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東方妖刀録  作者: 雨月
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守矢神社

お待たせしてすみません。もう3月も終わりですね。時間がたつのは速いですね。



 

 雑談をしながら飛んで、山の頂上にある神社の敷地に着地する。

 私は着地すると同時に氷の翼を砕いて、そして妖刀モードを解除する。


「ふー」


 水色の光に包まれ男に戻る。視線が低くなるけど、やっぱりこっちのほうが慣れてるから違和感がない。


「あやややややや。男に!?」

「アキラはもともと男なのよ。能力で妖怪化+女性化ってこと」

「これは興味深いですね! 是非お話を!」

「文!」


 霊夢が文さんの頭をはたく。


「目的が違うでしょ。さっさと終わらせるわよ」

「はーい」


 文さんが嫌々そういうと、



「大奇跡『八坂の神風』」



 そんな声が聞こえた直後、上から暴風が来る。


「くっ」

「これは……」

「早苗! いきなり何するのよ!」


 僕は腰の刀を鞘から取り出して、両手で構える。


「妖怪退治しようとしただけですよ。霊夢さん」


 緑髪の女性が神社から現れた。


「妖怪って妖怪は私しかいないですよ? 早苗さん」

「文さん意外の妖怪の気配を感じたんですよ。感じたことのない妖怪。きっと人に悪影響を起こす妖怪に違いありません」

「あのね……。妖怪は退治すればいいってもんじゃないのよ」

「その刀ですね……。そこの方、その刀をこちらに渡しなさい。それは危険なものです」


 早苗。と呼ばれている女性が僕を指さして言う。


「渡さないなら。無理やりでも取るだけです!」


 スペルカードを取り出す早苗さん。

 僕もスペルカードを取り出す。


「開海『海が割れる日』」

「氷符『ヴォーパル・アイス』」


 地面を走るように、まるですべてを割るような弾幕がこっちに向かってくる。

 僕はその弾幕に向かって氷の剣を飛ばす。

 しかし、氷の剣は当たった瞬間、あっという間に砕けてしまった。


「え!?」


 僕はすぐに地面を走る弾幕を横に飛ぶことで何とかよける。


「抵抗しないでください!」

「妖刀融合!」


 早苗さんの言うことなんて聞いてられない。いきなり攻撃されてこっちもいらついているんだ。

 水色の光に包まれ、妖刀モードになる。


「なっ。妖怪化した!?」


 早苗さんは一瞬驚くと、キッ。とにらみ、

「妖怪と融合するなんて、何を考えているんですか!」

「うるさい!」


 僕はスペルカードを取り出す。


「氷符『アイスツリー』」


 スペルを発動させる。すると、

 早苗さんの真下から氷の木がせり出してくる。


「足元ですか」


 早苗さんはそう言ってよける。違うよ。足元からの攻撃じゃない。

 木がそびえたつと、氷の花がいくつもできて、そこから丸い妖力弾が雨のように落ちる。


「なっ!?」


 早苗さんはよけながら落ちてくる弾幕を見てよける。


「氷符『氷弾弾雨』」


 氷のつぶてで早苗さんが上からの弾幕に集中している間に、攻撃をする。これで回避は不可能のはず。


「なっ」


 氷弾弾雨とは、図書館で魔理沙にとどめをさした技に名前を付けたもので、レミリアとの修行中にスペルカードにした。そして、レミリアはスペルカードにするとき、アドバイスを言ってきた。いわく、『その技にはパワーなんていらないわよ。とにかくスピードだけを考えなさい。どんなにパワーがあっても当たらなければ0と同じなのよ。だから、その氷弾弾雨はスピードのみを極め、そして徐々に範囲を広めていくこと』と言って、私もそれは、なるほど。と思った。だから、氷弾弾雨は今でも改良中である。


 スピードのみを通級した結果。レミリアも不意打ちで撃たれたとき、回避も防御もできないほどの速度にまでなった。それが、早苗さんに当たる。


「きゃ」


 早苗さんは倒れる。


「くっ」

「おぉー。すごいですね、アキラさん」


 早苗さんが倒れたまま私をにらみ、文さんが拍手をする。

 私は妖刀モードを解除しようとする。すると、


「すまなかったね、妖刀使い。うちの巫女が迷惑をかけたね」


 巨大なしめ縄を付けている女性が歩いて近づいてきた。


「いけません! 神奈子様! 危険です」

「大丈夫だよ、早苗」


 なんだ、この人。光っている。というか、神々しいって言うのか……。


「まずはあいさつだね。あたしは八坂神奈子。この神社の神さ」


 神!?


