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水の街郊外で経験値稼ぎ

新しい小説(異世界ファンタジーもの)をアップしました。


https://kakuyomu.jp/works/16818093092311279230

”2度転移させられた俺は2度目の異世界では地味に生きていきたい”


です。テイマー忍者と共に引き続きよろしくお願いします。


「主、今日は何をするのです?」


 自宅でいつものルーティーンをこなして縁側に戻ってきたタイミングでリンネが聞いてきた。そばにはタロウもいる。ランとリーファは船の上に並んで座っていた。妖精達は俺が作った船がお気に入りの様だ。作ってよかったよ。


「水の街の周囲で敵を倒して経験値を稼ごうかなと思っているんだよ」


 そう言うとタロウが尻尾をブンブン振り、リンネが頭の上に飛び乗ってきた。


「敵をぶっ倒すのです。強くなるのです」


 相変わらずこの2体は戦闘狂だな。じゃあ行こうと自宅から転送盤で水の街に飛ぶと中洲を移動し、橋を渡って森の中に出た。水の街の周辺の敵のレベルは16前後、獣系の魔獣がメインで大型のゴリラは単体で、小型の猿型の魔獣は複数体で徘徊しており木の間や木の上から襲ってくる。


 普通なら前後に加えて上の警戒もしながらの狩りとなるがこっちにはタロウがいる。全方位を見張ってくれるので奇襲を受けることがない。いや、タロウがいなかったらとてもじゃないがソロだと無理なエリアだよ。


 タロウもリンネも外で敵を倒すのは楽しいらしくてこっちがそろそろ帰ろうかと言わないとずっと狩り続けていそうな雰囲気だ。上級レベルが14になったところで外から水の街に戻ってきた。結構な時間外で戦闘をしたので流石に疲れたよ。ただ、


「今日はいっぱい敵を倒して気分が爽快なのです。明日もやるのです」


「ガウガウ!」


 2体の従魔達は元気だよ。


 夕方に水の街の別宅に戻ってくると早速隣の別宅からマリアがやってきた。


「疲れた顔してるわね」


 タロウを撫でながら俺を見てそう言ったマリア。俺の膝の上に乗っているリンネが答えてくれる。


「今日は主と一緒に外で敵を倒しまくってきたのです。爽快なのです」


 その言葉で理解したのだろう。レベルを聞かれたので上級14になったと言ってそっちは?と聞くと16だという。攻略クランも情報クランもダンジョンの攻略は中断してこの街の周辺、と言っても森のずっと奥だが、そこで経験値と印章を稼いでいるらしい。


「奥に行くと上級19や20の敵がいるの。きついけど経験値は美味しいわよ」


「川を下っていくとどうなってるんだい?」


「それが途中から船じゃいけなくなっているのよ」

 

 川の下流に4時間ほど進んでいくと川から岩がいくつも突き出てきてに船を進めなくさせている。船が岩にぶつかったら壊れて川に放り出されるので前に進めない。どうやらその先は滝になっていそうで水飛沫が立っているのが見えたというマリア。


「そのごつごつとした岩が川から出ているというか置いているというか。その辺りで船を降りることはできるのかい?」


「岩場になんとか船をつけて降りたとしても川の両岸が岩場の渓谷になっていてとてもじゃないが登れる様な感じじゃないわね」


 下流に行くと先は滝になっている。その手前あたりから渓谷になっていてしかも川の中にごつごつとした大きな岩が転がっていて船で進むことを妨げている。こんな感じなんだろうな。


「つまり船じゃ攻略できない様にしているってことか」


 俺が言うとそうなのと答える彼女。話をしていると隣からスタンリーが庭に入ってきた。挨拶を交わした後で俺が今マリアから聞いたけど大変そうだねと言うと、


「簡単には奥に行かせてくれない仕様になっている。滝の下、先がどうなっているかは分からないが上級レベルを上げないと森の中も進めない。運営は時間をかけさせてくるよ」


 別宅の庭に面しているウッドデッキにあるテーブルに座っている俺とスタンリー。マリアはウッドデッキで横になっているタロウの脇に座って撫で続けている。リンネは俺の膝の上に座ってゆっくり7本の尻尾を振っていた。


「まずはダンジョンをクリアしろってこと?」


「そうじゃないだろう。それが前提条件にはなってないと思う。クラリアとトミーも俺たちと同じ意見だ。ダンジョンはダンジョン、攻略は攻略でそれぞれがリンクしていないと見ている」


 PWLのトップを走っている2つのクランがそう見ているのなら間違いないんだろう。となると水の街から奥の攻略は楽なルートがなくて森の中を進むしかないということになる。


