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上級レベル25装備


 置き物を作ると言ってもすぐにできる訳じゃない。下絵を描くところからスタートだ。頭の中にあるアイデアはリアルに従魔達を再現するよりも、ちょっとユーモラスというかデフォルメして作ろうかと思ってる。上手くできるかどうかは知らないけど狙いはそこだ。


 作る順番は従魔にした順がいいだろう。となるとタロウ、リンネ、それからランとリーファだな。妖精達は見た目が同じなので色で区別をつければいい。


 自宅の縁側にスケッチブックを持って座ると庭にいる従魔達を見る。タロウは精霊の木の根元でゴロンと横になっていて、リンネは精霊の木のお気に入りの枝の上でこれまた横になっていた。ランとリーファは自分たちの船の上だ。


 木の根元で横になっているタロウをスケッチする。ゲームの仕様なのか窯業スキルが高いからなのか分からないがそれなりの絵を描く事ができた。スケッチブックと横になっているタロウを交互に見ながら線を足していく。


 次にリンネをスケッチする。尾が7本あるのでそれがはっきりわかる様にスケッチをし、書き終えると妖精のスケッチをした。3枚のスケッチを描き終えるととりあえず今日の窯業関連の作業は終了だ。


 俺がスケッチブックを閉じてタロウとリンネを呼ぶと精霊の木から縁側に走ってきた。タロウは縁側に上がって俺の横でゴロンとなるしリンネは縁側に上がるとそのまま俺の頭の上に乗ってきた。相変わらずその場所が好きだよな。


「今から木のダンジョンに行くよ。いいかな?」


「主のその言葉を待っていたのです。お絵かきは終わったのです?」


 頭の上から声がしてくる。


「うん。今日はここまでだよ」


「ガウガウ」


「では参るのです。タロウがやる気満々なのです」


 お前もだろうが。ランとリーファに留守番を頼むよというと2体の妖精は船に座ったままサムズアップをしてきた。



 ダンジョンの13層はやはり奥にも広い。それでもタロウとリンネが大活躍なのと、途中で俺たちのレベルが上がって上級24になったこともあり殲滅速度が上がったことで広いフロアの攻略が進み、奥にあった14層に上がる階段を見つける。14層に上がったところにある転送盤に記録をして地上に戻ってきた。




 ダンジョンで頑張ったこともあってすっかり夜になっていた。



 その場から自宅に飛んでログアウトした翌日。朝の畑の見回りが終わって合成でもしようかなと思っているタイミングで通話が来た。


「主、お電話なのです」


 ちょうどその時膝の上に乗っていたリンネ。相変わらず電話の報告は飽きないらしい。俺はありがとうなと膝の上のリンネを撫でながら端末を見ると相手はクラリアだった。いつもの4人で自宅に来ると言う。


 電話を切ると尻尾を振りながらタロウが近づいてきた。


「出かけるんじゃないよ、いつもの4人がここにやってくるんだよ」


「ガウ」


 そんな寂しそうな声出すなよ。それにしても相変わらずの戦闘好きだよな。近づいてきたタロウを撫でてやると機嫌が治ったのか尻尾をブンブンと振り回しながら身体を押し付けてくる。


「主、お客様が帰ったら外に出るのです」


「ガウガウ」


 リンネが言うとタロウもそうだそうだと身体を押し付けてきた。船に乗っていたランとリーファも飛んできて俺の両肩に座る。


「わかったわかった。後で外に出ような」


 しばらくするといつもの4人が庭から家に入ってきた。マリアは早速タロウを撫で回している。他の3人はそのまま縁側に腰を下ろした。俺は準備しておいたお茶と果物を各自の前に置いた。


「木のダンジョンの攻略具合はどうだい?」


 スタンリーが聞いてきた。


「13層までクリアしたよ。次は14層だね」


 聞かれるままに13層までのフロアの様子を話する。黙って聞いていたクラリアとトミーは情報クランとしてその情報を買い取ろうと言ってくれた。


「ダンジョンのフロアの様子、敵の種類やレベル。これから挑戦しようとする人の中でこれらの情報を欲する人は結構いるんだよ。もちろん事前知識なしで挑戦する人もいるけど事前に情報を集められるのならそっちの方がリスクが低いということで先駆者が集めた情報はよく売れるんだよ」


 トミーの説明に納得する俺。以前のゲームが正にそうだったから事前に情報を集めるだけ集めようとする気持ちはわかる。


「このお湯呑み、焼き物じゃない。タクが作ったの?」


 会話が途切れたタイミングでクラリアが言うと他の3人も本当だ、今気がついたと言って湯呑みを手に取る。


「主は何をやっても一番なのです」

 

