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宝探し2回目

 午後にログインした俺は早速始まりの街に飛んだ。外に出ると幾分人は減った気もするがそれでも大勢のプレイヤーがポールの間を駆け抜けては消えていく。


「主、早速参るのです」


「よし! 行こう」


 列の後ろに並んで俺たちもポールを走り抜けた。


 飛んだ先は昨日とは違う風景だ。目の前に直径が50メートル程の池があり、それを取り囲む様に森がある。森の中にある池のほとりに飛ばされた様だ。


 周囲を見ると池の反対側にいる数名のプレイヤーの姿が見えた。立っている周りには宝箱はない。例によって地図は使えない。


「行こうか」


 とりあえず池に沿って半周してみる。水の中にはないとは思うけど一応浅いところを見ては反対の方向に目をやってとキョロキョロしながら歩いているけど宝箱の姿は見えない。


 池の反対側についた時はもう周囲に誰もいなかった。それにしても結構な数のプレイヤーが宝探しをしているはずだが人をあまり見ないな。何かカラクリがあるんだろうとタロウとリンネ、クルミと一緒に森の中に入っていく。敵がいないのはわかっているので従魔達もリラックスしているよ。


 森の中は下草がほとんど生えていなくて苔というか芝生というか、とにかく背が低い草なので歩きやすい。宝箱があってもこれなら目につくだろう。


「おっ!」


 大きな木の根元に宝箱を見つけた。


「お宝箱なのです」


「ガウガウ」


 従魔達も大喜びしているよ。このエリアに来て1個も見つからなかったらどうしようかと思っていたので1つ見つかってホッとした。端末をかざすと箱の中身が端末に収納されて目の前の宝箱が消えた。


「主、何が入っていたのです?」


「うん、高品質のポーションが10個だ」


「やったー!なのです」


 リンネがいい、タロウとクルミは尻尾を振って喜んでくれる。ポーションはいくつあっても困らない。


 森の中を歩いていると一人の男性のプレイヤーが森の右側からやってきた。


「こんにちはなのです」


「こんにちは。タクさんと従魔達か」


 挨拶をしてきた男性は第2陣のプレイヤーでベントン。ジョブはウォリアーだ。挨拶が終わると彼が聞いてきた。


「宝箱は見つかりました?俺は3時間で4個です」


「こっちは来たばかりでね。今1つ見つけたところだよ」


 今日はパーテイとしての活動が午前中で終わったので午後から宝探しに来ているそうだ。パーティメンバーもどこかで同じ様に宝探しをしているはずだという。


「今日初めて宝探しに来たんだけど当たりって何なんですかね?」


「何だろうね。俺は昨日来てサーバントポーションが1個、印章が5個の宝箱を開けたよ」


 ベントンも印章が3つ入っている宝箱は開けたそうだ。あとはポーションが入っていた箱が2つ、MPポーションだったと教えてくれた。


「宝探し、楽しいっすね。しかも知らないエリアだし。風景を見ながらうろうろしてる」


「確かに今までにないエリアだからな。敵もいないしリラックスして探せるよ」


 お互いに頑張ろうと彼と別れて森の中をウロウロしているとどう歩いたのかわからないが森の木々の間から山が見えてきた。


「あっちに山があるぞ、行ってみよう」


「みよう、なのです」


 山が見えた方向に歩いていくと、しばらくして森を抜けた。途中に宝箱はなかったよ。森を抜けると目の前に山裾があった。プレイヤーの数が増えていて、見える範囲で10名以上のプレイヤーがいる。彼らがどこから来たのか知らないけど、山裾には宝箱がある確率が高いという情報でもあるんだろうか。


 近づいていくと近くにいた女性二人組がタロウに気がついて声をかけてきた。装備を見ると二人とも神官の格好をしている。


「こんにちは」


「こんにちはなのです」


 こういう場面ではたいていリンネが俺より先に挨拶をするんだよな。今も頭の上から声を出している。挨拶をした後でスクショを撮ってもいいですかと聞かれたのでもちろんOKする。タロウの背中にリンネとクルミが乗った。


