表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
271/277

無制限NM戦

 自宅から港の街に飛んで外にでると、知り合いが集まっていた、その中にクラリアやトミーがいる。すぐにスタンリーらもやってきた。情報クラン、攻略クランのメンバーは皆レベル84に上がっている。こっちは80だ。タロウやリンネ、クルミがちゃんと挨拶をしている時、隣にいたマスターモンクのダイゴにレベルの話をすると問題ないと言う。


「このNM戦に最初に挑戦したとき俺たちは78だった。それで勝ってるし」


「言われてみればそうか。それを聞いて安心したよ」


 彼らは昨日もこのNM戦を2戦して2戦とも勝利し、HQの防具を4つ手に入れているそうだ。順調にメンバーが手に入れているんだとダイゴが教えてくれた。そう言っているダイゴもSTR系のHQの防具を手に入れて装備している。俺は店で買ったSTR系の装備を身につけている。NQだけどね。NM戦になるとずっとタゲを取ることもないだろうし、それ以上に短期決戦となれば少しでも一撃のダメージが多い方が良い。


「HQを装備するとその違いがわかる程でね。他のメンバーも言っているのでキャンペーン期間中は毎日2戦やってしっかりと装備を揃えることにしているんだ」


 上忍の装備が出たのかと聞いたらまだ出ていないと言っている。ランダムとはいえ出たという話を1つしか聞いていないのは不安だな。


 皆を前にしてスタンリーが簡単にNM戦について話をする。敵は固いカニと炎のブレスを吐くトカゲ。俺たち4名とクラリアのパーティ、それと情報クランの戦士の一人、10名がトカゲを相手にし、攻略クランの2パーティ、10名がカニを相手にする。早く倒した方が加勢する作戦だ。


「狂騒状態もない。ただ体力が多くて固いだけだ。時間が30分なので時間との勝負になるだろう。タク、頼むぞ」


「了解」


「任せるのです。バッチこいなのです」


「ガウ」


 従魔達が任せろと言っているし問題ないだろう。空蝉もあるしな。周りからはタロウ、頼むぞとかリンネちゃん頑張ってね、クルミちゃんもお願いね。なんて言われて、それに対しても問題ないのですと答えているリンネ。タロウもクルミも尻尾を振り回している。こちらも任せろという表現だ。


 揃ったので全員でNM戦に飛ぶ転送盤があるエリアに移動する。俺たち以外にもNM戦に挑戦するプレイヤーがそのエリアに集まっていた。空いている1つの転送盤の前に立ったスタンリー。彼が飛ぶと他のメンバーも同時にワープする。


 NM戦のフィールドはどれも同じで円形の舞台の様な作りだ。周囲は高い壁で逃げられない。


(3分後にNMがポップします)


 脳内にAIの声がした。メンバーが準備をする。俺が空蝉の術を唱えている間に、リンネが俺に強化魔法をかけ、クルミは俺とリックに魔法で反射壁を張ってくれた。その後に隣のジャックスやもう一人のパラディンの前にも反射壁を張った。


「これは助かるぞ」


「13%のダメージバックだっけ」


「そうそう、これで思い切り行けるぞ」


 そんな話をしていると舞台の中央に2体のNMがポップした。俺たちのターゲットのトカゲは左側だ。想像していたよりも大きい。


「やるぞ、最初から全力で頼む」


 スタンリーの声がして10名ずつに分かれてそれぞれのNMと対峙して戦闘が始まった。トカゲのNMはリックに突撃してくる。パラディンはジョブ特性で敵対心が高い。いずれはこっちもタゲを取ることになるんだろうけど、それまではリックに任せて攻撃だ。


 タロウとリンネも蹴りや魔法でトカゲに攻撃を繰り返している。クルミは魔法壁を張ると背後に移動している。黙っていてもタイミングを見計らって貼り直しをしてくれるから心配してないよ。


