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くっころ勇者

久しぶりの投稿です、頭の体操に軽~く書いたので気楽~に読んでくださいませ。

 魔王城の玉座の間は、思っていたよりも静かだった。

 血の匂いも、死体の山もない。

 ただ、石造りの床に自分の荒い息だけが落ちている。

 魔王軍との決戦に敗れた人類連合国軍、その戦闘たるや惨憺たるモノであった。

 十万を数えた我が方の軍は、カンヌェー村近郊での戦いで包囲殲滅され、生き残った将兵は僅かに数千程。


 私は敗軍の将として魔王軍に拘束され、連行された。

 魔王軍の火竜に捕まれ魔王城に連れてこられ、魔王の前で膝をついていた。

 私の剣は包囲戦の最中に折れ、盾はひしゃけてしまい、それらは投降した際に奪い去られてしまった。


 それでも、心はおれず目だけは魔王を睨みつけていた。


「……やれ」


 かすれた声で言う。

 ここまで来て、生き延びる気などなかった。

 何万人もの将兵を死なせた責任は間違い無く自分にあると思っていた。

 私は魔王に膝を屈し、戦闘の折りに解けたのか紐が切れたかで広がってしまった髪を地面につけ、首を差し出した。

 玉座に座る魔王は、少し首を傾げた。


「やれ、とは?」


「とどめだ。魔王だろ……勇者を殺せ」


 魔王はしばらく黙っていた。

 考えている、というよりは、何かを吟味しているような沈黙だった。


 やがて、ため息を一つ。


「殺す必要を感じないな」


 その言葉に、女勇者は顔を上げ一瞬、理解できなかった。


「……は?」


「勇者を殺すのは、毎回面倒でな、殺しても直ぐに新しい勇者が差し向けられる」


 その言い方は忌々しげで、今にもため息の一つも吐きそうな感じであった。

 勇者は呆然と口を開けたまま、魔王を見上げる。


「それに雌の勇者とは何とも殺しづらい」


 何を言っているのか一瞬理解出来なかった、男であれ女であれ、勇気有る者は立ち上がる、そう言うものだ。


「女だから殺さないと言うのか?」

「それは理由の一端に過ぎぬ、事態は高度に政治的な事でな、最も貴軍程複雑では無いがね」


 魔王は淡々と続ける。

 戦争に政治を持ち込めば倒される、忌々しい事に諸国連合国で何時も頭を悩ませ続けさせられた問題だ。

 そして私は最後、決戦を望む諸国軍の将達を抑えきれなかった。

 整然とした魔王軍に我々では勝てない、故に古来の将に習いファビアン戦術で持久戦で敵の戦闘能力を低下させようとしたと言うのに。


「お前は我が軍に従属しろ。使ってやる、少なくとも連合国軍よりかは働きやすい」


「……断ると言ったら?」


「うむ、魔王軍捕虜取扱い規定第四条、捕虜は国家の管理下に置かれる捕虜は個人ではなく、魔王軍の権限下に置かれる。規定第七条、食事・衛生・医療は魔王軍と同水準を与える。しばらくは虜囚の身となるだがさし当たりは治療。最後に説得だ」


 勇者は何と言うべきか悩んだ、自分達の軍制とは明らかに異なるからだ。

 魔王軍の兵士が近づいてくる気配がする。


「安心しろ」


 魔王は、まるで事務的に告げた。


「つまりはだ魔王軍では、捕虜も魔王軍の将兵と基本的には同じ扱いだ」


「同じ扱い?」


「まず、治療、その後健康診断を受けてもらう」


 その瞬間、勇者の背筋に嫌な予感が走った。

 医者に見て貰う、それはあまりにも危険な行為でもある。

 理髪外科医に瀉血をされ、傷口に煮え油や焼き鏝で止血をする……自分は確かにボコボコにはされているが、わざわざ医者にかかる程ではない……はずだ。

 付け加えるなら、万人に一人と言われる治癒士にかかれるはずも無い。


「……ちょっと待て」


「健康な身体からしか、忠誠も戦力も生まれん」


 扉の向こうに声を投げる。


「医療部。新規患者だ!連れて行け!!」


 四人のエルフが来て私を担架に乗せて、玉座の間から運び出されて行く……コレから自分の身に降りかかる苦痛を考えると、ため息が出そうだった。

年末の健康診断で思いついた事を年末年始の休みで書いたんだが、よく考えたら小生勇者モノは薄い本とまおうゆうぐらいしか知らない...。

異世界ガチ勢の人、間違ってても怒らないでくださいませ。

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