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東方妖刀録  作者: 雨月
39/59

最後のあがき

 そして、約束の1ヶ月後。前日


「………」

「………」

「………」


 僕、霊夢、萃香がちゃぶ台を囲んで無言でいた。


「ついに明日ね」


 その沈黙を破ったのは霊夢だった。


「そうだね……」

「すまないね、アキラ。わたしのせいだ」

「いえ。萃香さんは悪くないですよ。むしろ萃香さんは頑張ってくれたと思いますよ」

「いやいや。わたしの力不足さ」

「あんたたち。まだ1日あるわよ。とにかく、紫と藍を探しましょう。後はあいつらだけだから」

「そうだね。直ぐに探してくるよ」


 萃香さんが霧になる。


「アキラ。アンタは今日、パチュリーのところにでも行く?」

「いや。今日は、パチュリーさんも妖夢さんも来なくていい。って」

「そう」


 霊夢はお茶を飲む。


「霊夢。僕はちょっと香霖堂に行ってくるよ」

「はいはい。行ってらっしゃい。後悔しないように楽しみなさい」

「うん」


 妖刀融合をして、氷の翼を作ったあと。香霖堂に向かって飛ぶ。




 香霖堂前に到着して、元の姿に戻る。


「霖之助さん。いる?」

「もちろんいるさ」


 店に入りながら問いかけるとすぐに返事が返ってくる。


「霖之助さん。いつもいるね」

「そりゃあ、ここは僕の家だからね」

「そんなに暇人なんだ」

「ああ。暇だね」


 言っててむなしくないのかな。


「今日は何の用だい?」

「妖刀の名前の鍵があるかどうか探しにきた」

「またかい? もう何度も探しているじゃないか。でも、そんな物は無かった」

「前に探した後に霖之助さんが見つけたかもしれない」

「なるほどね。面白い考えだが、君が前に来た日から僕は新しい商品を見つけていない。あきらめなさい」


「明日なんですよ。問題の日が」

「ああ。なるほどね。だから後悔をしないようにしているわけか」

「そういうこと」

「昨日、阿求も来たよ。1日ずっと探していたが見つからなかったみたいだよ」

「阿求さんが?」


「ああ。彼女も君を失わないようにいろいろ探しているみたいだよ。ただ、昨日無茶してしまったせいで今日は寝込んでしまっているようだが……」

「そうですか……」


 阿求さんに悪いことをしてしまったかな。


「一応言っておくけど。今すぐ見舞いに行く。なんてことはやめておいたほうがいい」

「え?」

「阿求本人が望んでいないからさ。君が阿求の見舞いに行くのは。明日を切り抜けてからのほうがいい。そのほうが時間を無駄にしないしね」

「でも、そうしたら一生見舞いに行けないと思うんですが」

「じゃあ、余計に頑張らないとね」


「え?」

「見舞いに行くには。妖刀に勝て。ってことさ」

「なるほどね……」

「頑張りたまえ」


 うん。余計にやる気が出たよ。


次回。その頃の八雲紫4です。



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