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西の洞窟

 4人が庭に入ってきた。俺はリンネに言われた通りにお茶と果物を準備して待っていたよ。


「南門から出て山裾を東に移動するのは考えていなかったな」


 お茶を一口飲んだトミーが言うと俺たちもだとスタンリーが言う。


「南エリアは前のエリアのエリアボス戦に勝利してから新しい街へ行くための道路がある場所という認識で探索の優先度は低かったものね」


「そうそう、北や東や西門から外に出たら一面雪原、その先がどうなっているのか、まずそこのエリアを探すわよね」


 4人が言っているがそれが普通だろう。俺はたまたま南門から出て経験値稼ぎをしてなかったからどうなってるのかなとそのまま山裾に沿って魔獣を倒しながら東に進んでいたらその洞窟を見つけたんだという話をした。


 スタンリーから雪原の街からどれくらいだったと聞かれたので魔獣を倒しながら5時間ちょっとかかったというと普通ならそれはセーフゾーンだよなと言う。


 敵のレベルが最後は108の狼だったと言う話をすると、彼らが街の北や西の雪原で相手にしているのもそのレベルの狼だそうだ。ちなみに彼らはレベルが102になっている。装備が良いと言っても彼らなら普通にレベルが6つ上の敵を相手にできるんだな。流石だよ。


 彼らは明日と明後日でこの2か所の洞窟を見つけて転送盤の登録をするという。俺は西の洞窟を探して登録しないと。


「タクの話を聞いている限りだけど、そこが次の街の途中にある場所というよりはレベル上げをするプレイヤーのための場所という位置付けの方が強くないかい?」


「スタンリー、そう決めつけるのは早いんじゃないか。例えば東西のどちらかはレベル上げのプレイヤーを対象にしているが、もう片方は次の街への中継地点になっている可能性もある」


 なるほど。


「あるいは両方とか。試練のエリアがそうだったでしょう?森の街を起点として水の街と土の街に行くことができた。今回は雪原の街を起点として2か所に行けるとか」


 確かにマリアの言葉も一理あるな。


「雪原の街で売っている装備が115からでしょ?今の雪原の街で115に上げるとなるとかなり遠くまで足を伸ばして経験値稼ぎをする必要があるわ。東の洞窟の周辺が108としたら115レベルまでのレベル上げの中間レベルにならない?」


 クラリアはレベル上げの拠点じゃないかと言っている。皆思いつくことを自由に話すのは楽しいよ。未知のエリア、新しいエリアならではだよな。


「タク、小屋がある洞窟は奥がなくて行き止まりだったんだよな?」


「俺達が行った東の洞窟はそうだった。だだっ広くて中に小屋がある。奥に伸びている通路、坑道はなかったよ」


「となると東側はダンジョンや印章NM戦の場所じゃなさそうだな」


「ところで雪原は森があるって話だけど見つかったの?」


「いや、まだ見つかっていない。俺たちは北門から出て、情報クランは西門から出て北西方面の雪原を探索しているけど、どちらも起伏のある草原エリアで森らしきものは見つかっていないんだ」


 となるとこのエリアは相当広いんじゃないかな。そう言うと皆も同じ見方をしていた。

 

「それにしても転送が1回2,000ベニー、いい値段するわね」


「しかも自動で回復できないかわりにポーション類を販売している。商売人よ」


 マリアが笑いながら言っているが俺も同意だよ。ゲームとはいえ、ちゃっかりしてるよな。転送版使うよりポーションの方が安いからな。


 彼らは、まずはその洞窟に出向いて転送盤を登録する。そこを起点にしてさらに東西方向を探索してみようということになった。ただ北方面や西、東方面の探索も続けないといけないので情報クランと攻略クランの他のパーティに頼む様だ。もちろんまずは2つのクランに所属しているメンバーが東西の洞窟を訪ねて、転送盤を登録するのが先だけど。


