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テイマー忍者 〜ソロ忍者は従魔と共に駆け回る〜  作者: 花屋敷


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お茶パーティをするのです

 雪原エリアにある森の中の雪男を相手にレベル上げをしてレベルが112になった時、両クランのパーティが115になった。


 そうそう、俺たちが110になった時にクルミの体が光ったんだよ。AIのミントに確認したら、スロウの効果時間が2分から5分に伸びた。スロウの効果5%とリキャストの10分は変わらないが、効果時間延長は嬉しいぞ。クルミもジャンプして喜んでいたよ。


 彼らが115装備を更新したというので話を聞かせて欲しいと言うと、彼らの方から開拓者の街にある俺の自宅に来ることになった。その上、どうせなら皆呼んでお茶を飲もうという話しになった。いや、なったというかリンネが言ったんだよ。


「主、たくさん人を呼んでパーティするのです。最近パーティをしていないからそろそろやるのが良いのです」


 リンネが言うと他の4体の従魔も大喜びするんだよ。お前らパーティ好きなのか?


「ガウ!」


「ランとリーファは頑張って作った果物を大勢に食べてもらいたいのです。タロウとクルミはみんなの前で主を自慢できると喜んでいるのです。皆パーティが大好きなのです」


「自慢と言ってもだな、顔見知りばかりだぞ?」


 俺がそう言ってもそれでもいいのだと言う。

 自分自身もこの家に沢山の知り合いが来るのは何も問題ない。梨や苺をお皿に盛り付け、人数分の湯呑みを用意していると、庭に10名の知り合いが入ってきた。タロウとリンネ、それに最近はクルミが出迎え役だよ。ランとリーファは俺の両肩に座って入ってきたメンバーにサムズアップで挨拶をする。先頭にいたスタンリーが挨拶を交わしたあとで言った。


「大勢で押しかけて悪いな、タク」


「いや、全く問題ないね。従魔達も喜んでるし」


 いつもの4人はしょっ中ここに来ているけど、他のメンバーはここも久しぶりだなとか言いながら庭を見ていると川に浮かんでいる船の近くにいた1人が声を出した。


「川で魚が泳いでるじゃん。どうしたの?」


「水の街の港で釣った魚だよ。AIに聞いたら自分の敷地からは出ていかないって話しだったんでね。釣ってこの川に放流したんだ。ランとリーファとクルミはよくこの小川の中を覗き込んでいるよ」


「川に魚が泳いでいて木の船がそばにあるなんて、風情があるわね」


 小川のそばに立って見ている神官のルミが言うと周りからその通りだという声がする。


「本当にタクはゲームを楽しんでるよな」


「そうそう。それでいてさ、ポイントは押さえているのよ」


 クラリアのパーティで神官をしているユーリが言った。ポイントと押さえているというか、たまたまなそうなっているのが多いけど。


「ところでそれが更新した装備?皆格好いいね」


 一通り庭を見て縁側に座ったタイミングで全員の装備を見た俺、今までの装備とは違う。何というかどのジョブの装備も高級感があるんだよ。色使いは基本ジョブことに変わっていないが、たとえば盗賊のクラリアは前の緑よりももっと落ち着いたというか少し青が混じった様な緑色の防具になっている。


 他のジョブのを見ても単色じゃなくて少し他の色を混ぜた感じの色でそれがすごく格好いい。当然能力も優れているんだろう。


「見栄えはもちろん、どのジョブの装備も性能は上がっている。ただな、いい値段するんだよ」


 新しい装備は600万前後するそうだ。武器も600万前後だという。セットで揃えると1人1,200万から1,300万かかる。俺の場合だと刀が2本あるから2,000万近いってことかな。


「高いが、お金に見合う効果はある。これに変えるとセーフゾーン周辺の雪男の討伐が格段に楽になった。レベルが上がったことは当然あるけど、装備系の充実も間違いなく実感できるレベルだよ」


 スタンリーと同じ防具を身につけているトミーが言った。武器は片手剣と大剣で違うが値段は似たようなものらしい。他のメンバー、神官や魔法使いの連中も装備を変えると魔法の威力が増すし、魔力量も増えたのが実感できると言っている。


