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草原でレベル上げ

 俺たちは上級レベル41だ。3つ目のセーフゾーンを拠点にするにはまだレベルが足りない。なので渓谷の小屋をベースにしてレベル上げだ。彼らはレベル45で3つ目のセーフゾーンに着いていて、周辺の魔獣のレベルは47と48だと言っていたな。


 そう考えるとあと3つ上がると楽になるんだよな。2つでもいけるかもしれない。何と言ってもこっちにはタロウとリンネがいる。よし、気合いを入れて頑張ろう。


「主、タロウとリンネに任せるのです。ガンガンやってやるのです」


「ガウガウ」


 渓谷の小屋の周辺は他のプレイヤーもいるので小屋を出るとタロウの背中に乗って草原を北に走る。周辺の水牛のレベルをチェックし、44が消えて45ばかりになったところで山裾に移動した。この辺りでしっかりと経験値を稼ごう。


「タロウ、よく頑張ったな」


「ガウガウ」


 タロウから降りるとしっかりと撫でてやるとタロウが尻尾を振りながらグイグイと体を押し付けてきた。


「タロウは問題ないと言っているのです。主を乗せて走るのが大好きなのです」


「そうか。これから強い敵と戦うがそこでも頼むぞ」


「ガウ」


「リンネも頼むぞ」


「任せるのです」


 ここまで来るとライバルがいない。俺たちは山を背にして狩りをスタートした。相手のレベルは45だ。今の俺たちは45レベルの水牛が適正みたいだ。普通のパーティなら自分たちのレベルより2つか3つ上の敵が適正らしいがこっちには強化を終えたタロウとリンネがいる。それに自分自身もそれなりにステータスが上がる装備を身につけているので4つ上がいい感じで時々現れる5つ上の46の水牛もそれほど苦労せずに倒せることができる。


 この場所で2日ほど経験値稼ぎをして俺たちはその日の夕刻に上級レベル42に上がった。レベルが上がるとタロウとリンネも大喜びするんだよな。もちろん俺もだよ。そしてやっと赤色の神魂石をゲットした。


 渓谷の街に戻るとその足で強化屋さんに顔を出し、防具の3段階目の強化をした。これで俺と従魔達の強化は終了だ。


「主がまた強くなったのです」


「ガウ」


 強化屋さんを出て自宅に戻ってくるとリンネとタロウがそう言って褒めてくれる。ランとリーファも羽根をパタパタとさせてくれていた。


「これで俺もタロウもリンネも強化が終わった。明日からは奥に進んで3つ目のセーフゾーンを目指すぞ」


「目指すぞ。なのです。タロウとリンネが主をお守りしながら敵をぶっ倒してやるのです」


「ガウガウ」


 俺も少し強くなった。その上に強化が終わっている2体がやる気満々ならなんとかなりそうだな。



 渓谷の街はずいぶんと賑やかになった。多くのプレイヤー達がテイムした従魔を従えて街の中を歩いている、どこのレストランも繁盛しているみたいだ。1日の活動を終えたプレイヤー達で街は賑やかだよ。


 俺たちは久しぶりにラビーンに顔を出した。次の街の情報を手に入れたレストランだ。ウッドデッキに上がると俺たちを見つけたのか給仕さんと一緒にオーナーのディロンさんが出てきた。息子のディーン君は今日はいないそうだ。


「こんにちは。お久しぶりです」


「お久しぶりなのです」


「ガウガウ」


「どうもこんにちは。北の山の街には行けましたか?」


 挨拶が終わるとディロンさんが聞いてきた。俺はまだレベルが足りないんですよと答えてから続けて仲間の情報クランと攻略クランのメンバーが街を見つけたけど門が閉まっていて街の中に入れなかったという話をする。


 俺の話を聞いていたディロンさん。


「プレイヤーの方は色々と大変ですね」


 そう言ったディロンさんからお勧めの料理を聞いてそれを注文すると彼は店の中に戻って行った。タロウはデッキに上がると俺の椅子の隣でゴロンと横になり、リンネは座った膝の上に飛び乗っている。


「今日はタロウもリンネも頑張ったな」


 そういうとタロウは横になったまま尻尾を振り回している。これは大丈夫だ、問題ないという意思表示だな。


「タロウもリンネはいつも主のために頑張るのです。明日もやってやるのです」


「そうだな。明日も頼むぞ」


 店のお勧め料理は川魚の焼き物だった。臭みがなくて美味しいんだよ。食べ終わった後で給仕さんに聞くと魚は釣りギルドから仕入れているそうだ。この街にも釣りギルドがあるのなら一度顔を出してみようかな。


