表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
296/324

風の街


 新しい風の街に着いた俺たちはグループメッセージで新しい街に着いたと一報を入れると、まずは冒険者ギルドに顔を出して転送盤を登録した。これで次から飛んでいける。その後で受付にいるNPCに聞くと、この街でも別宅は買えないが、代わりにコテージを借りる事ができると教えてくれた。森の街と同じだな。


 ギルドでマップクエストを受けると、街を出た。まずは街の東西を走っている通りを歩きながら店をチェックする。見る限りこの街にも武器屋、防具屋は見えない。通りを全て歩いていないのでなんとも言えないがどうやら無さそうな気がする。というのは通りの良い場所に強化屋があったからだ。


「あそこに入るぞ」


「ガウ」


「入るぞ、なのです」


 強化屋の扉を開けて中に入ると俺が挨拶をする前に頭の上からリンネが挨拶をしてくれる。それに続いて俺も挨拶をした。店の中は山辺の街にある強化屋と同じで正面にカウンターがあってドワーフのNPCが5人向こう側に立っている。その中央に立っている人が俺たちを見て声をかけてきた。


「プレイヤーさんかい」


「ええ。俺はタク。従魔はタロウとリンネとクルミです」


「俺はここのリーダーをやっているジュマル。強化ならしてやるよ」


 お願いしますと言って近づいていくと頭のバンダナに目を遣ったジュマルさん。


「バンダナを強化したのはタクだったのかい。いや、山辺の街のギルバートから黒の神魂石を2個使ってバンダナを12段階強化したプレイヤーがいるって連絡があってな」


 ここも情報は繋がっているんだな。


「そうなんですよ。2つとも幸運にも手に入れる事ができたんで強化しました」


 そう言うとツキは大事にしろよと言ってくれる。


「それで強化かい?」


「はい、お願いします」


 山辺の街の周辺で敵を倒し、森の中を移動して敵を倒している時にいくつか神魂石をゲットしていたんだよ。今日ここでお願いするのはタロウとリンネのスカーフ、そして俺のNQのAGIの防具だ。


 今手持ちの神魂石を使ってタロウとリンネのスカーフをそれぞれ3段階強化した。これで2体とも6段階の強化が完了だ。


 自分の装備は強化後はこうなった。


片手刀AGI系 2本とも6段階

片手刀STR系 2本とも6段階

NQ装備AGI系 3段階

NQ装備STR系 3段階


 武器の刀はAIG系、STR系ともに強化終了。防具はどちらも3段階強化できた。HQ装備があるので装備の強化は後回しにしたんだよ。あと赤と緑を3つずつ集めないといけない。NQも5段階以上強化するとHQより上になるって話だし。


「ありがとうございました」


 お礼を言ったあとでふと気がついた。


「ちょっと教えて欲しいんですが」


 俺が言うと何だ?言う表情になるジュマルさん。


「たとえばこの街で1段階強化して、あとは山辺の街で3段階、そしてここでまた2段階強化できますか?」


「できるぞ。1つの街の強化屋で3回強化できるからな。3段階強化したものしかここで出来ないと言うわけじゃない」


 1つの街で3回強化できる。納得したよ。


「石を持ってきたらいつでも強化してやるよ」


「お願いします」


「お願いします。なのです」


 強化屋を出ると通りの端に移動して自分達の装備の強化状況をもう一度確認する。


 これでまた少し強くなったぞ。これからは神魂石狙いで森の中ででも活動をしないと。おそらくこの風の街がこのエリアの最後の街だろう。次はエリアボス戦になる。防具がまだ3段階しか強化できていない。これはしっかりと6段階目まで強化をしないといけないな。


 再び通りを歩く。この街にいるプレイヤーは俺たちだけだ。NPCが通りを歩いているが人が少ないので歩きやすい。俺たちはマップを作成しつつのんびりと左右のお店を見ながら歩いていく。通りの東の端の近くにテイマーギルドがあった。中に入ると当然の様に猫族のNPCが2人いた。


