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東方妖刀録  作者: 雨月
33/59

VS妖夢

 次の日。


「霊夢」


 朝食を食べ終わったところにアキラから声をかけられた。


「なに?」


 アキラの顔を見ると、何かを決めた。そんな表情をしている。何を決めたの?


「霊夢。この幻想郷に、剣術を持っている人はいない?」

「剣術?」


 剣術ね~。私はそういうのはわからないけど、刀を使うやつなら1人いたはず。


「刀を使うってだけでいいのなら、1人だけいるわ。それがどうしたの?」

「昨日、幽香さんと戦って思ったんだよ。やっぱりちゃんとした技が必要じゃないかな。って」

「スペルカードだけで十分だと思うけど……」

「パチュリーさんが、これから大きな戦いが始まるかもしれない。と言ってた。もしかすると、スペルカードじゃ対応できないかもしれなしい……」

「大きな戦い?」


 パチュリー。そんなこと言ってたの? あぁ、だからアキラに魔法を教えるなんて言い出したのね……。


「……。いいわ。ついてきなさい」

「え?」

「その刀を使うやつの場所に連れてってあげる。ただし、そいつから剣術を教えてもらえるかどうかはあなた次第よ」

「ありがとう、霊夢」

「気にしないでいいわよ……」


 私は空を飛ぶ。アキラもすぐについてくる。

 行く場所は……冥界。







「霊夢。どこまで行くの?」


 霊夢について飛んでいくと、なぜかどんどん上に昇っていく。


「そろそろつくわよ。ほら、ついたわ。入口に」

「なんで、空にこんなに大きな扉が……」

「冥界よ」

「冥界!?」

「ええ。いくわよ」

「って入っていいの?」

「本当はダメでしょ。冥界の住人に結構怒られるから。でも、別に気にしなくていいわよ」

「いいのかな………」


 門のスキマから入っていく霊夢。それについていくと、高すぎて先が見えない階段が現れた。霊夢はそれを飛んで昇っていく。

 それについていき、真ん中ぐらいについたところで、


「アキラ。武器を出しなさい」

「え?」

「はぁぁぁああぁぁぁ」


 階段の横にある大量の木の影から少女が現れた。その子は長い刀を振りかぶっていた。


「氷符『アイス・ソード』」


 氷の刀をすぐに作り、少女の刀を受け止める。

 数秒つばぜり合いをすると、お互い離れる。


「賊がっ! この冥界に何の用だ!」

「妖夢、私よ。ちょっと話を聞きなさい」


 霊夢がそういうと、妖夢と呼ばれた子が霊夢のほうを向き、


「霊夢。何度も言っているだろ。生きている人間が冥界に来るな。と」

「別にいいでしょ。座って話がしたいし、ちょっと白玉楼に連れてって」

「断る。要件を言え。そして、生きている者は二度とここに立ち寄るな」

「お断りよ。長くなるから座って話がしたいのよ。さっさと通しなさい」

「断る。そこの妖怪は見たことがない。幽々子様に危険を及ぼす妖怪の可能性もある。通すわけにはいかん」

「アキラは人間よ。説明のために通しなさい。ここでアキラを人間に戻したらまた妖怪に戻らないといけないから大変じゃない。めんどくさいのよ」


「何をわけのわからないことを。まぁいい。師であるおじい様は言っていた。『斬ればわかる。剣が真実を教えてくれる』と」

「それ。絶対、間違って解釈してるでしょ」

「斬る!」


 妖夢さんが消える。そして目の前に現れ、刀を振るってきた。

 私は氷の刀を作り、逆手に持って妖夢さんの刀を防ぐ。


「ぐっ……」

「はぁぁあぁぁ」


 あまりの威力に吹き飛ばされる。飛ばされながらスペルカードを取り出し。


「氷符『ヴォ―パル・アイス』」


 氷の剣を呼びだし、妖夢さんに飛ばす。

 妖夢さんは腰にあるもう一本の刀を抜き、二刀流になると、氷の剣をすべて斬って防ぐ。


「この! 水符『プリンセスウンディネ』」


 水の球をいくつもだし、さらに水のレーザーを妖夢さんに向かって飛ばす。


「この程度!」


 それを刀で水を切り裂いて前に進んでくる妖夢さん


「まだよ!」


 もう1回水の球とレーザーを放つ。


「さらに!」


 水の球とレーザーを凍らせて氷の球と氷のレーザーにする。


「それがどうした!」


 刀を振って氷をすべて斬る。


「私は氷をすべて自在に操ることができるのよ!」


 私は刀で斬られたばかりの氷たちを操って、こっちに引き寄せる。これで、妖夢さんに向かって背後から氷の塊が迫るようになる。


「だからどうした!」


 背後から来る氷もすべて切り裂く妖夢さん。

その隙に、妖夢さんを中心に半径5メートルぐらいの位置に8個。氷の柱を作る。


「結界『氷縛陣』」


 氷の柱からいくつもの氷の縄が現れ、妖夢さんに絡みついてく。


「はあ!」


 妖夢さんは体を回転させ、刀を全方向に振るいながら氷の縄を粉々にしていく。

 そして、長い方の刀で突きをしてくる。少し回避が間に合わず、頬のあたりが斬られる。けど、気にせずにその隙を狙って、


「氷符『氷の牢獄』」


 妖夢さんを氷に閉じ込める。


「よしっ」


 これはもう無理でしょ。輝夜さんも妹紅さんも抜けられなかった氷の牢獄。これを抜けるなんて……。

 と思った長後。氷がばらばらに砕け妖夢さんが出ていた。


「妖怪が鍛えたこの楼観剣に斬れぬものなど、あんまり無い!」

「氷剣『巨大刀』」


 重すぎる巨大な氷の剣を振り下ろす。それを妖夢さんは刀を振るって、巨大刀を折った。


「ただただ、でかく、重いだけの刀。そんなものが通用するか」


 妖夢さんの刀の刃が僕の首筋にあたる。


「……アキラ。妖刀モードを解除しなさい。そっちの方が早いわ」


 今まで静観していた霊夢がいう。


「変な動きをすればすぐさま斬る」

「霊夢~。解除できない。したら斬られる」

「はぁ。妖夢」

「なんだ?」


 妖夢さんが霊夢のほうを向くと、大量札が飛んできた。


「くっ」


 妖夢さんはそれを高くジャンプしてよける。


「アキラ。今のうちに解除しなさい」


 霊夢の言うとおり、妖刀モードを今のうちに解除する。


「……え? 男? 妖力を感じなくなった……?」


 妖夢さんが着地しながらつぶやく。


「これでわかったでしょ。アキラは人間なの。能力で一時的に妖怪になっていただけなのよ。わかったなら通ってもいいわよね?」

「仕方あるまい」

「そ。ありがと。アキラ、妖刀融合して」

「妖刀融合」


 また妖刀モードになる。


「まったく。妖夢のせいで二度手間になったわ。さっさと行くわよ」


 霊夢はそういうと階段を飛んで登っていく。

 私もすぐにそれについていく。


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