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東方妖刀録  作者: 雨月
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VS陰陽師枝垂2

 くっ。強い……。

 じいちゃん。強すぎる……。

 勝てない……。


「終わりじゃよ」


 刀が首筋にあてられる。

 私が死んでも、せめて霊夢だけでも、逃がさないと……。

 直後、僕とじいちゃんの間に金色の髪と黒いとんがり帽子が見えた。


「え?」

「マスター」


 そのとんがり帽子はじいちゃんのほうに何かを向けていた。


「魔理沙……?」

「スパーク!」


 極太のレーザーがじいちゃんに放たれる。


「助けに来たぜ、霊夢。アキラ」

「ま、魔理沙。どうやってここに」


 霊夢が尋ねるが、


「質問は後だぜ。あたしのマスタースパークを軽々とよけやがった」


 あのタイミングでよけるなんてじいちゃん、すごいな~。


「なかなかいい技だったぞ、お嬢さん。よければ名を聞かせてもらえるかな? わしの名は陰陽師枝垂。そこのアキラの祖父じゃ」

「霧雨魔理沙。普通の魔法使いだ!」


 手に持った八卦炉を向けながら名乗る魔理沙。


「普通の魔法使い……。と、名乗る。ということは、魔法を使う人間。といったところかの?」

「そうだぜ」

「しかし、お嬢さん。どうやってこっちに来たのかな? ここには、わしだけではなく、紫や藍も結界を張ったのじゃぞ」

「へっ。そこで転がってる紫の娘を名乗るやつが、もともと置いてあった小さなスキマを広げてくれたんだよ」

「……メリー……が?」


 紫さんが起き上がりながら言う。


「ああ。かなり苦労して広げてたからな。おかげで時間がかかってしまったぜ。まぁ、間に合ったからよしとするか」

「ふむ。あの子か……。だがの、たとえ、女子おなご1人増えようが、わしは止まらんぞ」

「誰が1人だって言った?」

「なに?」


 じいちゃんは何かに気付いたような表情をすると、後ろに数歩下がる。すると、そこに真っ赤な槍が落ちてきた。


「ちっ。あれをよけるのね」

「お姉様が下手なだけでしょ」

「そんなわけない」

「そんなこと言ってないでさっさと次の準備しなさい」


 はるか上空にレミリア、フラン、パチュリーさんがいた。あの槍はもしかして、スピア・ザ・グングニルっていうやつかな? レミリアのスペカの。


「ふむ。吸血鬼と魔法使いか。さすがは幻想郷だの」


 次の瞬間、じいちゃんの周りに無数のナイフが宙を浮いた。


「むっ」

「お嬢様に手出しはさせない」


 咲夜さんも現れる。


「今、何かがずれた感覚がしたの……。時を操る能力かの?」


 え? 一瞬で咲夜さんの能力を把握した?

