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キャンペーンの案内が来た


 ログインすると公式からメッセージが来ていた。


・2日後の0時から24時までの24時間、サーバーのメンテナンスを行います。この期間のログインはできませんのでご了承ください。


・多くの新しいプレイヤー達がこの世界にやってきました。それを記念して来週の日曜日の午前0時より1週間の間、経験値増、アイテムドロップ率上昇キャンペーンを行います。また各種スキルの上昇率も上がります。また、街の外で魔獣を倒すとドロップ品とは別にランダムで宝箱が出現します。宝箱の中に何が入っているのかはプレイヤーご自身でご確認ください。(*なお、キャンペーン期間中も毎週日曜日のバザールは通常通り開催いたします)


・キャンペーン期間中、上級ジョブに転換済みのプレイヤー向けのイベントとして試練の塔の一部が競技場として開放されます。ここではトリガーNM戦を行うことができます。トリガーは複数あり、それによって出現するNMの種類と強さが異なります。トリガーは宝箱からや魔獣を倒すことで入手できますが、それ以外の方法もありますのでプレイヤーの皆様で探してください。


・NM戦ではキャンペーン期間中限定の特典がありますのでお楽しみに。



 キャンペーンの準備でメンテナンスをするという事だろう。その後キャンペーンが1週間始まる。これはしっかりとログインしておきたい。確率は低いだろうけど宝箱の中に神魂石が入っていることもありそうだ。


 トリガーNMは以前もあったが今回はその上級バージョンなんだろうか。公式の情報だけでは予想が難しいよ。トリガーによってNM戦の内容が変わってくると言うことなのでレベルや人数、制限時間なども複数あるってことだよな。もちろんNMを倒した時のドロップも気になる。

 

 特典ってのも気になるけど俺はとりあえずは経験値増とスキルアップを中心にやろう。新エリアはNEXTの経験値が多い。少しでも稼げる時に稼いでおきたい。あとはこの期間で採掘スキルや窯業スキルも上げられるといいな。



 翌日、草原の小屋をベースにして周辺の水牛を倒した俺は昼過ぎに開拓者の街の自宅に戻ってきた。明日は1日メンテナンスになる。これからログアウトまでは工房で合成の時間だ。ここならランとリーファもいるしね。


 タロウとリンネは戦闘をしてきたのかすっかり満足してリラックスモードで自宅の庭で休んでいたけど俺が縁側で合成エプロンを身につけると皆が起き上がり、俺の後をついて工房に入ってきた。


「ゆっくり休んでいていいんだぞ」


「ガウガウ」


「平気なのです。皆、主のお仕事を見るのが好きなのです」


 タロウが工房の床にゴロンと横になるとその背中にリンネ、ラン、リーファの順で座って俺の仕事を見る。


 窯業スキルが58に上がったこともあり、焼き物の質も上がったと思う。それと焼成時間が短くなって効率が上がった。いつも通り4体の置物を焼いたり一輪挿しやサラダボウルを焼いていく。


 焼き上がったのを窯から取り出して見ていると4体の従魔達が喜んでくれる。彼らが喜んでくれると頑張った甲斐があるよ。


「タロウもランもリーファも良い出来だと言っているのです。リンネもそう思うのです」


「そうだな。最初の頃に比べると随分と良くなったと自分でも思うよ」


「主は何をしても一番なのです」


「ありがとうな」


 出来上がった焼き物をテーブルに置くと、近くに座っているタロウに近づいて4体の従魔達を撫でてやる。


「いつも皆が応援してくれているからだぞ」


 そう言うとタロウとリンネは尻尾を振り回し、ランとリーファは羽根をパタパタをさせてくれた。本当にこの従魔達のおかげなんだよな。


 従魔を撫でていると端末が鳴った。


「主、お電話なのです」


「うん、ありがとう」


 端末を手に取るとクラリアだった。今日の活動が終わったので今から自宅に行ってもいいかと聞いてきた。もちろん問題ないよ。明日はメンテナンスだ、皆も早めに活動を終えたんだろう。


「これからいつもの4人が家に遊びにくるぞ」


 俺と従魔達は工房から出てお茶と梨の準備をしているといつもの4人が庭に入ってきた。それを見たリンネとタロウが挨拶をする。


「いらっしゃいませなのです」


「ガウガウ」


 マリアは早速タロウに近づくとしゃがみこんで撫で回している。これもいつもの事だよ。


「主のお家でゆっくりすると良いのです」


「そうだね。リンネちゃんの主のお家でリラックスさせてもらうわ」


 皆が縁側に座ったところでお茶と梨を出した。タロウは縁側の近くに腰をおろしランとリーファは精霊の木の枝にちょこんと座る。リンネは俺の頭の上に乗ってきた。


「タクのそのエプロンはバザールで買ったのかい?」


 俺のエプロンを見てトミーが言った。


「そうなんだよ。皮革ギルドのエリアのバザールで買ったんだよ。使いやすくて重宝してる」


 最初は戦闘関連の商品は販売できないという制限についてはプレイヤーの中でも否定的な意見があったらしいが、いざバザールが始まるとマイスターを中心にギルドごとに個性的な商品が多く販売されたこともあり大好評だ。売れるのかな?と思った俺の置物や食器も売れている。プレイヤーもただ武器だ防具だばかりじゃなくてそれ以外のゲームを楽しめるアイテムに興味があるってことだよな。少なくとも自分はそうだ。


