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レベル25制限 その1


 翌日、午前中外で経験値を稼いだ俺たちはレベルが上がって76になった。この時クルミに変化はなかったので、やっぱりレベルが奇数になったタイミングでスキルが上がるのかもしれない。


 一旦ログアウトし、午後に再びインした俺。集まってきたタロウとリンネとクルミにこれから試練の街のNM戦に行くぞというと3体とも飛び上がって喜んでくれる。皆気合い十分だな。


「ランとリーファはお留守番をよろしく」


 そう言うと妖精の2体はサムズアップして応えてくれた。うん、うちの従魔達は皆素直でよろしい。俺は3体に顔をむけた。


「これから俺たちが相手をするのは大羊が2頭だ。とりあえずはいつも通り、外にいる魔獣を倒すやり方でやるぞ。リンネもタロウもクルミも最初から全力で行っていいからな」


「任せるのです。タロウもクルミもリンネも最初からぶっ飛ばすのです」


「ガウ」


「お、おう、頼むぞ」


 レベル25制限のNM戦は試練の街の郊外に転送盤というか入り口があると言う話なので、試練の街から外に出た。街の外に出ると、数パーティが同じ方向に歩いていくので恐らくそっちだろうと後を付いて行くと草原に転送盤がいくつもあるのが目に入ってきた。現地は15名のNM戦ということでそれなりのプレイヤーが集まっているが、装備から見るに第2陣のプレイヤーみたいだ。上忍の姿ももちらほらと見える。こっちを見ている視線に気がついたけど、話かけられてもこっちから話す事はないので早々に空いている転送盤の前に移動する。


「準備はいいかな?」


「バッチリなのです」


「ガウガウ」


 そしてクルミのジャンプを見た俺は行こうと転送盤に乗った。一瞬の浮遊感の後、俺たちはNM戦のフィールドに飛ばされた。このメンバーで2体を相手にするので今の自分はAGI装備で固めている。これで無理なら次はSTR装備で挑戦すれば良いと思えば気が楽だよ。


 フィールドは今までと同じで周囲を石の壁に囲まれた円形状の舞台になっている。


『3分後にNMがPOPします』


 AIのミントの声がしたので蝉を唱えると、リンネが強化魔法をかけてくれ、クルミは俺の前に反射壁を作り出した。


「タロウ、頼むぞ。1体は任せた。ダメージを喰らわない様にしながら攻撃してくれ」


 無茶な注文だがガウと吠えてくれた。


「リンネとクルミも頑張るんだぞ」


「任せるのです。クルミもやってやるぞと言っているのです」


 ホンマかいな。そう思ってクルミを見ると尻尾をブンブン振って見つめてくる。気合い十分だな。


「最初からぶっ飛ばせ」


 15名のNM戦を4名でやろうと言うんだ。チマチマとはやっていられない。どうせ俺にタゲが来るのは分かっている。ならば最初から全力だ。


 フィールドの中央が揺らいだかと思うと大きな羊が2体姿を現した。直ぐに2体が自分に向かって突進してきた。それを交わしながら刀で傷をつける。蝉が剥がされるが想定内だよ。全部避けられるとは思っていない。


 リンネが精霊魔法を撃ち始めた。タロウもリンネも敵対心が低い。ガンガンやってくれ。情報クランの話では目の前にいる羊のレベルは40弱。こっちは25と15近く差がある。ある程度の被弾を蝉で回避する前提でやらないと時間切れになる。ノーダメとかは考えていないんだよ。それでも結構な頻度で蝉が剥がされる。序盤はギリギリのリキャストで蝉を張り替えている。


 タロウが受け持っている1体の羊は最初は俺に攻撃をしてきていたが、俺からの攻撃が無く、タロウだけが攻撃をしているとターゲットをタロウに変えた。それでこっちも1体だけを相手にすれば良くなって蝉のリキャストが回る様になってきた。


 タイムキーパーがいないので時間の経過は分からないが、戦闘が始まって15分は経っているだろう。戦闘の合間にチラッとタロウを見ると俊敏な動きで羊の攻撃を避けながら蹴りを入れている。リンネがいるからダメージを喰らったとしても回復してくれるだろう。