 ゲームはレベル上げと金策をして装備を強化するものだからと皆納得している様だ。どちらのクランも金をしこたま持っているのは知っている。


「その装備を次の街で強化する。そんな流れなのかな」


「そうなると思う」


 彼らは明日からはセーフゾーンを中心に範囲を北に広げながら探索をするそうだ。


「森がどこまで続いているのか、雪男のレベルやそれ以外に敵がいるのかどうか。調査することは多いのよ」


 この場にいる10名は精鋭中の精鋭だ。次のエリアはさっくりと見つけてきそうな気がする。


「タクはレベルいくになったんだい?」


 情報クランのパラディンであるリックが聞いてきた。


「112に上がったところだよ」


「じゃあ115までもう直ぐだな」


 リックはそう言うけどあと3レベル上げるのは俺にとっては結構大変だよ。普段のペースで考えると3、4日で1レベル。上に上がると必要経験値が増えているから平均4日かな。となると12日後先、外に出ない日もあるだろうし、インしない日もある。ざっくり115に上がるのは2週間先になるな。2週間先なら彼らは新しい街を見つけているだろう。うん、彼らにお任せだ。


 それから俺が雪原で乗っているソリの話題になった。何でも掲示板でもチラッと話題になっていたそうだ。メンバーが見たいというので庭にソリを出すと皆近寄ってきてソリを見る。トミーとクラリアは以前見ているけど、それ以外のメンバーの前では初めてのお披露目だ。


「よくできてるな」


「船を作ったタクだからな。ソリも作れるだろうけど、でもよくできたソリだ。頑丈そうだ」


 皆ソリを見て好意的な感想を言ってくれる。嬉しいんだけどマルチナの手が相当はいっているんだよ。


「これに乗って雪の上を移動してるの?」


 ルミが言うと、リンネとクルミがソリに乗ると前の板を掴む移動中のポーズになる。その後ろで俺がソリの上に立った。


「こんな感じだよ。タロウが引っ張ってくれるんで楽させて貰ってる」


「ガウガウ」


「タロウは雪の上で、ソリに乗っている主を引っ張って走るのが大好きなのです」


 俺がソリから降りると乗ってもいいかと数名がソリの上に乗ってなるほど、こんな感じなのか。なんて言っている。


「タクみたいにソロだと普段から従魔に引っ張らせて移動や戦闘が出来るけど、5名の固定メンバーだと難しいよな。1枠か2枠取られてしまう」


「そうだな、だからプライベートの時に乗るくらいだろうが、ソリを走らせるエリアは108のホワイトウルフがいるエリアだ。こっちのレベルが上がってソロで108の敵を倒せる様にならないとなかなかプライベートで1人でソリに乗るのは厳しいだろうな」


 こっちは半分遊び用で作ったソリだからね。作ると自分が想像していた以上に従魔達が気に入ってくれたよ。せっかくだからと俺はその場で端末から皮の胴衣を取り出してタロウのお腹に巻いてロープを通した。


「なるほど、こうなってるのか。それにしてもしっかりした胴衣だな。これなら長く使えそうだ」


 ジャックスが言うとトミーがこれは皮革マイスターのマルチナの作品だと言った。するとこの場にいた全員が彼女が作ったのか、そりゃいいものに仕上がっているはずだと言っている。


「マルチナは有名なのか?」


 聞くと合成関係ではそれぞれの分野でトップのマイスターがいて、名前が売れているそうだ。トミーが教えてくれたが、鍛治ならアンドレイ、木工ならケン、裁縫ならミユキ、彫金ならユズリハ、錬金ならシズル、そして皮革ならマルチナだそうだ。アンドレイ、ケン、そしてマルチナは知っている。皆有名人だったんだな。なるほどと思って聞いているとトミーが続ける。


「あともう一つある。窯業だ」


 俺のスキルが一番高い合成分野だ。誰なんだろう。


「窯業はマイスターになったばかりのプレイヤーが第二陣の中にいるが、一番有名なのはその彼じゃなくてタク、お前だよ」


「は?俺?スキル60ちょっとしかないよ。マイスターでもないし」


 いやいや流石に俺ってことはないだろう。そう思っているがタロウやリンネはその通りだと言わんばかりに尻尾をブンブン振っている。クルミもしかりだ。


「焼き物を作ると主が一番なのです」


「ガウ」


「タロウやリンネの言う通りなんだよ。何と言ってもバザールに出品している従魔の置物、この出来栄えが素晴らしいという評価だ。渓谷の街にある森小屋にも置物が置いてあるだろう?バザールに行かない連中もあの小屋でタクの作品を見ているんだよ」


 それでもマイスターがいるのならそっちだろう。そう思っているとマリアが有名なプレイヤーってことになるから窯業ではタクが圧倒的に有名なのよ。と言った。技術じゃなくて知名度?でもケンとかマルチナは技術もあるぞ。


 そう言ったが、彼らはこれは自分たちが決めたんじゃなくて、PWLをプレイしているプレイヤーの中での評価だと言った。


 知らない間に名前が広まっているってことか。びっくりだよ。そうは言っても俺はソロであまり人が多くいる場所に行かない、評判は気にしない様にしよう。



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