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シロクマ戦 その2

 4名いるパラディンが2名ずつ交代で盾をしている。クルミはしっかりとその4人にダメージバックの魔法壁をかけている。エリアボスだけあって体力が多い。30分経過しているが今のところ挙動に大きな変化はない。30分過ぎると何も言わなくてもパラディンに魔法壁をかけ直すためにクルミが前に出る。パラディンと俺に魔法をかけるとまた背後の壁際まで下がってそこにちょこんと座る。しっかり自分の仕事をしているな。


 前衛部隊と魔法部隊がボスの足に集中的に物理と魔法攻撃をしているがボスは見ている限りは何ら変化がない。ただ俺たちの攻撃で間違いなくダメージは受けているんだよ。今までのエリアボス戦やNM戦においても序盤は挙動に変化がなくても同じ攻撃を続けていたのでここにいるメンバーに焦りはない様に見える。


「90分経過」


 クラリアの声が飛んだ。時間制限のないエリアボス戦。皆慌てずに自分の仕事をしている。もちろん俺もだ。最初からパラディンががっちり受け止めて、他のメンバーが周囲から攻撃をしてボスの体力を削ろうという作戦だ。蝉は4枚残っている。ボスは前足の攻撃以外に少し前からは後ろ足で蹴りをしてくる様になっていた。それを避けながら前衛が武器を振っている。


 俺たちはゆっくり、確実にボスの体力を削っていった。

 スタンリーが煙玉を1個投げた。コンマ数秒動きが止まったがダンジョンボスほどの効果じゃない。


「120分経過」


 クラリアが声をだしたその数分前にクルミが魔法をかけ直している。タイムキーパーをしているクラリアが背後から強烈な不意打ちを打ち込んだ。するとそれまでひたすら前足でパラディンを攻撃をしていたボスの挙動が変わった。


 ボスが突然後ろ足で大きく立ち上がるとパラディン2人にのしかかってきた。盾を突き出して何とか耐える2人。ただどう見ても大きなダメージを喰らっている。それを見てすぐに待機していた2人のパラディンが前に出て挑発スキルを発動してタゲを取り返す。


「狂騒状態かも」


 クラリアの声が飛ぶ。俺は目の前のボスのシロクマが後ろ足で立ち上がる前からひたすらにその後ろ足に刀を振って傷をつけていたのでボスがのしかかった後のパラディンの様子を見る余裕はない。無いけど声は聞こえてきた。


「大丈夫か?」


「すぐにヒールを」


 もしこの巨体がまともにのしかかってきたのならごっそりと体力を削られている、下手したら体力が0になっているかもしれない。そう思う程の迫力だが、すぐに大丈夫だという声がした。スタンリーが煙玉を投げた。ただやっぱり効果が少ない。


 とりあえず1回目ののしかかりは耐えたみたいだけど、これが続くとパラディンが持たないぞ。俺が一時的にタゲを取るしかないか。そう思ってボスの頭の方に移動しかけるとボスが再び後ろ足で仁王立ちになった。


「下がれ!」


 スタンリーの声がしたその直後、立ち上がったボスの顔に精霊魔法が直撃してボスが頭を振っって動きを止めた。その間に背後に下がったパラディン。ボスがそのまま前に倒れ込んできたがそこには誰もおらず、両前足が地面について大きな音を立てた。


「リンネ、ナイスだぞ」


「主、もっとリンネを褒めるのです」


「おう。すごいぞ」


 ボスが両足で仁王立ちになった時、隣にいたリンネが顔に火の精霊魔法を撃ったのが見えたんだよ。それにしてもリンネは相変わらずマイペースだな。


「煙玉より魔法の方が効果がある、立ち上がったら顔に魔法を」


 俺が叫ぶと魔法使いから了解という声が帰ってきた。パターンを覚えるとそれ以降はのしかかりをまともに喰らうことは無くなった。ただこのボス、異常に体力が多いんだよ。魔法を喰らっても定期的に立ち上がってはタゲを持っているパラディンに倒れ込んでくる。


「150分経過」


 狂騒状態になって30分以上戦闘を続けている。流石に疲れてきた。パラディンが何とか耐えているがそろそろ限界だろう。魔法使い達はMPポーションを飲んでいるが、それでもMPが持たないかもしれない。そう思っても攻撃を止める訳にはいかない。俺たちはこれをやり続けるしかないのだから。


