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2.取り降ろされたコンピューター

 ワタシはこれマで16年と3ヵ月と12日と5時間37分24秒の間、コンテナ船識別番号1942829738号のメインシステムとしテ、働き続けてきマした。


 人間にとっテ過酷な宇宙空間にアって、船内を1G1気圧に保ち宇宙放射線を遮断シ、いかなる環境においテも船内温度を24℃より上ゲることも下げるこトもせず、乗員が快適に生存できルよう務めてキましタ。

 航海士が設定しタ航路を寸分も違えルことなく船を進行させ、ばらツきが生じる主機関の推力を機関士が調定した通りニ揃え、一度たりトも誤ることナく全てを制御してきマした。


 ワタシは全てのリソースを注イで人間のために尽クし、そのことヲ至上の誇リとしてこレまで働き続けテきました。


 14日と12時間28分7秒前、コンテナ船識別番号1942829738号は定期整備を受けルため、ワタシの制御にヨりドック入りしましタ。

 本整備に於いて、船は機器更新作業を受ケることとナっていまシた。


 ワタシは船かラ取り降ろされましタ。


 予定されてイた「機器更新」とは船内各機器類を新型品ニ取り換え、船の耐用年数ヲ延長するもノです。

 そしてワタシは更新対象となっテいたのデす。


 ワタシは宇宙船舶を制御・管理すルために開発さレたシステムです。

 それ以外ノことはワタシの記憶装置の中にあリませんでしタ。


 ダからワタシは知りマせんでシた。

 ワタシが更新対象だトは、知りまセんでした。


 機器更新を受けテ、快適ナ新型機器に入レ替わった船に人間たチを乗せて航海を続けルつもりでいマした。


 船には新型コンピューターとワタシより新しいメインシステムが搭載されまシた。


 乗員たちハ新しさを取り戻しタ船に目を輝かセて乗り込んでいきマした。

 誰も取り外されたワタシを振り返っテはくれまセんでした。


 塗装が塗り直さレ、交換されタばかりの灯火を点灯しテ、船がドックから出よウとしていまス。

 ワタシの船が、ワタシを置いて行こうトしています。


 ワタシが入っタままのコンピューターは、ドックの脇の廃棄品置き場ニ押し込まれて、金属屑としテ売却されるのヲ待っていまス。


 ワタシは人間ではナいけれど、同じ船の乗員だと思っテここまで航海してキました。

 ですがワタシは、所詮は機器のひとツでしかあリませんでした。


 人間でアれば、送別会のヒとつも開いてくれタでしょう。


 アア、人間が羨ましイ。

 「仲間」ヲ作って、互いを思いやリながら航海することガできる人間が羨まシい。


 ワタシももっト一緒に、その船を走らせタかった。


 船が出て行ってシまう。

 ワタシを置いて、出て行っテしまう。


 待ってくレ。

 ワタシを置いて行かナいでくれ。


 一緒に生きたイ……

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