 じいちゃんの周りのナイフが動き出す。が、雷の刀ができて、それを思いっきり周りに振り回すことでナイフをすべてはじいた。


「咲夜! 早く戻りなさい!」

「はい」


 咲夜さんの姿が消え、レミリアのところに現れる。


「素晴らしい。時を操る能力とは。是非とも使ってみたいが、容量が大きすぎるかの……?」


 咲夜さんのほうをみながらいい、飛ぼうとする。直後、光る蝶があたり一面に現れた。


「むっ。反魂蝶。いかん」


 直後、衝撃波が起きて、光る蝶がすべて消滅した。


「あらあら。久しぶりなのだから、少しは喰らってくれてもいいじゃない」

「久しぶりも何も、一度も喰らったことないぞ?」

「久しぶり。というのは、会ったことを言ったのだけど?」

「そういう風に聞こえんかったのじゃよ、幽々子」

「そう。それならば、そういう意味でとらえてもらってもいいわ。あんなにかわいらしい子供だったのに、こんなしわくちゃに……」

「人間は歳をとり、老けていくものなんじゃよ。妖怪と違っての」


「あらあら。妖夢、あなたの祖父の剣術を使うらしいわよ。覚悟しなさい。しっかりと私を守って頂戴ね」

「お任せください、幽々子様」


 幽々子さんと妖夢さんが現れ、妖夢さんが幽々子さんを守るように前に立つ。


「ふむ。妖忌の孫か。なるほど、まだまだ未熟じゃと嘆いたのがよくわかる」

「そうよ。妖夢はまだまだ半人前なの」

「ちょっ。幽々子様!?」

「でも、半人前だからこそ、私を全力を尽くして守ってくれているわ」

「幽々子様……」


 じいちゃんが妖夢さんに手を向ける。そして暴風が吹いて妖夢さんがよろける。


「むっ」

「隙だらけじゃよ」


 一瞬で妖夢さんにじいちゃんが近づくと、雷の刀を振るう。


「通じませんよ!」


 妖夢さんはそれを避けて、刀を抜いて振り下ろす。


「ふむ。未熟とはいえやるの。あと、245年といったところかの?」

「なにがだ!」


 妖夢さんが刀を連続で振る。じいちゃんはそれをすべて雷の刀で防ぐ。


「妖忌を追い越す年代じゃよ」


 次の瞬間、妖夢さんの腹に蹴りが入り、飛ばされる。


「隙だらけだ!」


 その隙に誰かがじいちゃんを後ろから羽交い絞めにする。


「むっ」

「永琳! 輝夜! 私ごとやれ!」


 それは妹紅さんで、空に向かってそう叫ぶ。その方向を見ると、輝夜さんと永琳さんが空に浮いて、じいちゃんをみていた。


「なんじゃと!? 気でも触れたか」

「そう。じゃあ、遠慮なくやらせてもらうわね」

「傷の手当ぐらいはしてあげるわよ」

「難題『龍の頸の玉-五色の弾丸-』」


 輝夜さんのスペカが発動し、いくつもの弾幕が飛ぶ。そこにさらにその隙間を縫って永琳さんの矢が放たれる。


「むうん」


 じいちゃんの全身に雷がまとまりつき、妹紅さんに電気を与え続ける。


「ぐぅぅ」


 そのすきにじいちゃんが妹紅さんの拘束から抜けて矢や弾幕をよける。

 そしてその矢や弾幕がすべて妹紅さんに当たった。


「しまった」

「あら。この程度も回避できないの? 妹紅は」


 ちょっ。輝夜さん。なんでこんな時に妹紅さんに喧嘩売ってるんですか!


「す、すまぬ、お譲ちゃん。間に合うかわからんが、今すぐに治療を」


 じいちゃんは矢が何本も刺さり、弾幕をいくつもあたって倒れている妹紅さんに近づく。


「リザレクション」

「むっ!?」


 妹紅さんから真っ赤な炎が出て、それが巨大な火柱に。

 じいちゃんは火柱が立つ直前に下がって火柱を回避した。


「これは……?」


 妹紅さんが火柱の中で平然と立ち上がる。


「妖術の炎……。それは良い。じゃが、なぜ死んでおらん? あの矢は急所を貫いていたはず……」

「はっ。私はそんなことじゃ死なねーよ」

「………不老不死……。かの」


 一瞬で見切った。じいちゃん、すごい……。


「ちげーよ。ちょっと健康なだけだ」


 それで理由になるわけないじゃないですか!