 女性達は可愛いわねと言いながら何枚もスクショを撮っている。彼女達が撮り終えると聞いてみた。


「あそこの森の中だとほとんど人に合わなかったんだけど、ここは多いね」


「私たちこの先に飛ばされたんですよ。他にも何名か同じ場所に飛ばされたみたいですね。だから多いんじゃなですか?」


 なるほど。俺は森の中に飛ばされて池に沿って左に行ったけど、あの地点からだとどこの方角にでも行ける。バラバラになったんだろうな。こっちは飛ばされた先に山があればまず山裾から探そうということになるのだろう。俺でもそうするよ。何となく山にはありそうじゃない。


 ただ、彼女達は30分ほど前に来たらしいがまだ宝箱は見つかってないそうだ。俺がそこの森の中で1つ見つけたというとそっちに行ってみようか、なんて話してる。


 彼女達と別れると人が少ない山裾を進むことにした。山裾には木は生えておらず岩がゴロゴロしている。ひょっとしたら岩の裏側とかにあるかもしれないと少し登って岩場の中を歩き初めて20分程したころ、岩の裏側にある宝箱を見つけた。


「宝箱なのです!」

 

 宝箱が見つかると従魔達が大喜びだよ。もちろん俺も嬉しい。近づいて端末を近づけると宝箱が消えた。


「主、お宝は何だったのです?」


 リンネとクルミがタロウの背中に乗ってこっちを見ている。端末を見ると茶色と紫の神魂石が入っていた。


「紫色はリンネの色なのです。主、でかしたのです」


 大喜びするリンネ。それにしても本当に神魂石が出たぞ。これは印章と同じく当たりじゃないのかな。しかも2個出た。


「この調子で山裾を進むぞ」


「進むぞ、なのです。ウハウハになるのです」


「ガウガウ」


 神魂石が出たからか従魔達のテンションが高いよ。このエリアの広さがわからないので俺たちはひたすら山裾を歩いていく。このエリアでは時間の概念がなく、陽も常に真上にあって陽の光が差している。方向すらも分からない。


 宝箱を見つけてから30分後、同じ様に岩場に宝箱が置かれているのを見つけた。今度は印章が2個入っていた。3体の従魔達は大喜びだよ。端末に入っているのを確認した時に端末の時計を見るともう夕方だった。


「よし、家に帰ろう」


「今日も宝箱をたくさん見つけたのです。ウハウハなのです」


「ガウガウ」


 クルミもタロウの背中の上でジャンプしている。皆喜んでいるのが嬉しいよ。


「ウハウハというほどじゃないけど、宝箱を3つ見つけたから良かった」


 ここでは転移の腕輪は使えるのかな。そう思ってやってみたがダメだった。帰還石でないと出られなさそうだ。そのあたりはフェアといえばフェアなんだよ。


 帰還石で始まりの街の外に飛び、そこから転移の腕輪で開拓者の街の自宅まで飛んだ俺たち。家に帰るとお留守番をしていたランとリーファが精霊の木からやってきて俺の両肩に座った。クルミとリンネが交代で精霊の木の枝の上で横になり、タロウはその根元でゴロンとなる。


 1回目の宝探しで宝箱が2個、サーバントポーションと印章が5個。

 2回目の宝探しで高品質ポーション10個、神魂石の茶色と紫色、印章が2個。


 俺は宝探しの結果をいつもの4人のグループメッセージで送った。情報クランの参考になればいいと思ってね。


 メッセージを送ると縁側でクールダウンだよ。ランとリーファが肩に乗っているしね。普段留守番を頼んでいるので、自宅では彼ら妖精達が満足するまでは動かないと決めている。しばらくすると2体の妖精がパタパタと羽を動かして精霊の木に飛んで行った。そのタイミングで立ち上がるとエプロンを身につける。すると精霊の木でリラックスしてい皆が寄ってきた。ランとリーファも戻ってきた。


 これからログアウトまでは焼き物作りだ。短い時間だけど作れるだけ作らないと。

 従魔達の置物は人気がある。売れ残るくらい作るつもりだよ。


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