「10分経過」


 クラリアの声が飛んだ。今のところ盾のリックがしっかりとトカゲの攻撃を受け止めているがそろそろ交代した方がいいかもしれない。


「リック、ヘイト抜いてくれるか」


「おう、頼むぞ」


 リックと並んだ俺が正面からトカゲの顔に刀を何度も振り下ろす。リックは攻撃をせずに盾で受け止めているとトカゲが俺の方に顔を向けた。これからしばらくはしっかりと盾をしなければならない。回避盾だけど手数が多いからそれなりにヘイトは稼げる。


 トカゲが身体を震わせた。と同時に口から炎を履いてきた。蝉でそれを躱しながら攻撃をする。リックは横からトカゲに片手剣を振っていた。タロウの蹴りでグラッとしたところに全員が攻撃をしてトカゲを倒した。


 喜ぶのは後だ。すぐに隣のカニにターゲットを変更したけど、こちらも倒れる寸前だったみたいで全員で攻撃をするとすぐにカニが倒れた。


「よっしゃー」


(戦闘時間は18分48秒です)


「おおっ、20分切ったぞ」


 中央に現れた宝箱にスタンリーた端末をかざすと、俺たちはフィールドから港の街を出たところの草原に飛ばされた。


 そのまま街の中に入った俺たちは街の中にある公園に異動する。

 スタンリーが中身を確認すると、神官の魔力量が増えるローブ、狩人のSTR系の防具、いずれもHQの装備が入っていた。上忍の装備は入っていなかったがそんなもんだろう。初挑戦で欲しいものをゲットできるとは思っていないよ。


「上忍のは出なかったね」


 クラリアが近づいてきて言った。


「問題ないね。また挑戦すれば良い話だし。経験値も入るしね」


「俺たちは日に2回このNM戦に挑戦している。タクがよければ2回目は俺たちと一緒にやらないか?」


 彼らは2回やって出た装備についてはそのNM戦に参加していなくても持っていないメンバーに順に渡しているそうだ。俺が参加することで4名が参加できなくなるが、それは全く問題がないんだと言ってくれた。


「そういう事なら是非お願いします」


 キャンペーン中、午後のレベル無制限のNM戦に参加させてもらう事になった。この間で上忍の装備が出るといいな。


「それにしてもだ、俺たちもう何度もこのNM戦をやっているが20分を切ったのは初めてだな」


 一人が言うと周りがそうそうと言っている。


「クルミちゃんの魔法の反射壁が有効なのよね」


 マリアが言った。クルミは自分のことを褒められて嬉しいのか俺の肩の上でジャンプして応える。


「クルミはもちろんだけど、タクとその従魔達は本当に優秀だよな」


「当然なのです。一番強い主の従魔は皆優秀に決まっているのです」


 トミーに言われると頭の上からリンネが答える。俺が一番かどうかはともかく、従魔達が優秀なのは間違いない。俺の隣でタロウもそうだそうだと言わんばかりに尻尾をふりながらガウガウと吠えている。


 情報クランによるとこのNM戦に勝利している他のプレイヤー達も結構時間ギリギリで勝利しているそうだ。自分たちも一番早い時で23分弱で勝ったと言っている。レベルが上がってもすぐに簡単に倒せるNMではない様だ。


「ダメージバックはNM戦には有効だよな。この先のボス戦でもクルミには頑張ってもらわないと」


 言われたクルミが再びジャンプした。


「クルミに任せろと言っているのです。主のためにクルミは頑張るのです。タロウとリンネ同じなのです」


「ガウ」


 嬉しいことを言ってくれる。俺は肩に乗っているクルミを両手で抱きしめてやると腕の中で尻尾をブンブンと振って喜んでくれる。


 彼らはこれから共同でダンジョンに挑戦するそうだ。進むルートを手分けして奥を探索するのだという。第1ワープから第4ワープまでの詳細な情報はすでに公開しており、多くのプレイヤーがその情報を買ってくれているらしい。


「タクはどうするんだい?」


「この街の外で経験値稼ぎかな、その後は工房に籠る予定」


 明日も今日と同じ時間に同じ場所で待ち合わせをすることにして解散になった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