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レベル100

皆様、明けましておめでとうございます。本年も引き続きよろしくお願い申し上げます。


 翌日は北門から外に出てみた。他の門から外に出た時と景色がほとんど変わらない。細かい雪が降っているせいか遠くの視界が曇っていて見えないんだよな。山があるのか無いのかも分からない。


 雪原にいる魔獣は一角ユキウサギで同じだ。何体か倒すとレベルが上がって100になった。と同時に従魔達にも大きな変化が出た。


 クルミの身体が光り出した。そしてリンネも大きく身体を震わせた。見ると尾が9本になった。タロウもいつもより大きな声でガウガウと吠えている。タロウにも変化があったみたいだ。従魔3体が全て成長したみたいだぞ。


「主!尻尾が増えたのです。9本になったのです」


 そう言って俺に9本になった尻尾を見せてそれをブンブンと振り回す。器用だな。


「リンネすごいぞ、これで本当の九尾狐だ。よし、とりあえず北門まで戻ろう」


 俺たちは一旦北門近くの敵が現れない場所に戻ってくると、そこでAIのミントに確認してみる。


(リンネは尻尾が9本になってどうなったの?)


(はい。尾が9本になり九尾狐としてのステータスが上がりました。具体的には魔法の威力が大きく増し、敵対心が減少します)


 今まで以上に強い魔法を撃てて、そして敵対心は更に減るのか。


(クルミは?)


(はい。クルミはレベルが上がって新しいスキルを覚えました)


 おっ、これは期待だ。


(具体的に教えてくれる?)


(はい。敵の動きを遅延させる魔法を覚えました)


(ダンジョンボスが使ったスロウの魔法かな?遅延効果はどれくらい?)


(遅延効果は5%、効果時間は2分、リキャストは10分です)


 5%動きを遅くさせるのか、これはでかいな。効果時間2分も結構あるぞ。フィールド上の相手なら十分だ。


(タロウも何かあるのかな?)


(はい。タロウはレベルがアップしたことにより攻撃力と素早さの両方がアップしました)


 レベルが100になると皆一斉に強くなったな。で、俺はどうなんだろう?


(タクはレベルに応じてステータスがアップしました)


 うん、俺は予想通りだった。それにしても従魔が強くなるのは助かるな。俺は今AIから聞いた話を3体の従魔達にする。


「ということでだ、今からもう一度雪原に出て敵を倒すぞ。そこで皆の新しく得た力を試してみよう」


「みよう、なのです、主、タロウとクルミとリンネに任せるのです」


「ガウガウ」


「よし、頼むぞ」


 北門から再び雪原に繰り出すと、すぐに一角ユキウサギが現れた。何も言わなくてもクルミがスロウの魔法を撃つ。それからリンネが精霊魔法を撃つとごっそり体力を削ったみたいで、タロウの蹴りで敵が光の粒になって消えた。討伐時間が短過ぎてクルミの魔法の効果を見ることができなかったけど、魔法がしっかりと命中していたのは見えた。リンネの魔法も今までよりも大きいし、タロウの蹴りも威力が増しているのがわかる。


 今の戦闘、俺は何もしてないが従魔達が強くなったのならそれで十分だよ。


「皆すごいぞ。これでまた強くなったな」


 その後も数体倒して従魔達の新しい力を確認すると、俺たちは一旦自宅に戻ると、その足で隠れ里に向かった。リンネの尾が増えたことを両親と隠れ里の人たちに報告しないと。


 ダミー岩を抜けた先の通路の出口にユズさんが立っていた。リンネの尾が9本になったということを報告するとすごく喜んでくれて、村長に見せてあげてくださいと言った。


「リンネ。両親に会う前に村の人に挨拶をしたいんだけどいいかな?」


「大丈夫なのです。お世話になった人に尻尾をお披露目してから父上と母上のところに向かうのです」


「ありがとうな」


 聞き分けの良い子で助かるよ。頭の上に乗っているリンネを抱えて撫でると尻尾をブンブン振って喜んでくれる。ユズさんと一緒に村長の家に行き、クルスさんにリンネの尻尾を見せるといたく喜んでくれた。