 食器を持っていった給仕に変わってディロンさんがウッドデッキに出てきた。


「美味しい魚料理でした」


「それはよかった」


「この街の釣りギルドから仕入れているんですか?」


「そうなんですよ。街の北に流れている川、あの川は東の山から流れてきているんですけどね、その山裾あたりが良い釣り場になっているんです。魔獣がいるので私たちは行けませんがプレイヤーさんが釣ってきたのもをギルド経由で買い取ってるんですよ」

 

 なるほど。釣り好きなら川を見つけたら釣りをするよな。そう言えば長い間釣りをしていないな。水の街で釣りをしてからはやってないぞ。


「主、主もお魚さんを釣るのです。お船に乗って釣るのです」


 膝の上に乗っているリンネが言った。隣で寝ていたタロウも起き上がって身体を寄せてくる。


「船に乗るかどうかは分からないけど、久しぶりに釣りをするのも良いかもしれないな」


 従魔達が喜んでくれるのなら釣りをしてみるのもいいな。俺はディロンさんのレストランを出るとその足で釣りギルドに顔を出した。釣りギルドは街の北門の近くにある。


「こんにちは」


「こんにちはなのです」


「ガウガウ」


 扉を開けて中に入るとカウンターに人族の女性が座っていたけど俺たちを見て立ち上がった。リンネは俺の頭の上に乗っている。


「いらっしゃい。釣りギルドにようこそ。私はここ釣りギルドのギルドマスターをやってるマヌエラだよ」


「初めまして上忍のタクです。こっちがタロウ、こっちがリンネ」


「おや、タクは釣りギルドに登録してるね」


 ゲーム的にデータを共有しているんだな。


「そうなんですよ。試練のエリアの水の街で登録しました」


「そうみたいだね。であればここで登録の必要はないよ。釣り場は北門を出た川の上流だ。釣った魚はギルドでも買い取ってあげる。ただ釣り場の近くには魔獣が徘徊しているから気をつけるんだよ」


「主は強いので草原にいる羊さんは怖くないのです」


 頭の上からリンネが言うとそうかい。でも油断しちゃダメだよと言うマヌエラさん。その通りだよな。油断禁物だ。


「主、今から釣りに行くのです」


「ガウ」


 釣りギルドを出るなり今から行こうというタロウとリンネだがもう陽が暮れかけている。


「今日はもう遅い。釣りはまた違う日にやろう」


「ガウ」


「分かったのです。お魚さんは違う日に釣るのです」


 タロウとリンネは物分かりがいいから助かるよ。夕方から夜の街を歩くのは久しぶりだけど相変わらず通りにプレイヤーが多い。従魔を従えて歩いているプレイヤーもそれなりにいる。その中でもやっぱりタロウとリンネは目立つんだよな。歩いているとタロウちゃんだ、とかリンネちゃんよという女性プレイヤーの声が聞こえてくる。タロウとリンネは相変わらず人気者だな。彼らの置き物が売れるのも当然か。


「主とお散歩するのは楽しいのです」


 頭の上でリンネが言っている。隣を歩いているタロウもそうだと言わんばかりに歩きながら尻尾を振っていた。従魔達が言う通りだよ。リラックスして散歩するのは悪くない。


「こうしてのんびりと街を歩くのもいいな」


 そう言いながら人が多い通りを歩いて渓谷の谷の別宅に戻ってくると待ち構えていた様にマリアがやってきた。早速タロウを撫で回している。


「そろそろ落ちようかなと思ったらタロウちゃんが見えたからね」


「タロウとリンネは主とお散歩をしていたのです」


「お散歩?」


 そう言うのでこの街で飯を食って市内を歩いてきたんだよと言う。


「攻略は進んでるの?」


「今日上級レベル46になったの。クラリアらと足並みを揃えて活動をしてるので彼女達も46になったわよ」


 46になってもう1度洞窟の街の前まで出向いたがやっぱり門は閉まったままだったそうだ。


「街の場所は分かっているし、当分は3つ目のセーフゾーンをベースにしてレベル上げをするつもりなの」


「3つ目のセーフゾーンの周辺のレベルって46、47くらいだっけ?」


 俺が聞くとそのレベルだと教えてくれた。俺たちの42から見ると4つ5つ上だけど従魔達が優秀だ。明日は3つ目のセーフゾーンを目指してみよう。


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