「今まで船で移動出来たから次も船。そう簡単には行かないわよね」


 滝の下、先に行けばまた船が使える様になるかもしれないがそこに行くまでは森の中を進んでいくしかない。


「タクはレベル幾つになった?」


「今日14になったよ」


「こっちは16だ。どうだい?一緒に森の奥の攻略をしないか?情報クランにも声をかけるつもりだ」


「えっ?」


 俺達とは2レベル違うんだよ?足手纏いになるのが見え見えじゃないの。そう言うがそうじゃないというスタンリー、マリアも首を左右に振っている。


「森の中ではいつ襲撃を受けるか分からない。タクの蝉3、それにタロウとリンネがいればレベル差は問題ない。奥に進んで行けると俺たちはみているんだ」


 俺と従魔達が周囲を警戒しながら先頭を歩く、タロウの気配感知で事前に敵の存在が分かり、俺の空蝉で最初の攻撃をかわせればあとは倒せるんじゃないかという考え方らしい。タロウの気配感知の能力を最大限に利用しようとする作戦だな。俺の空蝉はまぁついでだろう。


 ただ俺は1つ気になっていることがあった。


「実は」


 そう言ってNM戦で手に入れた忍靴の1つを森の街のシーナさんの忍具店に持ち込んだ時の話をする。黙って聞いていた二人。


「上級レベル10で新しい装備が出た。そのシーナさんはさらに上のクラスの装備ができるかもしれないと言っている。つまりまだ上の装備が存在する可能性があるということか」


「確証はないよ。ただNPCは常に含みのある発言をするだろう?だから気になっているんだよ」


 俺とスタンリーとのやりとりを聞いていたマリアが端末で情報クランのクラリアとトミーを呼んだ。二人ともこの水の街の別宅にいたみたいですぐにやってきた。俺はもう一度スタンリーらに話をした内容を二人に説明した。


「あり得る話よね。上級レベル10の装備で終わりってことはないだろうし。おそらく20以上だと思うけど、ひょっとしたら上級レベル15の装備や武器があるかもしれない。それはこっちで調べてみるわ」


「上級20以上の装備があると仮定すると、この街を基点にしてとりあえず20まで上げた方が良いだろう。レベルが上がると強くなる、それに加えてもし新しい装備が手に入ればその後の攻略がずっと楽になる。運営は上級レベル20以上じゃないと簡単には攻略できない設定にしているのかもしれない」


 俺の話を聞き終えるとクラリアとトミーが言った。俺も彼らの言う通りだと思う。エリアの攻略は装備の確認をしてからでもいいんじゃないかな。


「仮に20の装備がなくても20まで上がっていれば今よりは攻略が楽だろう。タク達もいるしな」


 ということは俺も20まであげる必要があるってことか?自分で言い出した話だが16から20までにあげるのは大変だぞ。


「主に任せるのです。主とリンネとタロウが強くなって敵をいっぱい蹴散らしてやるのです」

 

 膝の上に座っているリンネが言うと3人から頼むぞと声をかけられる。タロウも任せろとばかりにガウガウと声を出している。まぁお前達はそう言うと思っていたよ。


 情報クランはもう一度武器屋や防具屋に出向いて情報を取りつつ周辺の森でレベルをあげる。攻略クランも同様に森の中でレベルを上げて上級レベル20を目標にすることになった。


「いつまでという期限は設けないのでタクもレベルを上げてくれ」


「分かった」


 とは言ってもレベル上げばかりする気はない。彼らも自分のペースで上げてくれていいと言われているのでレベル上げはするけどそれ以外の事もやるつもりだよ。


 翌日自宅の畑の見回りを終えたタイミングでクラリアから連絡が来た。水の街、森の街そして試練の街の武器屋や防具屋を回ったが上級レベル15で買い替える武器や装備はなかったらしい。


「引き続き調査するわ。タクの予想が当たっている気がしているのよ」


 端末の向こうで彼女がそう言って通話が終わった。朝から晩までレベル上げとはいかないがやるからには効率的にやりたい。となると水の街の郊外の森が狩場になる。


 朝のルーティーンが終わると森の街に飛んで外で数時間経験値稼ぎをし、それから釣りをしたり自宅に戻ったりするパターンになった。3日後に15になり、そこから5日後には上級レベル16になる。その時情報クランと攻略クランのメンバー達は18にまでレベルが上がっていた。情報クランはレベルが1つ上がる度にこのエリアの武器屋、防具屋に顔を出しているらしい。


「キリのいい数字で装備が変わると決まってる訳じゃないでしょ?こういう地味な検証が大事なのよ」


 確かにそうだ。どこで変わるのか、なんてのはプレイヤーの誰にも分からない。1つずつ検証していくしかないんだよな。



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