 リンネがそう言った。俺の両肩に乗っているランとリーファもそれぞれサムズアップする。


「上手く焼けてるな。模様も落ち着いていいじゃない」


「今まで木の食器ばかりだったからこれは新鮮ね」


 食べ物を褒められても嬉しいし、焼き物を褒められても嬉しいね。しばらく湯呑みを手に持ってそれを見ていた4人。


「それでタクは上級レベル幾つになったの?」


「24になったよ」


 マリアの問いかけに答える。そっちはと聞くと全員が上級25になったらしい。


「ここからが今日タクの家にお邪魔した本題になるの」


 そう前置きしてクラリアが話てくれる。彼らは数日前に全員上級レベルに25になったらしい。俺はしばらくダンジョンに篭っていて、それ以外の時間はひたすら自宅で合成をしていたから彼らとは話をする機会がなかったんだよね。


「それでね。このエリアの上限レベルに達したの」


「ここのエリアの上限は25だったのか」


 そうなんだよと頷く3人。


「それに関連があるとみているんだけど、森小屋がまた大きくなったのよ」


 前回と同じく突然森小屋が一時的に閉鎖され、その後オープンすると小屋の中にいるNPCがまた増え、そして売店が新しくできたらしい。


「その売店ではポーション、マジックポーションなども販売しているんだけど、それだけじゃないの。上級レベル25で装備できる武器、防具が売っているのよ」


「えっ、そこで売っているのか」


「俺たちもびっくりしたんだよ。上級レベル25になってメンバーで手分けをしてあちこちの街に出向いて武器屋、防具屋を訪ねては25レベルで装備可能は武器、防具を探したんだけど見つからなかった。そんな時に森小屋がまた大きくなったと聞いて顔を出したんだよ。だめ元で話かけたらレベル25のプレイヤーには紹介できる武器、防具があると言ってきたんだ」


 彼らによるとカウンターにいるNPCに話かけるのだが話しかけたプレイヤーのジョブに該当する防具、武器しか紹介してこないらしい。


 ただ森小屋に新しく現れたNPCに聞いたところ200枚の印章NM戦で出てきた装備はここで売っている上級レベル25の装備とほぼ同じレベルということで印章NM戦で装備や武器を手にしたプレイヤーは悩んでいるのだという。


「結構良い値段がするがレベル25で装備を更新できるのはでかい」


 確かにそうだ。25がエリアのレベル上限、そこで武器、防具を更新できるということはエリアボス戦に対しても現時点で最強の装備を持てるということになる。


 新しい武器、装備は200枚の印章NM戦でも有効だろう。


 森小屋で売り出している防具や武器は1種類ではなく例えばウォリアーの話をするとSTRが上がる防具、武器、AGIが上がる防具、武器とありプレイヤーが自分の方向性に合わせて買う事ができるらしい。


「もちろん全種類買う事だってやろうと思えばやれる。ただそうなるとベニーが足りないんだ。それくらい1つ1つの値段が高くなってる。200枚の印章NM戦で出た装備も優秀だから何を買うのかは慎重に考えないと」


 なるほど。プレイヤーの個性が出る様に複数の種類を用意しているのか。ここにいる4人はまだ森小屋で上級レベル25の装備を買っていないらしい。


「高い買い物になる。クランとしてしっかりと方向性を決めてから買おうと思ってね。200枚の印章NM戦もやりたいし。バランスを考えてから揃えるつもりだ」


 スタンリーの言葉に頷く俺。ここで買うのとNMから手に入るのをよく考えてしてから購入を検討するってことか。


「それでタクの話。忍者、上忍って今まで実質1種類だけだったでしょう?タクが25になった時に森小屋のNPCがどんな武器、防具を紹介するのか。わかった時点で教えて欲しいの」


 うん、確かに忍は実質1種類しかない。だから忍を選んでいるプレイヤーは皆同じ装備になっている。ここらで選択肢が増えるかもしれない。


「それくらいならお安いご用だよ。ただ森小屋に上忍の装備が売っているかどうかだよな。今まで忍者の装備だけは普通の防具屋、武器屋には置いていなかったし。売っていない可能性だってあるぞ」


「そう、だからそれも確認して欲しいの」


「主はお金持ちだから欲しいものは全部買えるのです」


 膝の上に乗っているリンネが言うが流石にそれは無理だろう。お金持ちの攻略クラン、情報クランの連中でさえ買えないと言っているのだから。


「ではお金を貯めるのです。タロウとリンネがヘルプするのです」


「ガウガウ」


 俺がそう言うと2体が頑張れとばかりに声を出す。


「ありがとな。でもその前にレベルを上げないとだめなんだよ」


 新しい装備や武器が森小屋で売っていることは確認できた。あそこで装備を売り出したところから見て、あの森小屋がエリアボスに通じている窓口になっている可能性があると見ている4人。言われてみればそうなるよな。元々森小屋の周辺は魔獣のレベルが高い場所だった。あの奥に行けばエリアボスがいてもおかしくないよ。


「まず装備を整える。それから森小屋から西方面の森を探索するつもりだ。タクは上級25になったら森小屋で装備関係の確認をして欲しい」


「ダンジョンについてもお願いね」


 スタンリーとクラリアが続けて言った。ダンジョンを攻略すれば結果的にレベルが上がるだろうし。まずはダンジョンを攻略しつつ上忍25になったら森小屋に顔を出してみよう。いやその前にシーナさんの店だな。


「そうね、森の街の忍具店も要チェックね」


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