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ポンチョ

 翌日ログインするとすぐにクルミがやって来て俺の前で何度もジャンプをする。リンネによるとポンチョを着ろと言ってるそうだ。分かったとポンチョを着るとすぐにフードに飛び込んだ。相当気に入ってるみたいだな。


 ポンチョの格好で畑の見回りをしてから俺たちは風の街に飛んだ。その間クルミは肩に乗ったり、ポンチョのフードに入ったりしてご満悦だよ。俺としてはクルミが喜んでくれるのなら、戦闘以外の場所でポンチョを着るのは問題ない。


 街の外で敵を倒して経験値を稼ごうと、借りているコテージから南門までの通りを歩いているとプレイヤーにすれ違う。彼ら、特に彼女達はフードに入って上半身を出しているクルミを見ると嬌声を上げてスクショを撮りまくる。


「なにあれ、可愛い」


「カーバンクルのクルミちゃん、暖かそうだね」


 とか言って後ろからスクショを撮るんだよな。そんな時は頭の上に乗っているリンネも後ろを向いてサービスする。スクショには俺の後頭部とリンネとクルミが映っているんだろう。これもしばらくすると落ち着くだろうと思って何も言わない事にする。


 俺が黙って後ろ姿を撮られている、後ろ姿しか撮られていない俺を不憫に思ってくれたのか、隣を歩いているタロウがガウガウといいながら大きな身体を寄せてきた。うん、お前はいい奴だ、しっかりと撫でてあげるよ。


 クルミはともかくだ、ポンチョの効果は風の街から外に出た時に実感できた。本当に暖かいんだ。ただこれを着たままで戦闘するという訳にはいかない。


 街の外に出るとクルミも分かってるのかフードから出るとタロウの背中に乗った。安心したよ。グズったらどうしようかと思ってたからね。


「また街に戻ったら着るからな」

 

 そう言うとジャンプしてくれた。


 外に出て森の中で経験値を稼いで夕刻に街に戻ってきた。今日はまだレベルは98のままだけどもうすぐ99に上がりそうな感じなんだよ。99まで上がればエリアの上限に達する。装備関係の強化も終わっている。そうそう、紫の石を使ってクルミのスカーフも6段階強化したよ。これで不公平じゃないぞ。いつかクルミのスカーフの効果が発揮される場面があるかもしれないしね。


 今日も身体の動きが違った。加護はレベルかステータスかどちらかがアップする効果があるんだろう。いずれにしてもソロメインの俺としては強くなるのは嬉しい。


 外から風の街に入るとポンチョを着る。すぐにクルミがフードの中に入っていった。門からコテージまで歩く間も行く時と同じ様に女性プレイヤーが声を出して俺の後ろからスクショを撮っていたよ。


 コテージに戻ると従魔達がその庭で遊び出した。俺が庭のテーブルに座ってのんびり、クールダウンしていると向こうからいつもの4人がやってきた。従魔達が遊んでいるのが見えたのかな。


 庭に入ってくるとマリアは早速タロウを撫で回している、クラリアは俺のポンチョ姿を見てタクが装束以外の服を着ているのって珍しいわねと言った。トミーとスタンリーはそれはどこで買ったんだ?バザール?と聞いてきた。


「いや、これは隠れ里のキクさんのコンビニで買ったんだけどさ、暖かいのはいいんだけどクルミがこのポンチョのフードを気に入ってね。街の中で着ろ着ろと言ってくるんだよ」


 その言葉が聞こえたのかクルミが駆け寄ってくるとそのままフードに体を入れて上半身をそこから出した。それを見ていたクラリア。マリアもタロウを撫でて満足したのかテーブルに戻ってくるとフードの中にいるクルミを見る。タロウがテーブルに近づくと俺の隣で横になった。


「可愛いわね」


「風の街を歩いていたら女性プレイヤーがスクショを撮りまくっていたよ」


「そうなるわね」


 そう言ったマリアもクラリアもちゃっかりとスクショを撮っているよ。


「クルミは主のフードがお気に入りなのです」


「そうみたいだね。リンネちゃんはいいの?」


「リンネは主の頭の上が指定席なのです。なので問題ないのです」


 クラリアにしっかりと答えるリンネ。


「街の中にいる時はポンチョを着ることになりそうだよ」


 ポンチョの話が落ち着いたところで彼ら4人との話というか雑談だ。島のダンジョンの情報は公開しているが、まだボスを倒した4番目のパーティはいないらしい。


「ボス戦に挑戦したパーティは数組いるの、残念ながら時間切れか全滅みたい」


 目の前にいる両クランだって一度でクリアしていない。もちろん俺たちもだ。プレイヤー側のレベルの上限が99で、これ以上上がらないとなると何度も挑戦してボスに慣れることと、しっかりと作戦を立てないと難しいだろうな。


