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80枚の打ち合わせ


 次はメンバーの選定だ。俺とタロウとリンネは確定らしいので2つのクランで2名をどうするかという話をしている。


「タク、60枚のリザードNM戦でダメージを喰らったかい?」


 スタンリーが聞いてきた。


「いや、俺もタロウもリンネも皆ノーダメだった。タゲはずっと俺がキープしてたけどリザードの攻撃は全部避けることができたよ。蝉も1枚も剥がされてない」


 そう言うと流石だなという声がする。素早さを強化していることとバンダナの効果だよ。


「思いつく方法は2つ。80枚の方のリザードは60枚の奴よりも大きいが、タクらが1体を受け持ち、他の7名でもう1体を受け持つ。早く倒した方がもう片方のリザード攻撃に加勢いする。もう1つは1パーティで1体任せ、残りの5名でもう1体を受け持つ」


「俺は80枚のリザードの強さを知らないけど、最初のアイデアだと俺とタロウとリンネが1体を受け持つことになる。俺たちがやられたらなし崩しに全滅するんじゃないか?」


 俺がそう言うとスタンリーがその可能性はあると言った。別の参加者から、となると1パーティで1体を受け持った方が安全性が上がるぞという声がする。時間制限があるが、その中で安全な方法を探さないといけない。安全性と攻撃力のバランスの見極めだよな。


「仮に1体を1パーティで戦闘する場合はパラディンとしては問題ないかな?」


 スタンリーが聞くと、ジャックスもリックも今のレベルと装備なら1体なら問題なくいけると言っている。前回挑戦80枚に挑戦した時はリザードが2体出てくるとは思っておらず、最初から2体を相手にしたそうだ。途中から1パーティで1体受け持ったそうだが、その時はレベルが低かったことも相まって60分の制限時間内に倒せなかった。


 パランディン達の言葉を聞いたスタンリーが部屋にいるメンバーを見て言った。


「タクとタロウとリンネは1人と2体、つまり3枠だけで60枚のNM戦を24分弱と22分台で勝利している。これからみると俺たち5名のパーティよりも火力が高いと言うことにならないか?しかもタクは盾もやれる」


「確かに」


「1パーティで1体、タクをメイン盾として応援組と組んで1体だな」


 2手に分かれて戦闘をし、早く倒した方がもう1体の助っ人に入ることになった。

 基本のフォーメーションが決まれば後はスムーズに決まった。俺が盾をしながら攻撃。タロウとリンネと助っ人達は好きに攻撃する。うん、単純でいいよ。


 それを踏まえた上での話し合いの結局こうなった。


 情報クラン主催(5名)、俺達(3)、攻略クラン(2)スタンリーとダイゴ

 攻略クラン主催(5名)、俺達(3)、情報クラン(2)トミーとワビスケ

 俺主催(3)、情報クラン(5)、攻略クラン(2)スタンリーとダイゴ


 応援の2名は攻撃力が高いメンバーが良いだろうという事で情報クランからはトミーとワビスケ、攻略クランからはスタンリーとダイゴが助っ人になった。クラリアという声もあったが盗賊より魔法使いの方が火力が高いということでクラリアが辞退し、ワビスケが助っ人で参加する。


 俺が印章を出す時は7名の枠を2つのクランか4名と3名を出すかという話も出たんだけど、1体だけを倒すのなら普段からやっているメンバーの方がやりやすいだろうということでどっちのパーティが出るか抽選をした結果、情報クランになった。どちらのクランもこのPWLでは先頭を走っているパーティだ。


 最初はパラディンを2名にするかと言う話も出たんだけど、火力を考えるとパラディンよりも攻撃力が高い戦士やマスターモンク、魔法使いがいいだろうという事だ。


「タクなら盾をできるだろう」


 スタンリーの言葉に皆が同意したという経緯がある。80枚のリザードについては知らないが、素早さはあるし空蝉の術もある。手数を増やしてタゲを取っていれば周りがガンガン攻撃してくれそうだ。万が一ダメだったら2戦目からパラディンを入れれば良い。


 ここにいる連中は前回よりもレベルが上がっているし俺たちもいるので今回は行けるぞ、なんて言っているよ。


「主に任せると安心なのです」


「ガウ」


 久しぶりにリンネのそのセリフを聞いたよ。



 打ち合わせが終わるとドロップの話になる。これは印章を提供したチームの総取りと決まっている。何がドロップするのかという話になると皆が神魂石だろうと言ってる。ただ俺たちも含めてここにいる全員は既に6段階まで強化済みなんだよな。俺は単純に強いNMに挑戦したいという気持ちだけだけど皆はどうなんだろう。


