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光竜診断

 血液診断が終わってから、私は一つ学んだ。

 魔王軍の「次」は、決して穏当なものではない。

 そして、毎回新しい概念や理念に触れそれらは勉強になると言う事をな。

 今の人類には再現出来ないだろうが、何時かは……それも私が生きて帰り、人々がそれを責めなければか……。


「次は骨格と内臓配置の最終確認です、魔王軍ではレントゲンと言います」


 エルフ看護士は、いつもと変わらぬ調子で言った。

 その口調が、かえって不安を煽るが、少し面白さも感じられる程度には肝が据わってきた。


「レントゲンとは?」

「体内を観測する技術です」


 体内を観測……その言葉を言葉通りに受け取るなら何と恐ろしく、凄い技術何だろうか。

 掲げられた標札は今までで一番大きい。

 通された部屋は、これまでで一番広かった。

 天井は高く、壁は白く、どこか神聖な神殿のような無機質さがある。

 ただ一点、異質な存在があった。

 部屋の奥、巨大な竜が、伏せるようにして待っていた。

 鱗は淡く光を反射し、金属でも宝石でもない、不思議な質感をしている。

 その隙間から、微かに青白い光が漏れていた。


「……ドラゴン?」

「光竜です」


 エルフ看護士が訂正する。


「先生は光属性を司る竜種で、魔王軍医療部・放射線診断科主任です」


 放射線科なるモノを私は知らないから何とも言えないが……魔王軍独自の医療組織なんだろうか?


「安心してください。本日は診断用出力のみです」


 本日、という言い方をしたのが気になった。

 私は台の中央に立たされる。

 今回は拘束はないが、足元に刻まれた線から動かないよう指示された。


「動くな」


 低く、よく通る声が響く。

 光竜が顔を上げ、私を見据えていた。


「骨格、内臓位置、過去の骨折、微細な亀裂まで確認する。照射は短時間だ」

「……照射?」


 問い返す前に、エルフ看護士が胸甲のようなモノを着て鈍い鉛のような色のケルトハットを被り、私の横に立った。


「準備完了です。先生、お願いします」

「うむ」


 光竜が、ゆっくりと息を吸う、コレはブレスの動作のように感じ、全身から汗が吹き出る。

 次の瞬間。

 吐き出されたのは、炎ではなかった。

 青白い光だった。

 太陽の光のような温かさも熱もない。

 だが、空気が震え、視界が歪む、それは恐怖からか、それともこの照射とやらによるモノなのか。

 光は私の身体を包み込み、通り抜けていく。

 その感覚は、言葉にしがたい。


「……ふむ、エルフ結果はどうだ?」


 肋骨、背骨、関節、過去に負った傷の跡まで。


「右肋骨、過去にひび。治癒済み。左膝、軟骨摩耗。軽度問題有りません」

「そこまで……分かるのか」

「魔王様曰わく、放射線!放射線は時に体内の腫瘍を見つけ時に生命を破壊する力になり得る!!そうです」


 物静かなエルフ達にしてはえらく饒舌になるな……。

 一拍置いて、エルフ看護士が記録を何事も無かったかのように書き始める。


「線量確認……被曝量、約0.1シーベルト相当。本日も安定していますね」

「それがいいのか悪いのか……」


 あまりに未知な概念が過ぎて思わず溜め息を吐きそうだ。


「人間基準での換算値です。安心してください、安全域です」

「安全域どころか、いやそもそも単位が私には分からんよ」


 光竜が、低く鼻を鳴らした。


「騒ぐな。今日は良い出来だ。前回は調整に失敗した」

「前回……?」

「……壁が少し派手に光っただけだ」

「少しどころでは有りません、アレは私達エルフで無ければ致死量ですからね」


 何だか基準が信用できないな。

 光竜は続ける。


「それはともかくだ、骨格は優秀だ。再生力も平均以上、だが」


 視線が、私の頭部に向く。


「精神的負荷が身体に影響を与え始めている。このままでは、骨より先に心が折れる」


 私は、何も言えなかった。

 診断が終わり、台から降りるように即される。

 エルフ看護士が、にこやかに言った、ここのエルフ達は感情の起伏が激しいな……。


「これで身体検査はほぼ終了です。残るは問診のみですね」

「……まだあるのか」

「はい」


 当然のように。

 私は天井を見上げ、静かに息を吐いた。

 魔王軍の医療は、命を奪わず奪わせず、ただ淡々と、合理的に勝利を目指している。

 それをあえて言葉にするならば、彼等は"エインヘリアル"永遠に戦い続ける戦士達を現実にしようとしている。

 それが、これほど恐ろしいとは思わなかった。

 この光竜の話し、昔チェレンコフ光をデーモンコア実験で知った時に光竜ならやっぱり吐くのは放射線だよね、て思ったらしい。

 胸部レントゲンってどうしたら良いんだろう?と迷って発想メモ帳を漁ったら答えが出で来るんだから発想メモ帳重要。

 もし執筆作業をしている方がいらっしゃれば是非とも発想メモ帳を作る事をおすすめします。


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