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目的地に到着しました

 1時間後、畑の見回りを終えると大森林の小屋に飛んだ。待ち合わせのこの小屋にはすでに情報クランのパーティメンバーが集まっていて、彼らと挨拶をしていると攻略クランのメンバーも転送盤の上に現れた。


 皆が揃ったところでクラリアが話をする。


「タクから聞いた情報だとここから北西の方向、山の裾に次の街、山辺の街があるという話なの。なので真っ直ぐに北西を目指して山裾に着いたらそのまま北上するわね」


「タク、どうやってこの情報を得たんだい?」


 ここにいるメンバーの1人が聞いてきたので、山の街の強化屋のドワーフに聞いた話をする。ここにいる彼らは俺のバンダナが山の街の強化屋で黒の神魂石を使って6段階強化されたのを知っているし、宝探しでまた黒の神魂石をゲットしたことも知っている。時系列的に話をすると、なるほどそういうことかと皆納得してくれたよ。


「森の中を移動するのでタクと従魔達が先頭でいい?」


「もちろん、タロウとリンネのレーダーがあるからね」


「ガウ」


「先頭は任せるのです」


 タロウとリンネに任せておけば安心だ。

 

 準備が整って俺たちは小屋を出ると北西の方向を目指す。木々が生えて時々大きな木を迂回しながら進むんだけど、タロウは方向感覚がバッチリなので何も問題ない。歩きながら低い唸り声を出すと戦闘だ。小屋を出たところの相手のレベルは89。それが北西に進むと90に上がる。そしてそれが複数体出てくる様になった。


 ただこちらは数の暴力で獣人だろうが魔獣だろうが片っ端から倒して森の中を進んでいった。獣人の中には魔法や弓を射るのもいるが、リックやジャックスが挑発のスキルでタゲを取るとタロウが獣人まで駆けて行ってジャンプして襲いかかる。それで彼らの遠距離攻撃を中断させている間に俺たちが近づいてあとは全員でタコ殴り。クルミの反射壁を使う必要もないくらいだよ。そのクルミは一応戦闘の際には俺の肩から降りて準備をしてくれるが、すぐに倒してしまうので結局何もせずにまた俺の肩に飛び乗ってくる。俺は肩に乗ったクルミを両手で抱いた。


「クルミの出番はもう少し後だな」


 撫でてやると尻尾をブンブンと振って喜んでくれる。ご機嫌がよくなったのか肩に戻してもまだ尻尾を振っているよ。


 小屋を出て4時間弱で山裾に着いた。山裾は真っ直ぐではなくて凹凸があるので北の先の遠くまでは見えない。


「ここから山裾に沿って北に進んで行くけど、森から魔獣が出てくるから注意してね」


「問題ないのです。タロウとリンネでしっかりと見張りをするのです。安心なのです」


 クラリアが言ったあとでリンネがそう言うと周りから頼むぞと声をかけられるタロウとリンネ。それに対しても任せるのです。と答えている。実際この2体に任せると安心なんだよな。


 少し休んでから北に進み出した。左に山、右に森で森は山裾ギリギリまである。先頭を歩いている俺と従魔達。前を向いて俺の前を歩いているタロウが顔を右に向けると同時に俺の頭の上から声がする。


「敵なのです」


 うん、リンネのレーダーもいい感じだぞ。

 こんな調子で山裾を歩いていく、森から出てくる魔獣のレベルは92、時々93に上がっている。


「1パーティならこちらのレベルは最低でも90は必要だな」


「しかも森から突然出てくる。簡単じゃない」


「魔法使いや狩人の獣人は森の中から攻撃してくる」


 後ろを歩いているメンバーが話をしている声が聞こえてくる。タロウやリンネがいないと常に森に注意を払いながら進まないといけない。簡単じゃないのは同意だよ。


 山裾に着いて、北に進み出してから2時間強、突き出ている山裾をぐるっと回るとその先、今度は大きくえぐれている山裾の奥に石垣で作られている城壁が見えた。ついさっき倒した獣人のレベルは93だった。