 再びボスが仁王立ちになった、魔法使いとリンネの火の魔法が一斉に顔に飛んだ。と、その直後に大きくジャンプしたタロウが後ろ足でそのボスの顔を蹴っ飛ばした。

 

 その勢いでエリアボスのシロクマの身体が洞窟の地面の上に倒れ込む。何も言わなくても全員が一斉にその顔に剣や魔法を打ち込むと、大きく痙攣してエリアボスの姿がその場から消えた。


「よっしゃー!」


「やったぜ!」


 もちろん俺も声を上げたよ。ボスの姿が消えるとタロウとリンネとクルミが駆け寄ってきた。皆をしっかりと撫でてやる。


 特殊な攻撃をしてくる訳じゃないが、今までのエリアボスの中で一番体力があったんじゃないかな。ぐったりだよ。


「皆んな頑張ったな」


「ガウガウ」


「主のために頑張ったのです。でも焼肉にする前に消えてしまったのです」


「倒せたからいいじゃないか」


 そう言ってリンネを抱っこして頭の上に乗せるとそこで尻尾をブンブンと振る。クルミも俺の肩の上に駆け上がってきた。もちろんクルミもタロウもしっかりと撫でてあげたよ。


「特にいやらしい攻撃はなかったけど、体力がものすごく多かったわね」


「半端ない多さだ。今までのエリアボスよりもずっと多かったぞ」


「攻撃は単調というかオーソドックスなんだけど、桁外れに体力が多い。集中力を続けるのがきつかったよ」


 パラディンのジャックスが言うと他の3人のパラディンも本当にきつかったと言った。いやその通りだろう。一つ間違うとやられてしまうんだから。神官のフォローがあるとはいえあそこまで集中できるのは凄いよ。


「あの全身を使った倒れ込み、リンネが顔に魔法を撃ってくれたから助かったよ」


 本当に疲れたと言っているリックが俺たちを見て言った。他のメンバーもあれで流れが変わったよなと言う。あそこで顔に魔法を撃たなかったら負けていたかもしれないよ。


「それにしても、タクの従魔達は相変わらず優秀だな。あのタイミングでリンネがボスの顔に魔法を撃たなければ交代したパラディンも大きなダメージを受けていただろう。その後の展開がかなり厳しくなってた。クルミのダメージバックでボスの体力も削っていたし、それに最後のタロウのジャンプからの蹴りも見事だった」


 トミーが言うとあちらこちからその通りだと言う声がした。従魔達は褒められて尻尾をブンブンと振っている。いや本当にその通りだ。リンネが機転を効かせて精霊魔法を顔にぶつけたこと。これで流れが変わったのは間違いない。今回のエリアボス戦、俺はほとんど貢献していないという自信があるぞ。


「タクの従魔達の頑張りはもちろん。それ以外だと装備関係よね。ランドトータスの靴でパラディンの防御力が上がってたことできつい攻撃に耐えられたのも大きいわよ」


 マリアが言うと装備関係の充実は必須だろうとメンバーが言っている。俺もそう思う。


「次からボスのレベルが下がるだろうが、それでも簡単に勝てるボスじゃないぞ」


 スタンリーが言うと皆大きく頷いている。俺も彼の意見に同意だ。まず装備は完全に強化しておく必要があるし、ランドトータスの靴があると無いとでは難易度が変わるだろう。レベルが下がっても体力は多いだろうし、それにあのボスを中央まで引っ張り出さないといけない。簡単じゃないよ。


「それで俺たちは次はどこに行けばいいんだ?」

 

 誰かが言ったのとほぼ同じタイミングで洞窟の奥で音がした。皆がそちらに顔を向けると壁がスライドして坑道が現れた。転送盤が現れないと思っていたらこんな仕掛けになっていたんだ。


「なるほど、こうなっているのか」


 行こうかと言ったスタンリーを先頭にその坑道の中に入るとその先の地面の上で転送盤が光っていた。


 何も言わなくても皆順番に転送盤に乗った。飛んだ先も坑道で先に出口が見えていた。洞窟の出口から見た光景は今までこのゲームではなかった光景だった。



『ワールドアナウンスです。新しいエリアが開放されました』


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