夢想封印 槍
「くっ……。あれ? 痛みがない?」
雷月の攻撃で間違いなくやられた。と思ったんだけど
目を開く。すると、結界も氷の壁もすべてなくなっていて、
霊夢が黒焦げになって立っていた。
「霊夢!?」
「だから言っただろ? 無駄だと」
まさか。霊夢が私たちに来る攻撃を一点に引き受けた?
「『雷月。やりすぎだ』」
ちょっ。氷雨。私の体つかって喋らないでよ。
あたりを見る。すると、神社はすべて吹っ飛んでいて跡形もなく、霊夢の親戚3人たちも私と同じく無傷だった。
「ふん。氷雨。我々妖刀が力を振るってどこに問題がある。それにな。わたしはこの数ヶ月、メイドとしてこき使われたんだ! その恨みがあってもおかしくないだろ!」
「雷月」
霊夢の声が響く。そして、
「夢想封印」
七色の光が霊夢から出てくる。
「は。夢想封印か。それはもう効かん。魔法も使うようになったわたしは無敵だ」
「槍」
「は?」
霊夢の言葉と同時に7つの7色に光る夢想封印の玉が霊夢の右手に集まって。握りつぶすように右手を握ると、7色に光る槍へとなる。
「な、なんだそれは!」
雷月はうろたえるが、すぐに雷の槍を作りだし、
「雷神搶」
雷月が雷の槍を投げる。それを見て、私は、氷の槍を作りだし、
「氷神搶!」
同じように投げて雷の槍にぶつける。
「なっ。氷雨、パクリか」
「夢想封印 槍」
霊夢は槍を雷月に向かって投げつける。
「や、やめろ!」
高速に飛ぶ槍は雷月の腹を突き刺さり、光と共に雷月の体が刀に戻って、カラン。という音と共に地面に落ちる。
そして、霊夢が倒れる。
「霊夢!」
僕は妖刀モードを解除して霊夢に近寄る。
「霊夢。霊夢!」
霊夢の体を揺する。けど、全く動かない。
「アキラ。永遠亭に運ぶぞ」
「うん。でも、迷いの竹林が越えられるか……」
「な、なぁ。紫さんに連絡するか?」
霊夢の親戚、名前は確か……。八雲霊夜だっけ? が、そんなこと言ってくる。
「え? 連絡取れるの? あの人、連絡方法がないって霊夢が言ってたけど」
「ああ。できるぞ」
「じゃあ、お願い」
「わかった」
霊夜が携帯を取り出して電話をする。すると、すぐさまスキマができて。
「ちょっ。神社が跡形もないじゃない」
「紫さん。霊夢を永遠亭にまでお願いできる」
「わかったわ。アキラ、すぐに詳しい話を聞かせて」
「うん」
スキマが霊夢の真下にできて、飲み込まれていく。そして、紫さんは別の隙間も開くと、永遠亭が映る。
「永琳。霊夢の治療をお願い」
「ちゃんとベッドにスキマをつなげなさい。床に落ちたわよ。優曇華!」
「は、はい。師匠」
紫さんは軽く息を吐く。そして、
「さて、説明してもらうわよ。アキラ。はっきり言って、神社が吹き飛んだなんて、最悪の事態よ」
「うん。実は……」
僕は雷月の仕業だと話す。そして、夢想封印 槍。を放った。というと、
「霊夢が夢想封印 槍を使った!?」
え? なんでそんなに驚いて?
「霊夢には使えないと思ったのに………」
「紫さん。なんでそんなに驚いているんです?」
霊夜が聞くと、紫さんは少し考え、
「まぁ。別に、話してもいいわね」
紫さんは軽く頷くと、
「夢想封印 槍。というのは博麗に代々伝わる技よ。別に特別なものではないわ」
「え? でも、今まで霊夢が使ったところ見たことないですよ?」
「そりゃそうよ。私はあの子には向いてない技だと思って存在自体教えてないもの」
「向いてない技?」
「博麗の巫女も人間よ。向き不向きがあるわ。あの子の気質は、夢想封印の武器系統は合わないと思った。それだけの事よ」
「武器系統?」
「ええ。夢想封印はさまざまな種類があるわ。それはアキラも知ってるわよね?」
「えっと。集とか散とか?」
「そう。その中に武器系統っていうのに分けられるものがあるんだけどね。剣とか、槍とかね。霊夢はそれに向いてないのよ。だから特訓しても使えないと思ったから教えなかったの」
「なるほどね」
「しかし、この神社が壊滅。というのはまずいわね……。異変が間違いなく起きるわ」
「異変が?」
「ええ。アキラ、悪いけど、霊夢が全開になるまで、博麗の巫女の妖怪退治の仕事。任せていいかしら?」
「何をすればいいんです?」
「霊夢のマネ。異変が起きたら現況を懲らしめればいいのよ。詳しい話はまたあとで」
「わかった」
「ちょっと神社の修復の方法でも考えるわ。それとあなた達。悪いけど、一度家に帰りなさい。ちょっとやばいことになったから」
スキマを開く紫さん。
「わかった」
まず、霊夜がスキマに入る。
「ごめんなさいね」
「いいよ。神社の修復。手伝えることがあったら言ってくれ」
「わかったわ」
「アキラさん。頑張ってください」
「また……ね」
2人も隙間に入ると、スキマが閉じる。
「じゃあ、あたしも行くわ。お願いね」
紫さんもスキマの中に入って、スキマが閉じる。
とりあえず、今のところ完成している第二章はここまでです。
できる限り早く次を書きたいとは思っています。




