名当ての戦い
投稿のことすっかり忘れてましたww
その夜中。
「うっ………」
あたしの下でアキラが寝ている。悪夢を見ているような表情をしている。まぁ、当たり前なんだけどね……。
あたしは今、寝ているアキラの上に馬乗りになっている。アキラの右手に鞘から出した妖刀を持たせ、あたしは左手をその右手の上に乗せている。
「フフフ」
あたしはもう隠居したとはいえ、神様だからね。妖刀を持ったぐらいじゃ操られないよ。
夢の中。
「ここはどこ?」
僕は真っ白な空間にいた。
「ここはお前の中だ。精神の中。と言ったほうが良いかな?」
目の前に長髪の女性が現れた。
「誰?」
「わからないのか? いつもお前のそばにいるだろう」
「もしかして、あの妖刀?」
「フン。やはり銘で呼ばんのか」
「銘?」
「名のことだ。村正とか菊一文字とか聞いたことあるだろ? 妖刀は皆名前がつく。菊一文字は妖刀ではないがな」
「そんなこと、刀に触れることすら初めての人に言われてもね」
「それもそうだな……」
「で、何の用?」
「単刀直入に言おう。アキラ、我に体を明け渡せ」
「は?」
「お前はこの幻想郷で生き延びることは出来ない。あの程度の妖怪に死にかけるのだからな」
あの恐竜のような妖怪がこの程度?
「あんな妖怪。底辺レベルだぞ。
我があの時助けなければ今頃あの雑魚妖怪の腹の中で肉片となっていたぞ?」
た、確かに……。
「だから明け渡せ」
「………。嫌だね」
「ま。そう答えるだろうとは思っていた。だから、勝負をしないか?」
「勝負?」
「そうだ。期間は……、そうだな、今宵は偶然にも満月だ。そこで、次の満月までに我の銘を当てることができればお前の勝ち。できなければお前の負け。どうだ?」
「どうだって。お前のほうが有利だろ」
「心配するな。いいことを教えてやろう。この幻想郷に最低2人。我の銘を知る者がいる」
「最低2人?」
「うむ。その2人が誰かに話していたら知っている人が増えるからな。だから最低2人だ」
「どんな人なの?」
「言うわけがなかろう。ま、1つぐらいヒントを言ってやろう。2人とも強力な妖怪だ。我を見ればすぐにわかると思うぞ?」
「それはありがとう」
「我は次の満月まで力をためる。我が勝ったときにお前の体を乗っ取るためのな」
「僕が勝っても奪うんじゃないか?」
「そんなことはしないさ。これでも約束は守る。それと、能力は普通に今までと同じだけ使えるから心配するな」
「そう……」
「そろそろ終わったかな?」
あたしがそうつぶやくと、妖刀が薄く光る。そして、妖刀が刀の形が崩れ、人の形になる。
「実体化もできるほどの妖刀だったとはね……」
あたしが呟くと、
「これでも氷系最強の妖刀って呼ばれているのでな」
長髪の女性となって現れた。
「手助けしてくれたこと、感謝するぞ。祟り神」
「もう隠居の身だよ」
「そうか」
「銘は?」
「すまないが答えられない。アキラとの勝負でな。もしかすると今起きている可能性がある」
「どういうことだい?」
妖刀がアキラとの会話内容を話す。
「なるほどね。じゃ、次の満月を楽しみにしてるよ」
「祟り神。お前はどちらの味方だ?」
「ん? アキラだよ。それと、あたしの名前は洩矢諏訪子だよ」
「そうか。では洩矢神。なぜアキラが勝つと思っているのだ?」
「あたしが手を貸したのは、能力にかまけて妖刀使いの苦労を知らずに名乗っていたから苦労をさせてやりたかっただけだもの」
「なるほど。では、我は寝る。次の満月に体を乗っ取るためにな」
「そう。じゃあね。次の満月に会おうか」
妖刀は無言で刀の形に戻ると、鞘に収まった。
あたしはそれを見た後、部屋から出る。
「さて。あたしも寝るかな」
そう言って縁側を歩いて寝室に向かう。その途中で目をこすって歩く神奈子とすれ違った。
「おや。諏訪子じゃないか。どうしたんだい?」
「ん? 厠だよ。神奈子も?」
「あぁ………。おい、諏訪子」
「なに?」
「下手なウソはやめろ。どうせアキラにちょっかい出してきたんだろ?」
「……なんでそう思うのさ」
「別に。ただの勘さ」
勘ね……。
「だとしたらなに?」
「……お前のことだ。何か意味があるんだろう?」
「……別に。たださ、妖刀使いなのに、妖刀使いとしての苦労をしていないのにちょっとむかついたっていうかね……」
「なるほどな……」
神奈子はそういうとあたしとすれ違って厠に向かって行った。
「……」
たぶん、あと2,3話後に「その頃の八雲紫2」を書く予定です。不評なら書かないので、感想でもメッセージでもいいので言ってください。
1のとき、何も言われなかった。ということは少なくとも不評ではなかった。ということかな……?
ツイッター、一応登録していて、最近、ようやく喋りだしたので。そっちもどうぞ。
雨月。の名前でやってます。更新したらそっちでも言おうと思います。