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次は80枚だ

 60枚の印章NM戦に2戦して2勝したという話を俺の自宅でいつもの4人にすると、彼らは当然だろうなと言っている。それよりも60枚のNM戦で神魂石が4つ出た事の方に驚いていたよ。


「印章40枚は石が2個のドロップは確定っぽい。殆どのプレイヤーが40枚に挑戦しているので情報は集まっているのだけど皆2個なのよ。そして60枚の方はスタンリーらが1戦して3個。タクは2戦して4個と3個。こっちは3個か4個というドロップになりそうね」


 40枚ならレベル上げ感覚で挑戦できる。それで確実に神魂石が2個手に入るのならそちらに挑戦しようとなるよな。たいていのプレイヤーは5人でパーティを組んでいるし。


 ただ今回俺が石4個ドロップしたという情報が入ったので60枚に挑戦するプレイヤーも出てくるかもしれないねとクラリアが言った。



 情報クランと攻略クランのメンバーのレベルは今56だがもう直ぐ57に上がるだろうと言っている。


「57になったら今の狩り場になっている丘の上での戦闘が楽になると思うんだ。それで一度丘を降りて、その先にある森に入ってみようと思っている。森の中に何がいるのか、そのレベルはどれくらいなのか。そのあたりを探索しようと思ってるんだよ」


 スタンリーが言うと情報クランも同じ事を考えているそうだ。ただアライアンスは組まずに各パーテイで探索をすると言う。経験値や石のドロップを考えたらパーティ単位の方がメリットがある。森の中で勝てなければ丘の上に戻ってレベルを上げれば良い話だしな。そうトミーが言っている。


「タクはレベルは上がりそうかい?」


 スタンリーが俺を見て聞いてきた。


「どうだろう。あと半分くらい?まあ急いでないしね」


 俺はこの日も午前中は自宅、午後に平原で水牛相手に経験値稼ぎをして夕刻に自宅に戻っていた。なかなか赤色の神魂石がドロップしないんだよな。あと2つから進まないよ。欲しい色が出ないのはゲームあるあるだという4人だが全くその通りだ。ちなみに2つのクランメンバーは全員が6段階の強化を終えている。


 自分としてはあと赤の石を手に入れて強化が完了したら北に進もうと思っている。その頃にはレベルも1つは上がるだろう。攻略よりも強化優先だよ。そう思っていたら予想していなかったお誘いが来た。


「俺たちが58、タクが55になったら80枚の印章NM戦に挑戦しないか?」


「80枚のNM戦に挑戦?あれって参加人数10名じゃないの?」


「その通り。80枚のNM戦を2戦やるんだ。1戦は攻略クランから5名、情報クランから2名。もう1戦は情報クランから5名、攻略クランから2名だよ」


 スタンリーが言うと隣からクラリアが私たちの間じゃ話がついているのよ。楽しそうでしょ?と笑いながら言ってきた。彼らは自分たちの58と俺達の55が同じ戦力、ひょっとしたら俺達の方が実質上からも知れないと言っているけど、流石にそれはないでしょう。何がドロップするにせよNM戦は楽しそうだ。


「主、ここは受けるのです」


 頭の上から声がした。同時に足に身体をグイグイと寄せてくる感触がある。リンネもタロウもやる気満々だな。


「分かった。確かに楽しそうだ。挑戦しようか」


 お互いにレベルが上がったところで連絡を取り合ってもう一度相談することになった。



 彼らと80枚の印章NM戦をするにはあと1つレベルを上げないといけない。彼らからは急がなくてもNM戦は逃げないと言われているが、あっちはもう直ぐ上がりそうだと言っていたし、いつまでも待たせる訳にはいかない。


 畑の見回りは続けるが、午前中に工房に籠るのはやめて、畑が終わるとそのまま山の街のギルド経由で西の山裾の小屋に飛んだ。


 昼食で一旦街に戻り、午後からまた平原に繰り出して水牛を倒して経験値を稼ぐ。タロウとリンネは戦闘が大好きなので外で魔獣を倒すとなると、すこぶる機嫌が良い。この日はレベルは上がらなかったけど赤の神魂石が1個出た。


「やったのです。これでまた主が強くなったのです」


「ガウガウ」


 山の街の強化屋でジグさんに防具を強化して貰って店を出たところでリンネが言ってくれた。隣でタロウも喜んでるぞ。あと赤の石1個で強化は完了だ。その翌日の午前中に2つ目の赤の神魂石が出た。やっと出たよ。


