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シロクマ戦 その1

 エリアボスに再挑戦する前日の夕方、俺の自宅にボス戦に参加するメンバー20名が集まった。和室と洋室を開放し、縁側も含めて好きな場所に座ってもらう。従魔達も思い思いの場所に座ったり、庭を走り回っていた。ただクルミだけは俺が着ているポンチョのフードの中にいる。自宅にやってきた2つのクランの女性プレイやーがそれを見て可愛いと言いながらスクショを撮っているが、それにももう慣れたよ。


 人が集まると俺は庭で横になったタロウを背枕にして腰を下ろす。リンネは頭の上で両肩にはランとリーファが座っている。タロウは嬉しいのか尻尾を振ってご機嫌だよ。リンネによるとタロウは俺が背中を預けてくるのが大好きだそうだ。


 始めましょうという声で打ち合わせが始まった。司会はクラリアだ。


「皆には話しているけどタクとその従魔達が一度ボス戦に挑戦している。その時はやられちゃったけど情報がとれている。その情報をもう一度確認するわね。

 まずエリアボス戦だけど既に言っている通り小屋から洞窟に飛ぶとすぐに戦闘になるの。なので事前に小屋でしっかりと準備をする事。ボスは体長が7、8メートルある大きなシロクマ。通常攻撃で確認できているのは前足の爪での攻撃。当然これ以外にも攻撃の術を持っていると思うし、狂騒状態になったらまた別の攻撃をしてくる可能性が高い。


 基本はパラディン4名が2名ずつのペアを組んでしっかりとヘイトを稼いでボスの攻撃を受けること。その間に左右と背後から武器と魔法で攻撃ね。神官はパラディンのフォローに専念してもらう。武器を持っている前衛が狙うのはボスの足」


 クラリアが一気に話をするとスタンリーが補足する。


「魔法使いは弱点魔法をできるだけ早く見つけてくれ。リンネは火の魔法は命中していたというが、それ以外の魔法だとどうなるのかの確認を頼む。俺は通常時と狂騒状態の時に煙玉を投げる」


 2人の説明に頷いている他のメンバー。


「タク、ボスの足は速いのかい?」


「速い。7、8メートルの体長があるけど速い。俺たちは円形の洞窟の中央より壁に近いところに飛ばされた。ボスは中央にいたんだけどさ、俺たちを見つけたらすぐにこっちに突進してきたよ」


「となると飛んだらすぐにパラディンが挑発スキルでヘイトを稼がないとな。最初から後衛に行かれたら面倒だぜ」


「その通り。いつもの2枚盾で対応するが、向こうに飛んだらすぐにヘイトを取ってくれ」


 その言葉に4人のパラディンが頷いている。皆ランドトータスの靴を持っていて、当日は小屋でそれを履いて飛ぶことになっている。


 挑発スキルでヘイトを稼ぐのはよいが、問題は突進してきたボスをどうやって洞窟の中央部に引っ張り出すかだ。でないと周囲からボスを囲んで攻撃ができない。洞窟の壁際だと万が一、突き飛ばされて壁に背中から激突したとなると大きなダメージを喰らう。壁際でヘイトを稼いでも中央まで引っ張るのは簡単じゃない。事故が起こりそうだよ。


「最初はパラディンじゃなくて俺がヘイトを取るよ」


 俺がそう言うと皆がこっちに目を向けた。スタンリーはすぐになるほどと言い、皆も気がついたみたいだ。その手があったか、なんて言っている。


「蝉で避けながら中央まで走るんだな」


 スタンリーが確認する様に言った。その通り。


「そう。飛んだら俺が煙玉を投げてヘイトを稼いで中央より反対側に走る。パラディンは移動速度が遅いだろう?その間俺がタゲを持っているよ。そっちが中央まで来たらボスの尻側から挑発してボスのタゲを取り返してくれるかい?それで洞窟の中央で戦闘できる。分身は4体あるので、それがなくなるまでにタゲを取り返してくれたらいいよ」