「タクも公式からのメッセージを見たでしょ?」


 ひとしきりバザールの話をした後でクラリアが言った。


「見た見た。色々とイベントがあるみたいで面白そうだね」


 彼らは過去のキャンペーンの内容から経験値やドロップ率のアップはある程度予想していたらしいが宝箱とNM戦の案内には驚いたと言う。


「あれを見る限りドロップ率のアップとは別に宝箱が出るってことだ。普通に考えたら神魂石とNM戦のトリガーを期待するよな」


 トリガーも複数あるということなのでそれによって敵の強さが異なるんだろうとは想像できる。


「この前は緑翡翠と黒翡翠だった。今回も2種類か、それともそれ以上か。いずれにしても楽しみだよ」


 スタンリーは本当に楽しみだという顔をしている。強い敵と対峙するのが大好きな攻略クランのリーダーだから当然だよな。


「宝箱からはそれ以外の装備品やベニーの可能性もあるわね」


「ひょっとしたら武器や防具が出てくることもあったりして」


 皆宝箱が出ると聞くとワクワクするという話になる。もちろん俺もだよ。おそらく宝箱の中身はある程度はエリアの強さに応じたものになるんじゃないかという見方をしている4人。確かに初期エリアの宝箱から神魂石が出るという可能性は低いんだろうな。NM戦のトリガーもまず出ないだろう。上級ジョブ限定のNM戦なんだし。


「NM戦のトリガーといえばまたタクがどこからか手に入れてきそうだな」

 

 トミーはそう言うけど俺はジョブレベルもまだ低いし採掘レベルだって高くない。それは厳しいんじゃないかと言ったが周りはなぜか俺に期待しているみたいだ。


「レベルとかスキルとか関係なくタクはやってくれそうな気がする」


「それはスタンリーの買いかぶりだな」


 そう言うんだが期待しているよと4人から言われた。


「主に任せるのです」


「ほらっ、リンネちゃんも言ってるじゃない」


 期待しないでくれと念を押しておいたよ。


「NM戦での期間限定の特典ってのは何なんだろうな」


 これについては皆も想像がつかない様だ。


「いずれにしてもこのキャンペーン期間中は渓谷のエリアに多くのプレイヤーが集中するだろうな」


 トミーがそう言ったので今あの平原の小屋に到達しているプレイヤーはどれくらいいるのか聞いた。


「結構いるわよ。あの小屋の情報を公開してからはとりあえず小屋に行こうと複数のパーティでアライアンスを組んで攻略して到着しているの」


 なるほど。到達して転送盤だけでも記録しておこうということか。ただあの周辺の水牛の魔獣のレベルは40以上だ。しかも体力が多い。あの小屋をベースに経験値稼ぎをするのは結構厳しいだろうな。俺の34は特別だろう。自分のレベルではなくタロウとリンネに頼っての攻略だからな。普通なら38以上のレベルが必要なんじゃないかな。リンクもするしあの水牛は体力も多いから。


 となると渓谷の街を出たところから最初のセーフゾーンあたりまでははおそらく大混雑、羊の魔獣の取り合いになるんだろうと予想できる。キャンペーンが始まったら自分は渓谷の小屋をベースに経験値を稼ごう。できれば36くらいまでレベルを上げたい。申し訳ないけどキャンペーン期間中バザールはお休みだ。


 彼らはまだレベル39だがもうそろそろ上がるタイミングだと言っている。


「上級レベル40になると何かありそうだよな」


「あるといいわね」


「小屋が進化するとか?」


 俺が言うとその可能性もあるのよとクラリア。


「どんな進化、変化になるかは分からないけどあの小屋がずっとあのままだとは考え難いわよね。そのきっかけになるのが前の森小屋と同じプレイヤーの延べ訪問回数なのかも知れないし、ひょっとしたらプレイヤーが上級レベル40になることかもしれない」


 周辺の水牛のレベルは40以上だ。プレイヤー側が40になって水牛の魔獣と対等に勝負できるレベルになるのが小屋が変化するトリガーという可能性も捨てきれないそうだ。


「それは実際レベル40になって小屋に入ったら分かるでしょう。何の変化もないかもしれないけど」


 ゲームの楽しさの1つがこれだよね。こうなったらどうなるんだろう。と皆でわいあい言いながらいろんな予想をするのが楽しいんだよな。


「タクはキャンペーン中はバザールはどうするの?」


「多分お休みすると思う。レベルを上げたり色々なスキルを上げるチャンスだし」


 聞いてきたクラリアにそう返事すると俺と同じ様な考えをしているプレイヤーが多いんだと教えてくれた。実際バザールと言っても日曜日の午後が潰れるだけだと思うかもしれないけど出品するアイテムを合成するのに時間がかかる。


 マイスターで普段からしっかり在庫というかアイテムを所持している人はバザールに出品するそうだが俺の様に合成する時間がかかるという理由でキャンペーン期間中はお休みするという考えのプレイヤーも多いと教えてくれた。


 NEXTの経験値が増えているのでこういうチャンスは逃したくないんだよと俺がいうと皆同じ考えだという。


「しかもNM戦だ宝箱だとなるとフィールドに出て魔獣を倒そうという気になるよな」


 いや、全くその通りだよ。


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― 新着の感想 ―
タクは謙遜のつもりで「ジョブレベルもまだ低いし採掘レベルだって高くない」といったのだと思うのですが、前回はレベルの関係ないところでNMのトリガーを手に入れてましたよね? ※謙遜も過ぎればというし、色々…
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