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東方妖刀録  作者: 雨月
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後日談3

 冥界。


「やっぱり枝垂の孫だったわけね」

「やっぱりってことは。幽々子様。わかっていらしたんですか?」

「ええ。だってアキラ、枝垂の若い時にすごいそっくりなんだもの」

「そうなのですか」


 妖夢さんと幽々子さんがお茶を一口飲む。そして、


「それで幽々子様。陰陽師家とは一体何なのですか?」

「ふむ~。ま、アキラも知っていなければならないことだしね。紫も今、療養中だって話だし。代わりに話しますか」


 幽々子さんは一度目を閉じる。そして、


「陰陽師家。というのは最強と言われた陰陽師の一族のことよ。自ら陰陽師という職業を名字にしてあえて陰陽師を嫌う妖怪たちから襲われることを選んだ戦闘狂一族よ」


 戦闘狂……。


「一族の特徴は敵とみなした人間は、例え親であろうと、恋人であろうとも容赦することなく殺す。という気質。これが陰陽師家を最強としての仕上げた力」

「親であろうと恋人であろうと……」

「ええ。といっても代を重ねるごとにその気質はどんどん薄れていっているみたいだけど。枝垂はなぜかその気質が色濃く出ているみたいね」

「なるほど。アキラさんが戦闘系の才能にあふれていたのは陰陽師の一族だからなんですね」

「ええ。魔法の才能も。剣術の才能もね。本当に恐ろしい一族だわ。陰陽師家」

「………」


 いつか、霊夢と敵対してしまった時。僕は霊夢を……?


「アキラ、ご心配なく」

「え?」

「あなたの陰陽師の気質は本当に薄まってきています。たとえ霊夢と敵対しようと殺すようなことはありません」

「で、でも。僕は藍さんを」

「だって、アキラ、藍のこと知らなかったんでしょう? それに比べて、枝垂のときは治療までしようとしたじゃない。その違いはなに?」

「え? それは……」

「知り合いかどうか。じゃないかしら。血が薄まったおかげで。知り合いにはその気質が出にくくなっているのじゃない?」

「なるほど。ありえますね」


 幽々子さんの言葉に妖夢さんがうなづく。


「そうですか……」

「だから心配しなくてもいいと思うわよ」


 本当にそうなのかな……。

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