序章~悪の総べる時代~
小さなお子様、戦隊に憧れる方はご遠慮願います。
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時は新王歴25年…… 世界は荒廃と闇に包まれていた。
その地に、巨大な中世期の城塞の様な建物が、まるで世界を見下ろすようにそびえ立ち、その下に強固な壁に囲まれた、町が広がっている。
その城の中の奥底に、一面をクリスタルで覆われた部屋で、長い後ろ髪を、後ろで束ねた壮年の男性が、先端に真紅の宝石のあしらわれた、ステッキを持ち、壁のようにそびえるクリスタルに話しかける。 その視線の先には、5人の少女が鎖でつながれ、閉じ込められていた。
「お前達は、今のこの世界をどう思う? 光は失われ、大半の人間達は抗うことを忘れ、無力に我らに服従することを選んだ…… 私はお前達と戦ってこの世界を、手にしたが同時に充実感を失った。」
一人の少女が目を閉じ、テレパシーのように壮年の男性の、頭の中に話しかける。
「可能性はまだあるよ! まだデッキと魔術は世界中にまだ存在しているし、アンタを止める方法は残されてるんだよ。」
少女は、そっとうつむき、話を続ける。
「約束するよ……必ずアナタを止めて見せるって」
壮年の男性は振り返り、少し頭を下げてそっと呟く。
「もう遅い…… 人間達に未来をくれてやるには、もう一度破壊と再生が必要だ。 それが罪というなら、その業をすべて私が背負ってやる」
そこに、割り込むように声が響く。 そこには燕尾服を着た、青白い肌をした長身の細身の男性体の怪人が片膝をつき報告する。
「マグナス様、四聖王殿が謁見を希望されております。」
マグナスは、怪人の持参した重厚な肩あての付いたマントを付けると、堂々とまさに覇王の風格で部屋を後にし、残された怪人が少女に話しかける。
「キミも頑固だねぇ♪ 早く素直にボクの女になれば、気持ちい事いっぱい出来るのに、キミは人生損してる事に気づくべきだよ。 ボクって案外一途なんだよね。 愛してるのはキミだけだよ。 エリスちゃん」
エリスは、少し微笑んで怪人に話しかける。
「インキュバス君だっけ? 君のその姿じゃアタシとじゃ合わないんじゃないかな? どう見たって怪人ですって恰好じゃぁ、好きになれって言う方が難しいと思うよ?」
インキュバスは得意げな表情で、左手を大きく挙げて、指を鳴らすと、スーツ姿のホスト風に姿が変わる。 そして、壁にもたれ掛かり、甘い口調でエリスに話しかける。
「この姿でどうかな? エリスちゃんをとろけさせてあげられるのは、ボクの一途な心に任せてくれればいいんだよ」
エリスは、少し微笑んでインキュバスに話しかける。
「今回のお仕事も、大成功だったんだよね。 大勢の女の子引っかけて来たんでしょ? インキュバス君大活躍だって、マグナス様が凄く褒めてたよ? 四聖王よりよっぽど頼りになるってね」
インキュバスは少し頭を掻き、嬉しそうな口調でエリスに話しかける。
「マジで? 俺ってそんなに凄いのかな? いやぁ、そう言われると俄然自身湧いちゃうなぁ♪ これがホントのナンバーワンの実力ってやつっしょ。」
エリスはうつむき、必死で笑いをこらえていた。
「マジ単純だよね。 アンタのどこ押したら、一途って言葉出て来るんだか。 それ以前にマグナスがアンタ如きの下っ端の話題出るわけないじゃないの。 ああぁ、笑わせてくれるよね」
インキュバスは思い切り壁を殴りつけ、その拳からは血がにじみ、先程とは違い鬼神の様な表情で吐き捨てる様にエリスを睨み付ける。
「いい気になるなよ? このガキが、どうせこの世界は俺達のモノなんだからな。 敗軍の捕虜は慰み者がお似合いだって教えてやるからな!」
インキュバスはその場を立ち去っていく。
その頃,謁見の間には四聖王と呼ばれる幹部がマグナスの前に勢揃いしている。
一人は赤い竜人の様な姿に盾に剣を一体化したような武器を携え、ロングヘアーのブロンドの髪に白いロングのワンピース姿に船上槍を携えたスレンダーな女性と口論している。
その横で、見るからにショートカットの子供の女の子で、胸元に小さな切れ込みの入った、へそ出しのTシャツに、デニムのショートパンツを履き、ハンドガンを両腰に下げて落ち着きなくはしゃいでいる。
その少女に筋肉質の体に背中と両腕に亀の甲羅の様な盾と巨大なアックスを携えた、マグナスとそう年齢の変わらない壮年の男性が少女を叱りつける。
「やめないか! シルフィード 帝の御前であるぞ。 無礼は許されることではないのだぞ!」
シルフィードは筋肉質の男性に反論と、マグナスに意見を述べる。
「ノームのオジジは堅すぎるんだよね。 もう新しいデッキの在り処はシルフィーちゃん見つけたって、拾って来てってお願いしちゃったんだよね。 マグナスお父ちゃま。 デッキ持って帰ったら、シルフィーが一番偉い子だよね? お父ちゃまの一番大事な子供になれるんだよね?」
ノームの前に竜人が口を挟む。
「シルフィード! 貴様勝手な事をしたら陛下に申し訳ないと何度言えば言えばわかんねん!!」
そこに、ロングヘアーの女性も加わる。
「シルフィー! マスターの許可も得ずに勝手な事をして、これで、人間に万が一デッキを奪われるようなことがあれば、脅威となるのですよ?その辺をちゃんと分かってるのかしら?」
シルフィードは、勝ち誇った表情で2人に反論する。
「サラマンダーもアンダインも、このシルフィーちゃんに任せなさいって。 人間如き、軽く返り討ちで、ゲットだよ」
そのセリフでサラマンダーとアンダインは余計焦るのだった。