島のダンジョン攻略 その3
聞いている話では、ダンジョンにあるワープで飛んだその先を進み、行き止まりになっあたりでの敵のレベルが89だと言っていた。こっちは今86で山辺の街の坑道の93のトカゲを危なげなく倒している。完全強化済みのバンダナもあるし、今の俺たちならそこまで行くのは難しくないだろう。
畑のビニールハウスの中でしっかりと遊んだ従魔達が俺のところに集まってきた。
「今日は島のダンジョンに行くぞ」
「行くぞ!なのです。カニさんとトカゲさんを倒しながら奥まで進んでいくのです」
「ガウ」
ランとリーファは何も言わなくても農業は任せろ、留守番も任せろとサムズアップしてくれる。
港の街から島に渡る船に乗るとすぐに3体が窓際に陣取って外を見る。本当に船が好きだよな。今度クルミにも水の街と森の街の間を航行している船に乗せてあげよう。
港の街の桟橋から海辺の小屋経由でダンジョンに移動する。途中の魔獣はレベルが低いので極力戦闘を避けながら移動しようと思っていたけど、戦闘が大好きな従魔達は敵を見つけると突進して喧嘩を売るのでちょっと時間がかかってしまった。まあ彼らが満足してくれているのならいいんだけど。
ダンジョンの洞窟に入ると島のヌシがいる。すぐにクルミが肩から降りてヌシに近づくとその前で何度もジャンプをする。ちゃんと挨拶をする出来たカーバンクルだよ。
「順調に育っている様だな」
「ありがとうございます。クルミはいい子ですし、戦闘でも助かっています」
そう言うと甲羅から伸びている長い首を上下に動かした。うんうんと言っているんだろう。挨拶をすると俺たちは奥のダンジョンの入り口に移動した。
「主、この転送盤には乗らないのです?」
転送盤に近づかずにその場に立っている俺の頭の上からリンネが聞いてきた。
「俺たちは第1ワープしか登録してないだろう?今日はまずは第2、第3ワープを登録するんだ。探検はそれからだよ」
「分かったのです」
第4ワープは行き止まりだと聞いているからとりあえず急いで登録する必要はないだろう。確かワープあたりにいる敵のレベルは79だった。ズルするか。
「ワープがある場所までタロウに乗って行こう」
「ガウ」
俺が言う尻尾を振って吠えたタロウがその場で腰を下ろした。情報クランが作ったダンジョンマップを見ると第2ワープがあるのは11番ルート、第3ワープは19番ルートだ。
「タロウ、分岐になったら方向を指示するからな」
「ガウ」
肩に乗っているクルミを抱き抱えるとタロウの首の後ろに乗せた。何も言わなくてもスカーフをしっかりと掴む。その後ろにリンネ、最後に俺が乗るとタロウが起き上がった。
「レッツゴーなのです」
「タロウ、レッツゴーだ」
「ガウ」
通路にいる魔獣を無視、時にはタロウが蹴っ飛ばして倒しながら進んでいく。70台の敵ならタロウの蹴りで吹っ飛んで倒せるんだな。カニやトカゲが蹴っ飛ばされて洞窟の壁にぶつかってるよ。
分岐に来ると俺が右、左と指示をしてるだけだ。あっという間に第2ワープのある分岐まで辿りついた。タロウから降りてその近くにいて襲いかかってきたカニを返り討ちにして倒すとワープを登録する。登録すると入り口に戻って今度は同じやり方で第3ワープを登録した。せっかくだからとついでに第4ワープも登録したよ。タロウの乗っての移動だから考えていたよりもずっと短時間で3箇所のワープを開通することができた。
これで第一段階は終了だ。
ダンジョンから外に出て岩場に座って広い海を見ながらの休憩タイム。岩場にもたれている俺の隣でタロウがゴロンと横になっていて、その背中にクルミが座っている。リンネは俺の膝の上だ。海風が気持ちいい。
「大きな海を見るのは気持ちがいいのです」
「ガウ」
