥珀の宝石がキラキラと揺れていた。
「綺麗…。これは、私の瞳の色だよね」
「そう、受け取ってくれないかな?」
私が小さく頷くとアルトはすっと近づいてきた。驚いて肩が大きく揺れてしまったが、その瞬間言われた言葉に私は、顔を林檎のように真っ赤に染め上げた。
「告白の返事は後で良いから…」
______と。
私達は、その後お父様の所へ戻った。私は、その間全くアルトの顔を見ることが出来なかった。私は、顔をほんのり赤く染まらせていた所為で自分の親たちが集まって会議をしているとは知らずに…。
うう〜っ!そういえば、告白の返事を考えなくちゃいけないんだったよー!ど、どうしよう!?
私が部屋に戻ってベットの上で悶えていたのを侍女さんに怪訝な顔で見られたのは、恥ずかしい黒歴史だ。