 蝉がなくても3回は攻撃に耐えられた。最大7回の攻撃に耐えられる。その間になら彼らならやってくれるだろう。8回攻撃されたら今回と同じく戦闘不能になるけど。


「それが一番安全で確実だろうな」


 その作戦で行くことになった。なので俺が中央に行くまで他のメンバーは一切ヘイトを取らない様にする。強化魔法も厳禁だ。


 ボスを囲んだらいつの通りの戦闘だ。狂騒状態にどうなるか分からないが大暴れするのか、ひょっとしたら魔法を使うのか。これは実際に対峙しないと分からないよな。


「時間制限がないので焦らずやりましょう。神官はパラディンのフォローに専念した方がよいので、他の人はポーションとMPポーションは準備して各自で回復して」


「クラリアが言った通りだ。自分の体力や魔力は自分で回復してもらう。負けてもまた挑戦すればいい。一度で勝とうと思わずに気楽にやろう」



 打ち合わせが終わった。皆それぞれのオフィスに戻っていくと俺は従魔達を集めた。ランとリーファは明日はお留守番だけどそばに来ると俺の肩に乗る。


「明日はあのボスともう一度対戦する。クルミは俺以外に盾を持っている人に魔法壁を頼むぞ」


 クルミが任せろとばかりに俺の前でバク転をする。


「タロウはボスの横から蹴りを頼む。狙うのは腹と足だ」


「ガウガウ」


「リンネは魔法だ。俺に強化魔法をしたあとは、俺が違う魔法を言うまではボスに火の魔法を撃ってくれるかい?」


「はいなのです。シロクマさんを焦がしてステーキにしてやるのです」


「うん、皆頼むぞ」


 俺も煙玉を買っておこう。

 俺たちは港の街から船に乗って島に渡るとサツキさんの店に顔を出して煙玉を3つ買った。


「がんばりな」


 そう言ってくれた。



 次の日、朝の畑の見回りを終えると俺たちは風の街のコテージに飛んだ。もちろんポンチョを着ているよ。コテージについて近くの大きな2つのコテージを見ると人の動きが見える。しばらくして情報クランのコテージから10名が出てこちらに歩いてくるのが見えた。


「攻略クランもすぐに来るわ。先に小屋に向かいましょう」


「了解」


 攻略クランも10名で移動するし問題ないな。風の街を出てセーフゾーン経由で転送盤のある小屋に着いて5分ほどすると攻略クランのメンバーが小屋に入ってきた。


 そこで最終の打ち合わせをする。弱点の精霊魔法をチェック、前衛はボスの足、できれば前足を狙う。クラリアはリキャストごとに不意打ちを入れる。俺は攻撃しつつ万が一の時のサブ盾になる。飛んだら俺が煙玉を投げてヘイトを稼ぐ事も話した。


 打ち合わせが終わると皆立ち上がった。


「タク、頼む」


 スタンリーが言った。


「出陣なのです」


「ガウ」


「よし、行こう」


 俺と従魔達が転送盤に乗って『はい』を2回タッチすると全員がボスがいる洞窟に飛ばされた。壁に張りつく様に24名が立った。前回のを覚えているので着くとすぐに蝉を詠唱する。ちょうどボスのシロクマが俺たちの方に向かって走り出したところだった。俺も走りながら煙玉を投げた。走ってくるボスが一瞬立ち止まった。ほんの一瞬だが、その隙に広場の中央に移動する。目眩し程度の効果だけどこれで十分だよ。


 走っていると背後から声が聞こえた。


「ジャックス、リック」


「おう」「任せろ」


 ランドトータスの靴を履いているので動きが10%遅いがそれでも2人は中央部に向かって進み出すと挑発スキルを発動した。俺の方を向いていたボスが後ろを向いてそこに立っているパラディンをターゲットにした。ここまでは作戦通りだ。ボスの攻撃で分身が1体剥がされたけど問題ない。


 パラディンが挑発スキルを発動したと同時に打ち合わせ通りにメンバーがボスの周りに陣取る。クルミがパラディン2人に魔法壁をかけると俺にもかけてから壁際に移動した。それでいいんだ。リンネは俺の近くで精霊魔法を撃ち、タロウはボスを挟んで反対側に立って蹴りを繰り出している。最初のバタバタしたのが落ち着いて各自が自分の仕事を始めたよ。


「時間はあるから焦らないで」


 ボスの背後に立っているクラリアから声が飛ぶ。彼女は例によってタイムキーパーも兼ねている。


 ジャックとリックスは交互に挑発をしてボスのヘイトを稼いでいた。その間に魔法使い部隊が精霊魔法を撃ちながら弱点を探している。


「火!「火!」


 同時に声がした。


「リンネ、火の魔法だ。撃ちまくれ」


「はいなのです。焼き肉にしてやるのです」


 ん?ステーキじゃなかったのか?

 リンネは敵対心が低いから強烈な魔法を連発してもタゲが来ない。俺は横から足を狙って刀を振っている。ボスは後ろ足で立ち、両前足をパラディンの盾に振り下ろしてくる。それをがっちりと受け止めている2人。靴の装備で盾が強くなっているのとクルミのダメージバックが聞いているはずだ。効果は30分ある。少しずつボスの体力を削っていこう。


 クラリアがボスの後ろから不意打ちを入れた。彼女は盗賊のジョブ帽子を持っている。それによって不意打ちのリキャストが2分になっている。結構なダメージソースになるだろうな。


「10分経過」


 ボス戦は始まったばかりだ。


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