「これで大主様の後継ぎとして問題ないですね。村の者たちも喜ぶでしょう。いや、本当に立派に成長されましたな」


 村長が感激しているよ。

 挨拶が済むと村にある祠にお参りだ。前をリンネが歩き、その後ろに俺、俺の横にタロウが歩いている。クルミはいつものフードの中だよ。


 参道を歩いて階段を登ったところにこの村の守護神でもある大主様夫婦がいた。それを見てリンネが走り出した。


「父上、母上、リンネの尻尾が9本になったのです」


 そう言って両親に尻尾を見せているところに俺たちが彼らの前に着いた。


「確かに立派に9本の尾がある。これでリンネも名実共に九尾狐になったな」


「よく頑張ったわね、偉いわよ」


 両親に褒められて嬉しそうだよ。


「タク、我が娘をよくぞここまで育ててくれた。礼を言う」


「いえいえ、リンネはいつも頑張ってました。自分で努力して強くなったんですよ」


 そう言うと隣のタロウもそうだと言わんばかりに尻尾を振りながらガウガウと吠えている。リンネを見ていた大主様が俺を見た。


「リンネの尾が9本になった。本来ならこれからはこの祠でわしらの後継の修行をせねばならぬ。ただリンネはまだまだ子供だ。経験が足りない。なので今まで通りにタクと一緒に世界を周らせてもっと知識と経験を積ませたいと思うのだがどうだろうか。リンネが十分な経験と知識を得た時にこの村に帰ってきてもらおうと思っておる」


 それは俺にとっても願ったりの提案だ。ひょっとしたらこれでリンネとお別れかなと思っていたからな。


「リンネがOKしてくれれば俺はその方が嬉しいですよ。実際リンネには世話になってますし」


「リンネ、貴方の主のタクはああ言っているけど貴女はどうなの?」


 と母上が聞いてきた。


「リンネは主のタクと一緒に動き回るのが良いのです。あちこちに行って敵を倒してたくさん経験をしたいのです」


「それでいいんだな」


「はいなのです、父上。たくさん経験を積んで立派な九尾狐になるのです」


 リンネが言うと両親が大きく頷いているよ。本当にリアルの対応をするんだよな。頷いていた大主様が俺に顔を向けた。


「ではタク、引き続きリンネを頼むぞ」


「やったー!なのです」


 やったーと言いたいのは俺の方だよ。


「分かりました。今まで通り月に1度はこの村にお邪魔しますね」


 そう言ったリンネが俺の頭の上に飛び乗ってきた。タロウもクルミもこれからもリンネと一緒に動けると知って大喜びだよ。


 俺はもう一度大主様に加護のことを聞いてみると加護については知ってると答えてきた。えっ?この前知らないって言っていなかったっけ?


「タクは以前、港の街について知っているかと聞いてきた。その街については我は知らない。ただ今日聞いてきた加護という言葉は知っている」


 前回は加護という言葉を言わなかったから知らないと言ったのか。聞き方を間違えたな。


「加護というのは神獣が強さを認めた相手に稀に与えてくれるものだ」


 大主様の話では認めてくれて与えられる加護とはプレイヤーのステータスを数段階上昇させる効果があるのだという。


「数段階とは何段階かご存じですか?」


「それは与える神獣によって異なる。皆同じではない」


 なるほど。いずれにしてもバンダナと同じで全部のステータスが上昇するということだ。


「ありがとうございます。よく分かりました」


 また来ますとお礼を言ってお参りを終えた俺たちは再び村長の家に顔を出して大主様と奥様と話をしてもうしばらくリンネと旅を続けることになったと伝えだ。


「そうですか。大主様がそう仰っておられるのなら是非その通りにされるのが良いでしょう。我らはいつでもタクさんを歓迎しますよ」


「ありがとうございます」


 これで義理は果たしたな。あとはコンビニだ。

 村長の家からキクさんのコンビニによるといつも通りに自作したポーションを渡して代わりに沢山の野菜を貰う。


「どうだい?そのポンチョは?」


 着ているポンチョを見てキクさんが聞いてきた。


「いや、重宝していますよ。今いるエリアが雪のエリアなんでね。暖かいので助かります。それにクルミがこのフードがお気に入りなんですよ」


「そりゃよかった。また何かいい品物が入ったら教えてあげるから買っておくれ」


「わかりました」


「わかりました、なのです。また来るのです」


 店を出ると通路を通って外に出た俺たちは転移の腕輪で自宅に戻った。早速従魔達が庭で遊んでいる。リンネが引き続き一緒に活動できるとなって安心したよ。


 自宅に戻るとお留守番をしていたランとリーファと一緒になって庭で遊んでいるリンネ。九尾狐として尾が9本になったけど、こうしてみるとまだまだ子供だよな。


「主も一緒に遊ぶのです」


「そうだな」


 リンネに言われて俺は縁側から庭に出た。ログアウトまでたっぷりと従魔達と遊んだよ。今日は中身に濃い日だった。


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