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装備とレベルと強さの関係


 俺の予想通りに翌日水の街の外で経験値を稼いでいると上級17に上がった。


「やったのです。これでまた強くなったのです」


「ガウガウ」


「その通りだ。タロウとリンネが頑張ってくれてるからだぞ」


 水の街の別宅に戻って2体の従魔を撫でながら言うと尻尾をブンブンと振って応えてくれる。本当に従魔達がいて助かっているよ。ソロならとてもじゃないがこんなに順調にはいっていないだろう。水の街にある別宅でのんびりしていると向かいからトミーとクラリアがやってきた。


「私たちは今日早い時間に上級20になったの。それで上級レベル20の装備や武器があるかなと思って試練の街のあちこちの店を回ったけどなかったのよ」


 彼らは手分けして全ての街の武器屋と防具屋を回っていたらしい。

 上級レベル10以上のレベル限定装備はあった。ただ上級レベル20以上の限定装備はないということか。


「正直レベル20の装備があると期待していたんだけどね」


 そう言うクラリアは残念そうだ。

 確かにレベル85、上級10ときたら20であると思うよな。でもそうじゃなかったんだ。いやらしい仕様になってるよ。


 上級レベル20では装備の更新はない。 

 トミーがこれは俺たちの推測になるがという前置きから話はじめる。


「印章NM戦の100枚、200枚についての強さの考察になるんだが、俺たちが最初に挑戦した時は上級レベル4だった。その時点で100枚のNMの強さは上級レベル20、200枚のNMの強さは30じゃなかったかと」


「100枚NMはプレイヤーのレベルプラス15、200枚のNMはプレイヤーのレベルプラス25程度の強さに設定していたかもしれないってことか」


 俺が言うとあくまで予測だけどな。と言ったあとで、


「NMのレベルが固定されていた時点での推測で今のレベル差については分からない」


 そうトミーが言った。10レベル上なら100枚の印章NMは他のプレイヤーでも勝てそうな気がするが、と一瞬思ったけどよく考えたらそのレベルが3体いればそう簡単にはいかないよな。しかもヘイトが連動していた。攻撃を受け止めるパラディンの装備とスキルが高くないと厳しいか。200枚については言わずもがなだ。半端ない強さだ。タロウがいてくれて良かったよ。


「普通に考えたらそのレベル差はキープされるよな」


「普通ならな。ただタクも見ただろう。レベル調整後の虎NMは以前にはない攻撃をしてきた。なので最低でも25差、下手すりゃ差は大きくなってるということになる」


「その代わりこっちも強くなってるだろう?」


「その通りだ。ただ相手の強さはこちらのレベルにスライドして強くなっている。一方でプレイヤー側はレベルが上がって強くなると同時に装備の更新で強くなる」


 トミーの言いたい事がわかった。NMはレベルに応じて段階的に強くなるがプレイヤーはレベルに応じた強さ以外に装備面での強化がないといけない。レベルだけで強くなっている分だけではNMがレベルが上がって強くなったのとは差があるということだ。


「つまり次の装備に切り替えるタイミングがNMとプレイヤーとのレベル差が最も小さいということか」


 俺が言うとその通りだと頷くトミー。隣のクラリアも私もそうみているのと言ってから続ける。


「上級20で装備の更新ができなかった。となると今200枚のNM戦をやることはかなりの強敵を相手にする事になるの」


 仮定だがプレイヤーの最高レベルに上乗せされているレベルが固定だとすると今の話は成り立つ。こちらが装備を更新したタイミングが一番勝つ確率が高くなる。逆に言えば装備の切り替え直前は最も差があるということだ。上級20で装備を更新できなかったので今は差が開いている状態じゃないかということになる。


「一方で今までのエリアではエリアのレベル上限があった。このエリアもそれに則ってレベル上限があると考えている。となるとNMが無限に強くなっていく訳じゃない」


「確かにそうだよな」


 レベル上限がある可能性を忘れていたよ。今までのエリアから考えるとこのエリアにもレベルの上限があってもおかしくない。ただそれがいくつなのかがまだ分からないんだけれども。


「攻略クランの連中にはまだ話をしていないが、これは相談する必要があると思ってる。装備更新までNM戦を止めるか、それとも印章が溜まった時点で挑戦するか」


 200枚の印章NMの虎はレアな装備を落とす。装備狙いでNM戦をしたいところだがレベル差に加えて装備の差がある場合に今までの様に勝てるかどうかを心配しているらしい。