「素晴らしいの。古来より人間が求めている不老不死を会得しているとは。ちょっと気になるの……」

「いいもんじゃないわよ。不老不死なんて。頭がおかしくなっていくし、知り合いはみんな死んでいくもの」

「なるほど。そう考えると、不老不死とは苦痛なのかもしれんの」


 直後、炎の剣が振りおろされてきた。


「ふん」


 じいちゃんはそれを軽々と雷の刀で受け止める。すると、電気が炎の剣を通る。


「あ! フラン! 今すぐ手を―――」


 手を離すように言おうとする。すると、電気のレーザーが来て回避したため伝えることができなくなった。


「え? お兄ちゃん、なに?」

「フラン! 剣を離して。早く」

「え? パチェ、何言ってるの?」

「いいから早く」

「う、うん」


 直前で炎の剣を離すフラン。間に合った……。さすがパチュリーさん。


「やるの~。さすがは幻想郷」

「お久しぶりですね。枝垂」


 いかにも不機嫌そうな声が上から聞こえそっちを向くと文さんがじいちゃんのほうを見ていた。


「おお。久しぶりじゃの。文」

「私の能力を勝手にコピーしていた。ですって? ふざけないでください」

「ははは。お前の風はなかなか使いやすかったぞ」


 またも暴風が吹く。文さんも風を作り、2人の真ん中でぶつかってあたり一面に乱気流が発生する。さらにそこに、


「エクスデッドオンバシラ」

「洩矢の鉄の輪」

「海が割れる日」


 声のした方を向くと、屋上の方から柱と、輪っかと、早苗さんの開海『海が割れる日』がじいちゃんに向かって飛んでいく。


「洩矢……?」


 じいちゃんは風を止めてその3つを軽々と避ける。

 そして、飛んできた屋上の方を見ると、


「おお。八坂神と洩矢神ではないか。それとそこの子は……、そうか。お主らの巫女か」

「確か。陰陽師枝垂。と言ったな」


 3人が屋上から飛び降りる。まず、神奈子さんが先に着地して早苗さんをキャッチしておろす。諏訪子さんは一人で普通に着地した。


「ふーん……。初めて会ったときは、久しぶりに私たちの姿が見れる人間が現れたな。と思ったものだけど……」

「諏訪子様。神奈子様。ご知り合いですか?」

「ああ。数年前に諏訪に来てな。一晩酒を飲んだ仲だ」

「その酒飲み仲間にいきなりオンバシラを投げてくるのはどうかと思うがの」

「はっ。アキラはもう友だ。友を守ることが何か問題あるか?」

「ないな……。ならば、お主らも敵とみなす!」

「来るぞ! 早苗。諏訪子」

「は、はい」

「任せて」


 じいちゃんの姿が消える。次の瞬間、金属のぶつかり合う音が聞こえ、諏訪子さんの持っている金属の輪っかでじいちゃんの刀を防いでいた。


「ほう」

「神は何でもアリ。忘れたか? ミジャクジ!」


 諏訪子さんの言葉の直後、白い巨大な蛇が現れ、じいちゃんを喰らおうと向かう。


「祟り神。ミジャクジか」


 じいちゃんはそれを避けると、スキマを開いてそこからレーザーを放つ。

 その出た直後のレーザーごと、スキマを何か巨大なものが押しつぶした。


「うまいわね。オンバシラでスキマを押しつぶして回避した」


 霊夢が呟く。そして、早苗さんは呪文のようなものを唱えていた。


「む? 嫌な予感がするの」


 じいちゃんの右手に電気が集まってそれがレーザーとして早苗さんに飛ぶ。その瞬間、神奈子さんがこっちを一瞬わたしのほうを見た。なるほどね。


「反射氷!」


 早苗さんの前に氷を張ってレーザーを防ぐ。そして、そのレーザーは反射してじいちゃんに飛ぶ。


「ほう」


 じいちゃんはそれを横に一歩動くだけで避ける。そこに、


「マウンテンオブフェイス!」


 大量の札が神奈子さんの周りに現れ、それがあたり一面に飛ぶ。


「ちぃ」


 さすがのじいちゃんも大量の札に何度もあたり、どんどん後ろに下がっていく。


「いまだ!」

「あいよ! 天狗!」

「はい。幻想風靡!」


 文さんがじいちゃんの上を飛び回って、小さな弾幕をどんどん落としていく。


「なるほど。夢想封印!」

「あ。なるほど。ヴォ―パルアイス!」

「マスタースパーク!」

「一斉攻撃ってわけね。レミィ、フラン。咲夜」

「わかってるわよ! スカーレットシュート!」

「カタディオプトリック」

「殺人ドール!」

「ロイヤルフレア」

「なるほどね。行くわよ、妖夢」

「はい! 一念無量劫」

「亡我郷」

「面白いじゃない。永夜返し」

「アポロ13」

「あ、そういうことですか」

「遅いよ、鈴仙ちゃん。早くしないとまたお仕置きされるよ」

「うわわ。ルナティックレッドアイズ!」

「エンシェントデューパー」

「遅れてすまない。行くぞ、妹紅」

「ああ。フジヤマボルケイノ!」

「三種の神器 郷」



 鈴仙さん。てゐさん。慧音さんも来て、全員ほぼ一斉に技を放つ。


「見事」


 そして、すべての技はじいちゃんに直撃した。


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