「気持ちいいよな」
精緻なグラフィックが売りのPWL、目の前の風景もリアルだよ。爽やかな風が吹き、波が岩場に打ち付けて白波が立っている。俺はこうやってのんびりするのが好きなんだよな。タロウとリンネは渓谷の街の公園でのんびり過ごしたことがあるので嫌いじゃないのは知っているんだけどクルミはどうだろう。そう思ってタロウの上に乗っているクルミを見ると海を見ながら尻尾をゆっくりと規則的に振っている。これは機嫌が良い時の仕草だな。
「クルミも気持ちいいかい?」
聞くとタロウの背中の上でジャンプしてくれた。
ここでしっかり休んだのでリフレッシュできたぞ。
「よし、ダンジョンに行こう」
「行くぞ、なのです」
再びヌシの横を通ってダンジョンに戻って転送盤に近づくと第1から第4ワープまで表示された。俺は第2ワープを選択した。次の瞬間、俺たちは第2ワープの場所にいた。
攻略クランの話だとこの分岐からは左右どちらのルートも真っ直ぐに進むが敵のレベルが79から83まで上がっていくということだった。こっちは今86だから次の分岐までは問題ない。
「次の分岐があるところまで敵を倒しながら一気に進むぞ」
「ガウ」
「進むぞ!なのです。ばっちこいなのです」
リンネの魔法、クルミの魔法、俺の蝉、準備が終わると分岐の左側を進みだした。80や81のカニ、トカゲが1体、複数体と通路に陣取っているが、それらを文字通り蹴散らして奥に進んでいく。タロウの蹴りもそうだけど、リンネの雷魔法が良いダメージソースになっている。俺も実質86プラス10で95、96近くはある。強化屋のNPCのギルバードさんが嘘をつくこともないだろう、従魔達も常日頃からレベルより5つ6つ上の敵を苦労せずに倒している。よし、ガンガン行こう。
レベル83のカニが複数体固まっているのを倒して少し進むと2つに分かれている分岐地点に来た。ひょっとしたら宝箱があるかもしれないし、分岐は片っ端から探すつもりだよ。
「左から行くぞ」
「はいなのです」
奥に進むと聞いていた通り敵のレベルが86になった。依然として出てくるのはカニとトカゲだけだ。
「主、行き止まりなのです」
奥に何もないのを確認すると来たルートを戻り、分岐で今度は右に進む。結局そこも最後は行き止まりになっていた。
第2ワープからの左ルート、2つの分岐の先には何もなかった。こうやってしらみ潰しに探すしかないよな。その場から歩いて戻るのは効率が悪いのでタロウの背中に乗ることにする。タロウにお願いすると喜んでその場で腰を下ろした。クルミ、リンネ、そして俺が乗ると立ち上がって坑道の中を突っ走る。
通路にREPOPしていた魔獣がタロウを見て追いかけてくるが追いつけない。そのうちにタゲが切れて戻っていく。分岐近くの魔獣だけはタゲが切れずに最後まで追いかけてきたがレベルが83だったので全く苦労せずに倒したよ。レベルが低いのでほとんど経験値は入らないけど、それよりもスピード重視だ。
こんどは第2ワープから右に伸びているルートも探索したが、結局このルートも最後は2つとも行き止まりになっていた。ただ、この右ルートの左奥の行き止まりの壁の前に宝箱があった。
「宝箱なのです」
「ガウ」
宝箱を見つけて3体の従魔達が大喜びしている。もちろん、俺もだよ。何もないよりあった方が良いに決まってる。
「主、開けるのです」
「おう。任せろ」
端末を近づけると宝箱が消えた。端末を見ると宝箱の中身は10万ベニーだった。
「主、宝箱の中身は何だったのです?」
「うん、10万ベニー入っていたぞ」
聞いていた3体が大喜びしているよ。
「ウハウハなのです」
「そうだな。皆が頑張ったからだ。少し休んだら今度は別のルートを進むぞ」
「はいなのです」
「ガウ」