「主、でかしたのです」


「ガウ」


 すぐにジグさんの店に走って強化したよ。これで装備関連の強化は終了。そして午後の活動で俺たちはレベルが1つ上がって55になった。目標のレベルに到達した。両クランはこの前にもう直ぐ57だと言っていたから今は58を目指しているんだろう。その間にこっちもできるだけ経験値は稼いでいた方が良さそうだ。


 55に上がった時点でグループメールを送っていた俺。それから2日後に彼らが58になったと言う連絡が入ってきた。これで80枚の印象NM戦に挑戦することになる。こっちは55に上がってからもフィールドには出てたけどレベルは上がらなかった。NEXTの必要経験値が多いよ。



 この日俺とタロウとリンネは印章NM戦の打ち合わせで開拓者の街の中にある情報クランのオフィスに足を向けた。


 オフィスの会議室に入ると、攻略クランの5名のメンバーがいた。タロウとリンネと一緒に部屋に入る。リンネは頭の上だ。部屋に入って椅子に座るとリンネは頭の上から膝の上に移動し、タロウは俺の横で床の上に身体を下ろして座った。


 直ぐに情報クランの5名が入ってきた。部屋にいるのは11名と従魔2体。


「じゃあ早速始めましょう」


 クラリアの司会で打ち合わせが始まった。まずはここにいる全員の強化状況の確認だ。情報クランと攻略クランのメンバーは全員がマックス6段階目まで武器や防具の強化が終わっている。


「タク達は?」


「こっちもタロウとリンネも含めて全員終わった」


「タクの強化も間に合ったんだな」


 スタンリーが言った。


「ギリギリのタイミングだけどね。なんとか間に合ったよ」


「主はいつも完璧なのです。心配ご無用なのです」


 膝の上に乗っているリンネが言うと横にいるタロウもガウガウと吠える。


「それなら十分に勝機があるわね」


 ここにいる俺以外のメンバーは一度80枚の印章NM戦を経験している。60枚よりもさらに大きいリザードが2体。この2体を30分で倒さないといけない。


「タクは60枚のNM戦に2勝しているよな。戦闘時間を覚えるかい?」


「覚えている。1戦目は24分を少し切ったタイムで2戦目は22分半だったよ」


 俺がそう言うとおおっと言う声や凄いなという声が上がった。


「タクとタロウとリンネだけでその時間でしょ?私たちは5人でやって24分30秒だったの」


「俺たちは時間切れでフィールドから弾き飛ばされている。タクらは相当火力があるぞ」


「しかも強化が完全に終わっている前でしょ?レベルも上がっているし、今ならその時よりも火力が上がってるということになるわね」


 部屋にいるメンバーが言っている。


「タロウとリンネが優秀だからね」


 俺がそう言うと周りはタクもだろう?と言う。それを聞いていたのかリンネが膝の上でミーアキャットポーズになった。


「主が一番なのです。タロウとリンネよりも主は強いのです」


「いやいや、お前達だろう?」


 俺はそう言ったけど周りはその通りだよね、タクは強いよねなんて言って煽ってくる。それに対してその通りなのです。なんてリンネが答えているよ。タロウもガウガウと吠えている。2体のこの対応にももう慣れたよ。常にこの2体と活動をしているから誰が強くてもいいんだけどね。


「80枚のNM戦は人数が10名でしょ? こちら側7名の選択と印章NMで出たドロップ品の取り扱いを決めないといけないのよ」

 

 こちら側とは情報クランと攻略クランの事だ。5名、2名、3名になるから戦利品をどうするかと言う事だ。


 クラリアがそう言ったが俺がちょっといいかなと言うとその場にいる全員が俺に注目する。


「俺も印章を出すからさ、80枚のNM戦を3戦しないか?それぞれが印章を80枚出してNMで勝利したらドロップは印章を提供したパーティの総取り。これなら揉めないんじゃないかな。おそらくだけどNM戦に勝利したらベニーが入ってくるだろう?それがお手伝い賃ということで」


「なるほど、それはいいアイデアね。経験値も入るし」


 俺が言うとマリアが直ぐに賛成してくれた。他のメンバーもそれなら分配で揉めないなと言っている。俺の時は俺1人だけの総取りになるが他のメンバーはそれは全然構わないと言ってくれた。


「私も賛成。反対意見がなければタクのアイデアで3戦しましょうか」


 反対意見は出なかった。ドロップ品の取り扱いについてはこれで決まりだ。俺は印章は余っているしこんな時にしか使う事がないからな。印章を提供したパーティが総取りにするとのがシンプルで分かりやすいよ。



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