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黒犬

作者: ミーン


今日もどこかの掲示板に、見えない誰かに対して「死を勧める」酷い言葉が書き込まれている。

こんな言葉を平気でつかえるのは、身近なものの死を経験したことがないからだろう。


「そんなことくらい知ってる」


そう言うかもしれないその人は、本当の死を知らない幸せな人なんだろうな。




もともと生き物は、自分と自分に都合のいい家族や仲間と助け合うことで、より自分が有利に生きられるようにして進化の流れを生き抜いてきたと聞いたことがある。


だから毎日、世界中のどこかで何十、何百、時には何千のものたちが、理不尽なことで命を奪われていくことに心が動かされるのは、ほんの一時だけのこと。

明日なり明後日になると、自分のことや新しい次の「犠牲者」のことで頭がいっぱいになっている。

それが身近なものであってもすぐに忘れられるなら、それは身近なものじゃない。


本当の死とは、自分にとって絶対に死んでほしくないものが死んでしまうことだと思う。


それが人だけでなく飼っている犬や猫であっても、死んでほしくないものがいなくなるのは見知らぬ何百人もの人が死ぬよりはるかに悲しくて、はるかに残酷なことだ。




昨日、知り合いの家で飼われていた1匹の犬が死んだ。


朝に出かける時はあんなに元気だったのに、帰ってきた時は庭で冷たくなっていたそうだ。

わたしにもよくなついていて、遊びにいくと飛び跳ねて歓迎してくれていたのに。


人の死とペットの犬の死は違うし、わたしもそうだと思う。

だけどこんなに悲しいのは、やはりあの犬はわたしにとって身近な存在だったのだろう。




責任なく自分の思いを書き込める場所には、今日も見えない誰かが、見えない誰かに向かって死を勧めている。


この人たちは本当に幸せなのだろうか。



知り合いから今日教えられてまだ動揺しています。

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― 新着の感想 ―
[一言] 悲しいですね。 わたしは掲示板というものが嫌いで、調べものを検索してうっかり見てしまうとたいていすごく嫌な気分になります。 ちょっと、おかしいよね?、とやっぱり思っちゃいますよね?
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