その頃の八雲紫3
数時間後。
ようやく月と星が出てきて、
「どう? 蓮子。星と月見える?」
「もうちょっとで頂上に着くよ」
蓮子は木を登っていた。星と月が見えるように。
「よし。到着」
月と星を見ようとすると、目が大量にある境目が目の前に現れて月と星を隠してしまう。
「スキマ!? うわっ」
蓮子が驚いて落ちる。
「蓮子!」
落ちてくる蓮子を見てメリーが声を上げる。
そしてスキマが現れ、蓮子を飲み込む。そして地面付近にもスキマが現れそこから蓮子が出てくる。
「危なかった……」
「大丈夫? 蓮子」
「ええ」
「ごめんなさい。驚かせてしまったみたいね」
スキマがさらに現れて、紫が出てくる。
「……やっぱり紫さん」
「お母さん!?」
「久しぶりね。蓮子。メリー」
日傘を差す紫。
「お母さんまでメリーって呼ばないでよ」
「だって、いい愛称が思いつかなくて困っていたところに蓮子がメリーって愛称つけてくれたんだもの」
「お母さん。愛称1つに20年も迷うっていうのもおかしいと思うよ」
「仕方ないじゃない。あなたを拾った20年ぐらい前、マエリベリーって名前だけはあったけど、愛称なんてなかったもの」
「それで、紫さん。今日は何のご用ですか? 幻想郷に連れて行ってくれるんですか?」
「幻想郷にはいかせないわよ。ちょっと手伝ってほしいことがあるの」
「報酬は幻想郷への招待券で」
「それはダメよ」
「なんでですか! 能力持ちは紫さんがみんな向こうに連れて行くくせに、私たちだって能力あるんですよ! 知ってるでしょ」
「知ってるわよ。でも、あなた達は幻想郷に行くほどの力でもないし、幻想郷は危険なのよ? それにかわいい我が子を危険なところに送りたくないの」
「む~」
「ほら、蓮子。お母さん困らせちゃダメよ」
「メリーはいいわよね。小っちゃいころ幻想郷に住んでたんだし」
「住んでたって言っても、家からほとんど出なかったわよ。出ても家の周りの森から出たことないし」
「まぁいいわ。紫さん、お願いってなんです? 内容によっては手伝いますよ」
「対価に幻想郷への片道切符を。ってまた言いそうで怖いのだけど。まぁいいわ。
人探しをしているの。この男よ」
紫が写真を2人に見せる。
「この人は誰?」
「私の古い友人よ。探してはいるんだけど、見つからなくて。数日前にはあの男、変装して私と会話して、ウソ情報を言ってきたのよ」
「紫さん。なんで気づかないんですか」
「仕方ないでしょ……」
「お母さん。藍お姉ちゃんに頼んだらどう?」
「藍は私の代わりに仕事を引き受けてくれているから無理なのよ」
「橙は?」
「メリー。あなたから見て、橙に任せられる?」
「………無理」
「そういうことよ」
「それで紫さん。この人の名前は?」
「名は陰陽師枝垂。能力は、『近くにいる者の能力を自分の能力として使える程度の能力』よ」
「そういえば紫さん。なんで私たちの居場所わかったんです?」
「部室に行ったらここに行くみたいなことが書いてある紙があったからその場所に来たらいきなりあなたの上に出たのよ」
「お母さん。そんな事より帰ろう。スキマお願い」
「はいはい~」
というわけで、数話前に言った、超2次設定入ります。の予告はこの、メリーと紫の関係です。
2人は義理の母娘という設定にしました。
生まれたばかりで捨てられていたメリーを紫が拾って、育てました。
で、暮らしているうちにメリーに紫の能力が移った? みたいな設定です。
………このあとがき。書かないほうがよかったかな?
次回のその頃の八雲紫。『その頃の八雲紫4』は物語の中で約1ヶ月後。アキラと妖刀の名当ての勝負が終わるころを予定しています。