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東方妖刀録  作者: 雨月
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5本の妖刀

「ふーん。銘は氷雨か……」

「諏訪子。気のせいか?」

「絶対に気のせいじゃないと思うよ」


 僕は今、霊夢と一緒に守矢神社に来ている。妖刀の名前がわかったので伝えに来た。


「あの5本の1本だよな?」

「そうだね。まさかこんなところでお目にかかれるなんてね」


 何を話しているんだろう?


「諏訪子様。神奈子様。いったい、何を話しているのですか」


 早苗さんがついに口を出した。


「いや。すまないすまない。聞いたことがある名前だったのでな」

「まさか例の5本のうちの1本を実際お目にかかれるとは思えなかったよ」

「例の5本?」


 僕が聞き返すと、


「そうだな。お前は知っておいた方がいいだろう」

「そうだね。神奈子、説明よろしく」

「また投げやりか。別にいいが」


 神奈子さんがため息をつく。そして、


「これは私たちが知り合いだった妖刀使いから聞いた話だ。すべてが本当かどうかはわからない。だが、妖刀使いは独自の情報筋があったらしいのでほとんどの確立で本当のことだろう。だからすべて本当のこととして話す」

「前置きが長いわよ。さっさと話しなさい」

「少しは落ち着け、博麗」


 霊夢。落ち着きなよ。


「妖刀が生まれる条件は知っているか? アキラ」

「え? えっと、確か負の感情を取り込みすぎると妖刀になるんでしたっけ?」

「そうだな。怒り、憎しみ、悲しみ、嫉妬。そういった感情を取り込むことで妖刀が生まれる。だが、それ以外の方法でなる妖刀も存在する」


 え?


「さて、また1つ質問だ。刀を作る、鍛冶屋にとって。ほとんどの人間が思うことはなんだと思う?」

「そんなの知るわけがないでしょ」

「答えは、折れることない最強の刀を作ることだ。だが、それは現実的に不可能だ。刀は切れば刃こぼれを起こし、いつか錆びるか折れる。それを迷った鍛冶屋がかつていたという。その男は最終的に妖刀という結論に達した。

 妖刀は中にある妖刀の精神がなくならない限り、刃こぼれを起こそうが、折れようが修復される。その男はそれに着目して、妖刀の研究を始めたという。そして、完成させたのだ。妖刀を」


「それは刀を打っただけで。ですか? 神奈子様」

「そうだ。刀を打ち終わったとき、まだ中に妖刀の自我は存在しなかったそうだが、妖力を放っていたという。とても弱い、妖刀だったそうだが」

「そんなものができたのなら、より強いものを作りたい。と思ったでしょうね」

「そうだ。男は妖刀をさらに作った。そして、ついに。まさに最強と言ってもいい妖刀ができたという。それが、炎月。と呼ばれる妖刀だ。

 そしてその男の考えを知り、それに共感した者どもも妖刀を作ろうとした。何人かは実際作ることもできたという。もちろん、妖怪である妖刀を作るなど、普通に考えれば許されることではない。何人も処刑された。だが、うまく隠して妖刀を作り続けたものは、炎月と同じような、最強と言ってもいい妖刀を作ったという。それは炎月も入れ、計5本。と言われている」


「それじゃあ、さっきの例の5本って言葉から察するに」

「そうだ。氷雨もその5本のうちの1本だ。


 その5本は自然に生まれた妖刀よりも強力な力を持ち、それ以上の力を持つ妖刀は未来永劫生まれないといわれているらしい」

「残りの3本は?」

「残りは、風の妖刀、風月。雷の妖刀、雷月らいげつ。土の妖刀、土月どげつ。だな」

「風と雷と土? で、最初の刀は多分炎ね……」


 霊夢が考えるようなしぐさをする。


「なんていうか、氷雨以外、全部月が入っているわね。本当に氷雨はその5本の1本なの?」

「それについては我が話そう」


 氷雨の声が聞こえ、全員が刀のほうを見ると、氷雨が人の姿になって表れた。

「本来、我は水の妖刀、水月となるはずだった。だが、我を鍛えた場所が悪かったのだ」

「場所?」

「うむ。現在、この日ノ本で最も寒い場所で我は鍛えられた。それも冬にな。それが原因で我の中の水が凍ってしまったのだ」

「なるほど。だから氷の力として生まれたのか」

「まぁ、我は全く気にしていないがな」


「残り4本の妖刀の場所はわかるんですか?」

「さすがにわからん。だが、かつての我と同じく、どこかで大事に飾られているのだろう。その方がよい」

「なんでその方がいいのよ」

「このご時世。もう刀などいらん」

「なるほどね……」

「じゃあな」


 氷雨は刀に戻る。






 外の世界。陰陽師家。


「作戦の決行日は決まったか?」

「ええ。もちろんよ。でも、どうするの? 霊夢を殺すなんて、絶対邪魔が入るわよ」

「心配するな。外の世界で強固な結界を張ればよい。もちろん、広い空間が必要じゃが。場所はもう決めてある」

「なるほどね。で、アキラはどうするの?」


「お主の好きにせい。邪魔をするようなら、消すまでじゃ。たとえ、孫でもな」

「あんたはそういう人間だったわね。そういえば」

「今更じゃろ?」

「……陰陽師の血か……」


関係ない話だろ。とか思われているかもですが。

実はこれも、2章とかの伏線なんですけどね。



言ってどうする。

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