 

 クルミが反射壁を張り替えた。言われなくても早め早めの行動をしてくれるので大助かりだ。俺が対峙している大羊は俺とリンネの攻撃、それからダメージバックを受けている。見た限りは動きに変化はないけど体力が削られているのは間違いない。


 俺が蝉を数度張り替えて攻撃をしていると目の前の大羊が倒れた。


「よし!」


「あとはあいつだけなのです」


「総攻撃だ」


 タロウが対峙していた大羊にターゲットを変更して全員で攻撃をする。タゲはしばらくタロウが持っていたが俺が連続して刀を振っていると羊の顔が自分の方を向いた。蝉は4枚あるしリキャストもゼロだ。ターゲットから外れたタロウがここぞとばかりに蹴りを繰り出していく。リンネの精霊魔法も効果的だ。


 最後は俺たちが攻撃をする前に大羊が倒れた。クルミのダメージバックが止めを刺した様だよ。


「よっしゃー!勝ったぞ!」


 俺たちはフィールドの中央で勝鬨を上げた。羊の姿がなくなるとそこに宝箱が現れた。端末を近づけるとそれが合図で俺たちはその場から試練の街の郊外、NM戦に飛ぶサークルの近くまで転移する。


『レベル25制限のNM戦に勝利しました。戦闘時間は28分10秒です』


 うは、結構ギリギリだったんだ。クルミの反射壁がなければやばかったぞ。


 周りに人がいるのでその場から転移の腕輪で自宅に戻って縁側に座ると早速宝箱の中身を確認する。周りに5体の従魔達が集まってきた。ランとリーファも興味あるよな。


「ワクワクするのです」


 端末から取り出したのは25制限の神官用のローブとウォリアー用のアーマー。それと上魂石が6個だった。従魔達は沢山出たと喜んでいるけど、俺が狙っていたスカーフはもちろんだけど、それ以外の腕輪などのアイテム系は戦利品に入っていなかった。戦闘では経験値が入り、20,000ベニーが入ってきた。


「クルミのスカーフがなかったよ」


 俺がごめんなとクルミを撫でやると尻尾をブンブンと振っている。


「クルミは気にしていなのです。また挑戦すれば良いのです。タロウもリンネもまた挑戦してやるのです」


「そうだな。今回はなかった。だからまた挑戦しよう」


 一度NM戦に挑戦するとリアルで6時間は再挑戦ができない。明日以降に挑戦するとしてとりあえず戦利品を再び端末に収納する。25制限の装備は店売りにするしかないだろうな。知り合いは皆持っているし。


 それにしても、15名のNM戦を時間ギリギリとはいえこの4名で倒せたのは嬉しいぞ。タロウとリンネはもちろんだけど、クルミの反射壁が地味に効いている。長期戦になると少しずつのダメージでも積み重なって大きなダメージを与えるということが証明された。25制限だからダメージバックは12%じゃないけど、間違いなく幾ばくかのダメージを相手にバックしている。塵も積もれば山となるだよな。


 次回も今回と同じやり方でいいだろう。28分とギリギリだったけどタイムアタックじゃないからね。結果的に相手を倒せればいいんだよ。


 少し休んだ俺たちはその後港の街の郊外に出向いて経験値を稼ぐ。2倍になるんだから有効に使わないと。そのまま夕刻まで外で経験値を稼いだ俺たちは自宅に戻ってきた。


 留守番をしていたランとリーファをしっかりと労ってから、5体の従魔達が庭で遊ぶのを縁側に座って見ながらクールダウンする。彼らが好きに遊んでいるのを見るのは癒されるんだよな。


 しばらくすると満足したのか皆縁側に集まってきた。ランとリーファが肩に乗り、タロウは縁側に上がってくると隣で横になった。クルミは俺の頭の上に乗り、リンネは指定席の俺の膝の上に乗ってきた。


「明日もがんばるぞ」


「頑張るぞ、なのです」



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