「俺たちもタクと同じだ。強い敵や誰も倒していない敵に挑戦したいという気持ちが一番強い」


「40枚と60枚は神魂石だけだった。80枚もそうなのか、それとも他のアイテムが出るのか。そこには情報クランとして興味があるのよ」


 クラリアが言っているが確かに神魂石とは決まってないよな。ひょっとしたら何か他のアイテムが出るかもしれない。そう考えると楽しみだ。その前に勝たないといけないのだけど。


 印章を出す順番はくじ引きの結果俺、情報クラン、攻略クランになった。自分自身は何番目でも同じだ。



 翌日の午後、俺たちが山の街から洞窟の小屋に飛んでしばらくすると両クランのメンバーが転送盤でやってきた。洞窟の小屋には他にもプレイヤー達がいたが転送盤から飛んできたクランメンバーを見て身内同士で話をしているのが聞こえてきた。


「情報クランと攻略クランのメンバーだ。NM戦に挑戦するのかな」


「80枚に挑戦するのかな」


 そんな声が聞こえてきた。情報クランと攻略クランがいればそれで10名だ。普通ならその10名で80枚の印章NM戦に挑戦すると思うよな。


 俺たちが先に小屋を出ると後から2つのクランが出てきた。広場にいる魔獣を倒しながら中央の洞窟に入る。小屋を出たのは俺達が最初だったが、洞窟に入ったのは最後だった。洞窟の中は安全地帯になっているのでそこで数組のパーティが休んでいた。


「今から80枚に挑戦するのかい?」


「そうだよ」


 休んでいるパーティの連中とトミーが話をしている。知り合いなのかな?


「それにしちゃ人が多いわね。10名じゃなかったっけ?」


「色々とあるんだよ」


 そう言うと情報クラン、攻略クラン、そして俺達の順で洞窟の奥に進んでいく。転送盤の前に着くと最終の打ち合わせをする。


「2体のリザードが中央に並んでPOPするわ。私たちは左側の1体を担当する。スタンリーらは右側のお願い」


 クラリアの話を聞いた後で俺は隣に座っているタロウと膝の上に乗っているリンネに言う。


「聞いただろう?俺達は右側のリザードを攻撃する。そいつを倒してから左側のだ。間違えるなよ」


「ガウ」


 タロウは尻尾を振って分かったという意思表示をする。


「リンネも大丈夫なのです。主は心配性なのです」


 リンネが言うと周囲にいたメンバーが皆笑ったよ。でも念を押すというのが大事なんだぞ。リンネを撫でながらそう言うと分かったのですと素直に返事をしてくれた。これで安心だ。


「最初はタクの印章だな」


「準備はいいかな?」


 聞くと皆OKだと言う。タロウとリンネも問題なさそうだ。俺は端末を転送盤にかざした。


『印章を80枚使って特殊戦闘を行いますか?人数は最大10名、時間は60分となります。NM戦をする場合は端末を光に近づけてください。専用フィールドに移動してから3分後にNMがPOPします』


『はい』 を選択すると10名が戦闘フィールドに飛ばされた。


 80枚のフィールドも60枚と同じ広さだった。飛ばされるとすぐにメンバーが左右に分かれる。俺達は右側に陣取るとリンネが強化魔法をかけてくれる。俺は空蝉の術を唱える。分身は4体。強化も終わっているしバンダナもある。全部避けようと思わずに4回は攻撃を受けても問題ない。そう割り切ることにする。


「ありがとう。いいか、時間がないから最初からぶっ飛ばしていいぞ」


 俺はタロウとリンネを見て言った。


「ガウ!」


「はいなのです。最初からガンガンぶっ飛ばすのです」


 タロウとリンネが尻尾をブンブンと振っている。彼らは敵対心が低い。今回のダメージソースになるから頑張って貰わないとな。


「タクの言う通りだ。時間が限られているから最初から全力でやろう。できるだけ早く1体を倒しすのが肝になるぞ」


 準備をして待ち構えていると中央から大きなリザードが2体POPしてきた。60枚のも大きかったがこっちはそれよりも更にでかい。


 リックが前に出て左側に移動、俺が右側に移動し、2人がサークルに入って戦闘が始まった。



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