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東方妖刀録  作者: 雨月
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VS八雲家2

「ちぃ。なんて威力だ……」


 抜刀術は速度に比例して破壊力を増す。と言われている。

 文字通り、音速の一撃。見事だ、アキラ。

 しかし、氷雨の力が昔戦ったときよりも格段と上がっている。だいたい、220%といったところか? なぜ、それほどまでの力が……。


 まてよ? そういえば、聞いたことがある。妖刀は生涯に1人、自分の力を引き出してくれる人間がいる。と。

 世界にたった1人。その妖刀の力を完全に引き出してくれる、パートナーのような存在がいるらしい。その人と出会う確率は、昔紫様が計算したところ、隕石が自分の目の前に落ちてくる確率のほうが高いらしい。だが、偶然でも出会うことができれば、どの妖刀にも負けることのない、最強のコンビとなる。と。


 その人間が死んでしまえば、もう一生会うことはできない。その人間の生まれ変わりだとしても、ダメだという話だった。

 噂程度の話だ。私はそれを聞いたとき、何を言っているんだ。と笑ったものだが。まさか、本当だったのか?

 アキラが目の前にやってきて、刀を振りかぶっている。私は反射的に八咫鏡で刀を防ぐ。そして、アキラが反射された衝撃で少し飛ばされた。

 ……。仕方あるまい。紫様の命令はアキラを倒せ。最低でも止めていろ。というものだ。だが、このままでは止めていることすら不可能。

 奥の手を使うしかないな。紫様ですら知らない。この奥の手を。


「見事だ、アキラ。奥の手を使わせてもらうぞ。紫様ですら知らない。奥の手だ」


 アキラはこちらをにらんでいる。いつ、こっちに来てもおかしくない。その証拠に、氷の翼が徐々に大きくなっている。一回はばたかせるだけで私のところにくるつもりなのだろう。

 私は小さな細長い真っ白の紙を取り出す。それを胸の前に浮かせる。そして、その紙が私の中に入る。

 と、同時に私はここを覆っている結界を少しいじる。この結界は、私と、そして枝垂の3人で作ったものだ。少しぐらいの改変は可能だ。


「さて。行くぞ、アキラ」


 私の周りに、スキマがいくつも出る。そして、


「飛行中ネスト」


 そこからレーザーがいくつも出て、アキラに向かう。


「雪符『チャッフ・アイス』」


 アキラはスペカを取り出し、唱える。すると、レーザーがすべて、急に途中でまがってまったく関係ないところに落ちた。


「ストレートとカーブの夢郷」


 大きくカーブする大玉とまっすぐ進む米粒弾がアキラに向かう。


「凍符『クラッシュ・アイス』」


 またもアキラがスペカを唱えると、すべての弾幕が一瞬で凍り、そして砕けた。


「ならばこれはどうだ?」


 私は帽子をとる。そして、その帽子を軽く、落とすように手を放す。


「式神『八雲藍』」

「なっ!?」


 目の前に九本の金のしっぽ。そして、しっぽと同じ色の髪の女性が現れる。まぁ、私のことなんだけど。フフフ。


「意味が分からないな~……。なんで藍さんが藍さんを召喚しているんですか?」

「アキラ。君ならばもう大体は予想がついているのではないか? 私が何をしたか。など」

「………さっぱりわからないわね」

「そうか。ならば教えてやろう。私の能力は『式神を操る程度の能力』だ。私自身、式でありながら、式を操る力を持つ。そこまではいいな?」

「…………」

「私は、八雲紫。という式を私自身につけたのだ。そして、結界をわずかにいじり、結界が私を八雲紫と認識するようにした。これにより、八雲紫の技、能力を私は使えるようになったということだ。理解したか?」


「一応ね。でも、だからなに? って話なんだけど」

「なに?」

「私のすることは変わらない。あなたを倒す。それだけよ」

「フフフ。なるほど。確かにその通りだ」


 翼がはばたかれる音がしたと思った瞬間。後ろにアキラが現れ、刀を振りかぶっていた。


「いい速度だ」


 私はそれを八咫鏡で防ごうとする。


「足元ががら空き」


 氷が足元からせり出してよろけてしまう。

 私はすぐに右手を動かし、天叢雲剣でアキラの刀を防ぐ。


「天叢雲剣!」


 そして、鍔迫り合いになった状態で刀身が炎に包まれる。


「絶対零d」


 アキラが絶対零度を使おうとしたが、すぐにやめて、鍔迫り合いをやめて後ろから来た、八雲藍をよける。


「逃がさん!」


 八雲藍が体を丸め、回転しながらアキラに突っ込む。


「くっ」


 アキラはよけることができずに直撃をする。すると、

 アキラの体がばらばらになる。


「え?」


 ばらばらになる威力はないはず。と一瞬止まったが、すぐにそれは氷だということに気付いた。


「氷分身? いや、身代わりか」

「氷雪『雪達磨』」


 ばらばらになった氷がさらにバラバラになり、雪のようになると、それが一転に集まり、雪だるまとなって八雲藍を閉じ込めた。


「氷は圧縮すると、かなり固いんだよ」


 声のしたほうを見ると、アキラが空を飛んで、雪だるまのほうに右手を向けていた。

 雪だるまを一瞥すると、雪だるまがわずかに揺れていた。脱出をしようとしているようだが……。脱出は無理そうだな。


「見事な技だな、アキラ」

「いつまで余裕でいるつもり?」

「ふっ。私が負けることは絶対にありえない。金毛九尾の狐に妖怪の賢者、八雲紫がついているんだ。負けることはありえない」

「そう。なら、基本から教えてあげる」

「基本?」

「すべての物事に絶対はありえない。負けることはありえない。ということはない」

「ならば私からも教えてやろう。圧倒的な力量差というものをな」


絶対零度。

依姫のすべての攻撃を凍らせた最強最悪の技。

触れたものをー273.15度にまで一瞬で下げるレーザーを放つ。

氷雨は氷を作り、操るだけでなく、周辺の気温を下げたり、物体の温度を下げることもできる。(上げることはできない)

それを最大限に使った奥義で、凍炎を後ろに付ける場合、炎すら凍らせるレーザーとなる。



絶対零度 纏いし刃

刃に絶対零度をまとわせることで斬りつけた箇所をー273.15度にまで下げる。

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