 それから手分けをして探索範囲を広げる作戦になったみたいだよ。情報クランは東西の洞窟を訪ねた後でこの洞窟の情報を公開する予定だそうだ。


「またタクがお金持ちになるわね」


「毎度ありがとうございます」


「それでタクはこれからどうするの?」


「まずは西の洞窟の転送盤を登録すること。その後はそのまま西に行くか北に行くか。でたとこ勝負だな」


「主、明日は違う洞窟を探すのです?」


 それまで俺の膝の上で大人しくしていたリンネが顔を上げて聞いてきた。


「そうだよ。明日は今日とは違う洞窟を探すつもりだ」


「タロウとクルミとリンネに任せるのです。主のためにばっちり探して見つけてあげるのです」


「リンネちゃんはタクのために頑張るんだよね」


 俺とリンネのやり取りを聞いていたマリアが言った。当然なのですと9本の尻尾を振りながら答えている。背中を撫でてやると尻尾の振りが一段と大きくなったよ。


 次の日、俺達は南門から出ると山裾を西に進んでいく。出会う魔獣の種類やレベルの上がり具合は同じだ。103の一角ユキウサギは問題なく倒せる。と言っても実際はタロウやリンネが倒していて俺は何もしていない。クルミは毎回律儀に俺に魔法壁を作ってくれるんだけど攻撃されないんだよな。


 敵を倒しながら西に進むこと5時間半弱で、無事にというか予定通りというか山裾に大きな洞窟を見つけた。入り口に柵があるのも同じだ。中に入ると東の洞窟とほとんど同じ造りになっている。洞窟も広いし、中にある木屋も石造りだ。俺たちが洞窟の中にある小屋、『西の洞窟』に入ると、中に情報クランの5名が座っていた。先に転送盤を登録してから彼らが座っているテーブルに近づいた。


「こんにちはなのです」


「リンネちゃん、こんにちは」


 小屋には彼ら以外いないので俺たちは隣のテーブルに座る。俺が座るとタロウが座っている椅子の横でゴロンとなる。俺が座ったらしばらくここから動かないのを知っているんだよ。クルミはポンチョのフードの中、リンネは俺が椅子に座ると頭の上から膝の上に移動してきた。


「情報クランがこっちにいるってことは、攻略クランが東に行っているのかな?」


「その通り。どう?ここは。東の洞窟と同じ?」


 クラリアが聞いてきた。


「同じだね。洞窟の広さもこんなもんだし小屋のサイズも同じだ。エリアボスを倒してから出てきた洞窟を中心にして左右対称な場所にあるね」


「やっぱりレベル上げの中継地かな?」


「どうだろう。でもここを利用してレベルを115に上げろということだと思うんだよ。いちいち街に戻ってたら効率が悪すぎるよね」


 俺が言うと他のメンバーもその通りだろうと言っている。


「この小屋が次の街への中継店を兼ねているのかどうかはまだ分からない。こっちのレベルが115に近づいたら何か見えるんじゃないかな。今は102だ。まだまだこのエリアじゃひよっこだ」


 そうそう、トミーの言う通りだ。俺たちはこのエリアに来たばかり。彼らはこれから転送盤を利用して一度雪原の街に戻るそうだ。俺たちはせっかくだからこの周辺で経験値を稼ぐことにする。

 

 情報クランのメンバーが転送盤に乗って消えると、ここにいるのは俺たちだけになった。受付にいるNPCに聞いてみたけど新しい情報はない。


「これから洞窟の外で敵をやっつけて経験値を稼ぐぞ」


「ガウ」


「稼ぐぞ、なのです」


「クルミも頼むぞ」


 タロウの背中の上でしっかりジャンプして応えてくれるクルミ。そのまま街の外にでて2時間程レベル108のホワイトウルフを倒したけど、何もドロップしなかった。ただそれなりに経験値が稼げたので次かその次くらいでレベルが上がるんじゃないかな。


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