「こんにちはなのです」


「はい。こんにちは。タクさんもこんにちは」

 

 挨拶を終えると彼女達がカウンターを回ってこちらに近づいてきた。ここ風の街のテイマーギルドのNPCの女性はリンダさんとロロさん。


「タロウちゃんとリンネちゃんは親密度は相変わらずマックスですね。クルミちゃんもほとんどマックスになっていますよ」


「それはよかった」


「皆主が大好きなのです」


「そうなんだ。いいご主人にお仕えしてよかったね」


 リンダさんが言うとタロウは激しく尻尾を振り、クルミはその場で何度もジャンプする。


「主は一番なのです。すごいのです」


 リンネも褒めてくれるよ。

  

 その後彼女達にこの街でコテージが借りられると聞いたと言う話をすると、街の北、斜面の上の方がそのエリアになっていると教えてくれた。マップ作成の前にコテージを押さえよう。


 テイマーギルドを出た俺たちは一旦街の中央に戻ると、今度は南北に走る通りを北に歩いて緩やかな坂を登っていく。山からの北風が吹いているが街の中なのでそれほど強くない。途中で立ち止まって背後を振り返ると街の門の先にずっと森が広がっているのが見えた。港の街やダンジョンがある島は見えない。見晴らしがすごく良くていい場所だよ。


「広い森だよな」


「向こうまでずっと木が生えているのです」


「ガウ」


 頭の上で同じ様に遠くを見ているリンネが言った。クルミは肩の上に座って同じ様に南の森を見ている。よくあの森の中を歩いてきたな。それにしてもこうして見るとこのエリアも相当広いということが分かる。


 しばらく景色を見た俺たち。再び緩やかな坂を登って行くと、通りの右手にログハウスが立ち並んでいるエリアが見えてきた。通りに面したところに1つだけ造りが違う建物がある。これがオフィスだろう。


「いらっしゃい。コテージを借りにきたのかな?」


 オフィスの扉を開けて中に入ると狼族のNPCのおっちゃんが声をかけてきた。


「そうなんです。コテージを借りるのと転送盤を買いたいんですが」


「分かった。どちらも問題ないぞ」


 いずれ攻略クランも情報クランもここを借りるだろう。となると大きめのコテージの近くに借りた方が何かと便利だ。ちょうど2つの大きめのコテージの奥に、こじんまりとしたのがあったのでそこにする。場所を決めるととりあえず3ヶ月分の賃料を払い、転送盤はセットで買った。これはどこで買っても同じ値段なんだよな。


 新しいコテージに入るとまずは転送盤を自宅と繋げた。タロウもリンネもクルミもこれで好きに移動できる。それが終わると早速従魔達がコテージの庭で遊び出したよ。それを見ながら追加の情報をグループメッセージで送った。


 彼らは今ダンジョン攻略中だろう。すぐに返事は来ないな。


「みんな、家に帰ろうか」


 俺が言うと遊んでいた3体が俺のところに駆け寄ってきた。


「お家に帰るのです?」


「そうだよ。ランとリーファが待っている家に帰ろう」


「分かったのです。ビューンと飛んで帰るのです」


「その通りだ」


 転送盤を使って自宅に戻るとお留守番をしていたランとリーファが他の従魔達と遊び出した。庭で走り回ったり、精霊の木に登ったり、枝に座ったり。


 縁側に座って従魔達が遊んでいるのを見ていると端末が鳴った。


「主、お電話なのです」


 遊んでいるリンネが動きを止めてこちらを見て言った。


「うん。ありがとう」


「新しい街に着いたんでしょ?」


 端末を通話モードにするとすぐにクラリアの声がした。


「そうなんだよ。そっちは?」


「ボス戦に負けてというか時間切れで放り出されてオフィスに戻ってきたところ。攻略クランも時間切れで放り出されてこっちに戻ってきているの。ということで今からそっちに行くわね」


「了解」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