「いずれにしてもタロウの王者の威圧頼りなのは変わらないんだけどね」


 そう言ったクラリアがタロウに顔を向けると


「ガウガウ」


 と尻尾を振りながら吠えた。


「タロウはあの虎とは何度も対戦しているので大丈夫だ、任せろと言っているのです」


「タロウ、大丈夫なのか?」


「ガウ!」


 と一鳴きして俺の隣に来ると体をグイグイと寄せてきた。この様子を見ると問題ないって言っているな。寄ってきたからしっかりと撫でてやる。


「リンネも大丈夫なのです。いつでもあいつを魔法でとっちめてやるのです」


「おう、頼むぞ」


「タロウとリンネが大丈夫だというのならとりあえず印章が貯まったら挑戦してみるか」


 トミーが言った。


「それでいいんじゃないかな。負けたらまた印章を集めたら挑戦できるしな」


 印章集めは大変だが集めたらいつでも挑戦できる。俺がそう言うと確かにそうだなと納得する二人。常に勝てばいいけど負ける時もあると思うよ。それもゲームだ。俺はそう思っている。


「それで情報クランはこのエリアの上限はいくつだと見てるんだい?」


「分からない。水の街が最後の街なのか、それとも森の中にまだ他の街があるのか。それによっても上限レベルが変わってくるしな。今のところ次の街に関する情報は何もない」


 俺の問いかけに答えるトミー。クラリアがその後を続けて言った。


「ただ攻略クランの船での探索が無理だったでしょ?だから森の中を進んで行くことで次の街、あるいはこのエリアボスが見えてくると思うのよ」


 この試練の街のエリアは今まで一番広い。そしてほとんどが森だ。どこに何があるのか全貌を掴むのが難しいんだよな。奥に行けば魔獣のレベルも高くなるだろうし、攻略は簡単じゃないよ。


「闇雲に森の中を彷徨って次の街、あるいはエリアボスを探せという設定にはしてない気がするの。今までのエリアでもどこかにヒントがあった。このエリアではそのヒントに私たちが気がついていないのか、あるいはレベルが足りないからヒントが出ないのか。いずれにしてもレベルを上げながらも情報を集めないとね」


 タクも何か見つけたらよろしくね。と言ってきたが今のところ俺はヒントらしきものを見つけていないし何より活動範囲が非常に狭い。その上にレベルだって彼らよりも低い。ヒントを見つけるのは情報クランか攻略クランだと思うんだけどね。


 しばらくすると隣からマリアがやってきた。その後ろからスタンリーも続いて庭に入ってきた。クラリアが上級レベル20の装備がなかったことと印章NM戦をどうするかという話を攻略クランの二人に話をした。


「印章NM戦についてはトミーらが考えている理解であっているんだろう。ただあのNMが落とす装備や武器はエリア攻略で必須とも言える。印章が貯まったら挑戦したいところだな」


「タロウが任せろと言ってる。リンネも頑張ってくれるそうだ」


「任せるのです。主と一緒に敵をとっちめてやるのです」


「それは頼もしいな。頼むぞ」


 この水の街でもPWLのトップクランの連中が俺の家の庭で話をすることが多い。彼らに言わせるとここは周りを気にせずに話ができるから良いというんだが自分の場違い感が半端ないんだよな。目の前の4人は上級レベル20、方や俺は17。この3つの差はでかいぞ。


 攻略クランも今のところ次の街、あるいはエリアボスに関する情報は持っていないらしい。


「情報クランとは手分けして森の中を探しているが今のところは次の街か新しいエリアに繋がる様な情報はないな」


「森の中を探索するのは本当に疲れるのよ。常に周囲を警戒しながらだし、木が多くて魔獣は見つけにくい。事故は起こしたくないとなるとどうしても慎重になって攻略が進まないのよね」


 そう言う二人。


「タク、以前も言ったが一緒に攻略を進めないか?もちろん情報クランにも声をかけるつもりだ」


 森が深いので1パーティ単独での攻略よりも大人数での攻略の方が効率が良いのは分かる。得られる経験値は当然減るがそれ以上に攻略を進められるメリットがある。


「タクと従魔達の経験値が減るので強制はできないけどね」


「こっちは慌ててレベルを上げる気はないのでスタンリーに協力するよ」


「やってやるのです。森の中でいろんな敵をとっちめるのです」


 頭の上から気合いが入った声が聞こえてきた。横でもガウガウと吠えている声もする。この2体の従魔達については言わずもがな、戦闘大好き従魔達だからな。



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