レベル97
リンネは任せておけ、なんて言ってるけどこっちはまだレベルが93だ。これじゃあ何もできないのと同じだよ。レベルを上げるのが目下の最優先事項だ。
情報クランはここのエリアのレベルの上限は99か100だろうという予想をしている。出現する敵のレベルから見て俺もそのあたりだろうと思う。今レベル97の情報クランと攻略クランの連中はもうすぐエリアの上限までレベルが上がるだろう。
最優先事項のレベル上げはやらないといけないが、畑の見回りはおろそかにしない。ログインするとまずは水やり、時に収穫、そして農業ギルドに販売。これは安定した金策になるからね。欠かす訳にはいかない。
畑の見回りが終わると俺たちは自宅の転送盤に乗った。
風の街の借りているコテージに飛ぶとそのままコテージの前にある南北に伸びている通りを真っ直ぐに南に歩いて街の正門から外にでる。風の街もプレイヤーの数が増えたよ。門を出て直進し、森の中に入ってレベル97や96の獣人や魔獣を相手にして経験値を稼ぐ。地味なレベル上げだがこれしかレベルが上がる方法がない。
ただ、地味だと思っているのは俺だけでタロウ、リンネ、そしてクルミは皆戦闘が大好きだ。今はクルミのダメージバックが15%に増えているので討伐のスピードも以前よりも早くなっていた。敵を倒していると神魂石がドロップする。紫の神魂石がいくつかドロップしたので休憩の時に風の街の強化屋でクルミのスカーフを3段階強化した。実践では強化しても15%は変わらないが、いずれどこかで強化した効果が出てくるかもしれない。強化したスカーフを身につけてやると大喜びしてくれた。自分だけ強化していないのはやっぱり寂しいよな。
強化が終わると再び森に戻って出会う敵を倒す。
「主、この調子でガンガンやるのです」
たった今敵を倒した時にリンネが言った。
「ガウ」
「おう、お前たち、頼むぞ」
こんな調子で毎日風の街の外で活動をしてレベルが96に到達した。
96になった日の夕方、4人が自宅にやってきた。彼らトップクランの連中は99になった時にAIからエリアのレベル上限に達したと言われたそうだ。
「100じゃなくて99が上限だったんだね」
彼らはエリアボスに続くルートを探しながら山裾を東に進んで敵を相手にしていたそうだ。
「100かなと思ってたら99だったよ。敵のレベルが99なので倒して得られる経験値も少なくなって苦労したけど、とにかくこのエリアのレベル上限に達した。と同時にメンバー全員の装備の強化も終わっている。ということで俺たちも情報クランも近々ダンジョンボスに挑戦するつもりなんだ」
レベルを上げて、装備を充実させるまではダンジョンボスの挑戦は中止してたからな。いよいよ挑戦するんだ。
「この前の打ち合わせで出た弱点がお腹かどうかも確認しないと」
彼らはボスのレベルが110前後と推測している。自分達のレベルはマックスの99、それに装備系を強化したことで実質101、甘く見積もって102程度の強さだろうと見ている。
「それでもボスとのレベル差が8から9ある。勝てるとしても時間ギリギリだろう。1つ間違うと時間切れになる可能性もある」
「ミスが許されないってこと?」
「そう言う事。情報クランも同じよ。正直勝率は5割あるかないかだと思ってるの。96のタクの方が勝率が高いんじゃない?」
レベル96でバンダナで実質10プラス、それに装備分を考えると96よりも11くらい上なのかな。そうなると107か。足し算だけの結果だと勝利は高いんだろうな。でも戦闘はレベル差だけじゃないからな。プレイヤースキルは目の前の4人がいるパーティの方がずっと高いよ。
でもそろそろ俺たちも再挑戦挑戦してみるのは有りかもしれない。
「タクも装備の強化は全て終わっているんだろう?」
「うん。終わってる。俺も再挑戦してみるよ」
ダンジョンボスの話が終わるとHQと強化したNQとの比較の話になった。皆が5段階強化すると強化したNQの方が優れていると言う。俺と同じだな。
「上忍のタクの感想を聞いたのでこの情報も公開するわ。他のジョブも皆5段階目で逆転するみたいなの」
そこは統一させているんだろう。情報クランによるとレベル99はまだ2つのパーティだけだが98はそこそこいるそうだ。なので彼らが次のエリアの情報を取ってくるかもしれないと言う。
「俺たちが一番じゃなくても全然構わない。多くのプレイヤーが動いた方がいろんな情報が取れるからな」
「トミーの言う通り。もちろん俺たちも探すが一番にこだわってはいないよ」
競争じゃないしね。それに今度は俺たちが新しいエリアを見つけてやるぞ。と思っているパーティというかプレイヤーもいるだろう。
俺がこれから先レベルを上げるには風の街を出て98とか99の敵を相手にしなければならない。96に上がってからも97とか98の敵をそれなりに倒した気がするので、明日か明後日には97に上がりそうな気がしているんだ。97に上がったら島のダンジョンに挑戦してみよう。
翌日、風の街に飛び、街を出ると山裾を東に進みながら敵を倒していこうと思ったけど、予想以上にライバルが多い。皆この辺りでレベル上げをしている。休憩していたパーティに聞いたら街の奥の坑道のエリアはもっと混んでいるそうだ。
「俺たちは森の中に入ってから東を目指そう」
「分かったのです。移動はタロウとリンネにお任せなのです」
その場から森の中っていった。森に入ったすぐのところにはパーティがいるがそれよりも奥に進むとライバルはいなくなる。もちろんレベル97や98の敵が木々の間から襲ってきた。それらを倒しながら1時間弱奥に進んだところで東に方向転換をした。
敵のレベルは一時下がったが東に進んでいると98が出てきた。森の中は魔法使いや狩人の獣人がメインだがこっちはタロウとリンネがいる。クルミは常時魔法壁、反射壁を出してくれているし、敵がこちらを見つける前にタロウが駆け出して先制攻撃をするので危なげなく倒して行ける。戦闘をしながら2時間ほど東に進むとレベルが97に上がった。
「よし!、レベルが上がったぞ」
「でかしたのです」
「ガウ」
クルミは身体は光らなかったけど、タロウの背中の上でジャンプしているよ。これでとりあえずダンジョンに挑戦することにする。負けたらまたレベルを99まで上げれば良い話だし、再挑戦のタイミングだよ。
時間が夕刻だったこともあり、俺たちはその場から転移の腕輪で自宅に戻ってきた。縁側に座るとすぐにランとリーファが肩に乗ってくる。彼らを肩に乗せたままタロウとリンネとクルミを呼ぶと足元にタロウが来てその背中の上にリンネとクルミが座る。
「明日、島のダンジョンのボスに再挑戦するよ。この前は負けたけど今度は勝とう」
「ガウ」
タロウが尻尾をブンブンと降りながら吠えた。
「もちろんなのです。リベンジなのです」
クルミも任せろとジャンプしている。
「うん。それでだ。リンネは今度は使う魔法は氷の精霊魔法だ」
「分かったのです。冷たくしてやるのです」
「タロウはいつも通りでいいぞ。思い切り蹴っ飛ばせ。できたらお腹を狙うんだ」
「ガウ」
「クルミは魔法壁を切らさない様に頼むよ」
ジャンプした。これもOKだ。
「相手は俺たちよりも強いから最初から全力でやろう」
「はいなのです。今度は叩きのめしてやるのです」
「おう。遠慮なく叩きのめすぞ」
俺が話終えるとランとリーファが肩から飛んで俺の前でサムズアップをしてくれた。明日は頑張ろう。