「目的地に着きました。なのです」


 カーナビみたいだな。どこで覚えたんだよ。

 リンネが目的地と言ったそこは南北に大きく突き出ている山裾と山裾の間にある深くえぐれている場所にある街だった。


「山辺の街ね」


「これは見つけにくい場所にあるな」


 クラリアとスタンリーがそんな話をしながら街の前の木が生えていない草原を5、6分程歩くと城門が見えてきた。中に入ると門の近くにいたNPCが俺たちを見て話しかけてくる。ドワーフじゃなくて人族だ。


「プレイヤーさんか。山辺の街にようこそ」


 11名と3体の従魔はNPCに聞いた場所にある冒険者ギルドに顔を出した。そこで奥の転送盤を登録する。これで次からは移動が楽になる。


「ここに別宅は無いって」


 受付にいたNPCの受付嬢と話をしていたクラリアが戻ってくると言った。受付嬢は2人ともドワーフだよ。そのせいか受付のカウンターが他の街よりも低い。彼らのサイズに合わせているんだな。


 情報クランと攻略クランは他のクランメンバーをこの街に呼ぶという。新しい街に着いた時に彼らはいつもそれをやっている。同時に情報クランは新しい街の情報を公開する準備にはいるそうだ。


 俺は俺で、いつも通りにマップクエストを受けて、テイマーギルドに顔を出すが、それ以外にこの街では強化屋を見つけてそこにも顔を出す必要がある。黒の神魂石を使ってバンダナを強化するのと、港の街で買ったNQ装備も同時に強化するつもりだ。


「タクは強化屋に行くのかい?」

 

 トミーが聞いてきた。


「マップクエスト受けてからね。バンダナの件はもちろんだけど、それ以外に港の街で買ったレベル65装備の強化もしないと」


「確かにな。俺たちはとりあえずHQ装備のままで仲間をここに呼んで、それから強化するつもりだよ」


 また後で。そう言って彼らと別れると1人になった俺はガランとしているギルドのホールにあるテーブルに座ると端末を取り出した。俺が座ったのでタロウは俺がすぐに出かけないと分かったんだろう。床の上に身体を落とした。リンネは膝の上、クルミは肩の上と俺が座った時のいつもの定位置だよ。


 端末を見ると結構な数の神魂石が貯まっていた。27個あるぞ。25制限のNM戦を3回やって1戦で神魂石が5個、6個と出たのが大きな。


 種類は赤色が5つ、紫色が5つ、緑色が4つ、白色が6つ、茶色が3つ、青色が4つだ。


 赤はタロウに3つ、俺に2つ。紫はリンネに3つだ。緑は俺が装備と刀に使おう。クルミの石はないが、元々スカーフはいらないって話だから強化してもしなくても同じかな?石に余裕ができたら考えよう。 


 俺が端末を見ている間は従魔達は皆おとなしいんだよな。


 方針が決まった。端末を戻すと頭の上から声がした。


「主、お手紙は読み終わったのです?」


「うん、これから出かけよう」


 そう言うとタロウが起き上がって体を押し付けてきた。もちろんしっかりと撫でてやるよ。


「参るのです」


 受付でマップ作成クエストを受けると3体の従魔達と一緒に街に出た。山辺の街というだけあって街の西側には高い山が聳えているのが見えている。西側以外に北側と南側も高い山が街に迫っていて開けているのは東側だけみたいだ。そこが正門と呼ばれているんだと街の屋台のNPCのおっちゃんが教えてくれたよ。


 人族とドワーフが多いが他の種族のNPCもいる。街の作りは土の街に似ていて石とレンガ作りの建物が多い。ただ森が近いせいか、街の中に木々が生えていて通りの左右にも街路樹が植えられている。これは今までの街では見なかった景色なので新鮮だよ。


 日本だと車道、街路樹、そして歩道という風に並んでいるけど、この街は通りの左右に街路樹が植えられていて、街路樹と建物の間にも十分に余裕がある広さになっているよ。


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