「どうだい。博霊の巫女。烏天狗。妖刀使い。お茶でも」

「私は別の目的で来たのよ。お茶なんて飲んでいる暇なんてないの」

「いいじゃないですか、霊夢さん。どうせ居場所を探さないといけないのですから。少し休憩でも」

「わかったわよ、文。全く」

「決まりだな。早苗、すまないけど。お茶を入れてくれ」

「わ、わかりました……」


 早苗さんはそういうと、先に中に戻って行った。


「こっちだよ」


 神様、(神奈子って呼ばれてたっけ?)は神社の中に戻って行った。僕たちはその後ろについていき、中に入る。そして、

 居間のようなところで、長机を挟んで座る。こっちには、僕、霊夢、文さん。反対側には、神様、早苗さん。そして変な帽子をかぶった少女がいた。


「へぇ~。妖刀使いね~。久しぶりに見たよ。何年ぶりかな? 神奈子」

「最後に見たのは、江戸時代じゃないか? 確かあのとき、妖刀使いの刀を盗んだバカがいて、そいつが諏訪まで来たんじゃなかったか? 操られた状態で」

「そうそう。そうだったね。そして、本来の持ち主がやってきて、あたしたちと一緒に盗んだやつ、ぼこぼこにして取り戻したんだよね。そのあと、本来の持ち主すげー、誤ってたっけ? 諏訪じゃ被害が1件もなかったからいいって言ったのに金塊を3つほど置いて行ったんだよね」

「懐かしいな」

「懐かしいね~」


 ……え? あの変な帽子の少女。まさかこの人も神様? すごい長生きみたいだし……。

 というか、誰か助けて。さっきから早苗さんがこっちをにらんでいるんだけど。


「諏訪子様。神奈子様。説明してください」


 早苗さんが変わらず僕のほうを睨みながら言う。


「妖刀使いさ。妖刀って知ってるか? 早苗」

「妖刀村正とか?」

「そうだな。そういった妖刀は持った人間を操るんだが、妖刀使いは操られないようになった人間。と言ったところか?」

「人を操る? 危険な妖怪と言うわけですね。すぐに退治しないと!」


 早苗さんが急に立ち上がる。


「落ち着け早苗」


 立ち上がった早苗さんの袖を神奈子さんが掴んで無理やり座らせる。


「ちょっと。神奈子様!?」

「心配するな。さて、妖刀使い。自己紹介をしようじゃないか。

 あたしは、八坂神奈子。かつては軍神なんて呼ばれていたこともあった神様だよ」

「私は洩矢諏訪子。ただの隠居した神様だよ。よろしく」


 しめ縄を突けた神様、麦わら帽子みたいな変な帽子をかぶった小さな子が順番に名前を言う。


「アキラと言います。外来人で、どうやら妖力使いと言うものらしいです」

「どうやらって、どういうことだい?」

「アキラは『妖刀を操る程度の能力』を持っていることが数日前に判明したのよ」


 霊夢がなぜか先に説明する。


「ほう。なるほど」

「妖刀の言葉に耳を傾けなよ?」


 突如、諏訪子さん(様?)がそんなことを言い出す。


「え?」

「妖刀っていうのは、ただの刀じゃないんだよ。時には意思を持つ者も出てくる。というかほとんどが意思を持ってる。能力を使って従わせてもすべての力を引き出すことは出来ないと思うよ」


 ………。どういうこと?


「わけわからない。って顔してるね」

「仕方あるまい。その刀に触れたのはいつだ?」

「幻想郷に来たときに気がついたら背負っていたんです。だから……。3日ぐらい前でしょうか」

「なるほどな」


 ? 何が言いたいんだろう?


「さて。積もる話もある。今日は泊まっていくといい」

「え? 神奈子様!?」

「神奈子。悪いけど、私は忙しいのよ。さっさと終わらせないと」

「いいじゃないですか。霊夢さん。どうせ居場所がわからないんですから」

「む……」

「決まりだな! ゆっくりしていけ」

「神奈子様! 詳しく説明してください!」

「後でゆっくり説明してやる。早苗は夕食の準備を頼む。人が増えたからな」

「……わかりました」


 早苗さんは頬を膨らませながら部屋を出て行った。


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