「煙玉を使っても負けてるの?」


「その通り。あれは確実に効果があるが、効果時間が短い。しかも4回投げると4個目からは煙玉の効果がなくなるんだ。ダンジョンボスが慣れるんだろうな」


 相変わらずいやらしい設定になっているな。


「あとは狂騒状態で吹いてくるあの泡だよ。皆あれに手こずっている様だ」


 確かにあれは厄介だ。しっかり装備を強化するのと神官のフォローが大事だと彼らも言っている。


 情報クランと攻略クランは今は風の街を出てから山裾を東に進んでいるそうだが依然としてエリアボスに続くルートを見つけられていない。街を出てから5時間東に進んでいるが、森の中から99の魔獣が出てくる、それも時に複数体で出てくるので討伐にも時間が掛かっているそうだ。


「セーフゾーンもないのよ。とりあえずは東の端、海まで行ってみるつもり」


「敵のレベルが99になっている時点で近くにあるはずなんだよな」


「確かに」


 普通に考えたら次のエリアに通じるルートは北に連なっている山のどこかだろう。洞窟か何かがあってそこを進むとボス戦になる。なんて感じじゃないのかな。


「レベルは上がらないがボスを探すという活動はモチベーションが保てるよ」


「そっちが山裾を東に進むのなら俺たちは東方面の森の中で経験値を稼ぎながら何か探してみようか」


 俺が言うとそうしてくれるかとスタンリーが言った。クラリアも手分けして探してくれるのなら助かると言っている。


「午前中は畑とか合成があるから、外に出るのは午後になるけどいいかな」


「もちろん。それに私たちだって森の中も見るから。探すのなら少しでも人が多い方がいいわよね」


 ここにいるクラン以外でもレベルが99に達しているパーティはある。今はダンジョンに挑戦しているのが多いけど、彼らにも声をかけているそうだ。


「主がお手伝いをすると安心なのです」


 頭の上に乗っているリンネが言うと頼むわよと4人が言った。



 翌日、午後から風の街にやってきた俺たちは街から出ると一旦山裾を東の海の方に進み、2時間ほどしたところで南の森の中に入った。山裾を歩いて遭遇する敵のレベルが98と99になったあたりだ。森に入ると真南の方角ではなく、南東方向に進みながら敵を倒し、途中で東に方角を変えた。バンダナと加護の効果だろう。戦闘をしても危ない場面がない。討伐時間も早くなっている気がする。


 森に入って1時間ほど経った時にレベルが上がって99になった。


(レベルが99になりました。このエリアのレベルの上限に達しました)


 レベルが上がると脳内でミントの声がした。


 俺も含めて皆大喜びだよ。ただクルミの身体は光らない。ミントに聞いてもクルミはレベルアップに伴って成長しているが、新しいスキルが生まれてはいないらしい。タロウとリンネもレベルアップ分成長したそうだ。クルミが新しいスキルを覚えていたり、ダメージバックの割合が増えていたりするとボス戦も楽になるなと期待してたけど、そう甘い設定にはしてくれていなかったよ。


 でもとにかく俺達もこのエリアの上限レベルに達した。


「ガウガウ」


「主、タロウとクルミが大喜びなのです。もちろんリンネも大喜びなのです」


「そうだな。次はエリアのボスを探すんだぞ」


「探すぞ。なのです。頑張るのです」


 98になった時から森の中にいる敵は苦労せずに倒せていたけど、1つレベルが上がって99になるとさらに楽になる。当たり前なんだけど楽に倒せる方が良いに決まってる。


 森の中ではあちこちから敵が来るのでそれを倒しながらウロウロするんだけど何も見つからないんだよ。タロウやリンネは敵を見つけると嬉々として喧嘩をふっかける。おかげで印章や神魂石が溜まってきた。それはいいんだけど本来の目的である入り口らしきものは見つからない。次のエリアに関する新しい進展はなかったけど、自分と従魔たちのレベルが99になったから良しだよ。


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