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忍者の仲間がやってきた


 護衛のヘルプをした3日後、いつもの畑仕事を自宅の庭でのんびりしているとメッセージが来ているとミントが教えてくれた。端末を見ると山裾の街で話をしたくノ一のアカネだ。


ー こんにちは。アカネです。開拓者の街に着いたのでタク先輩のお家と従魔さん達にご挨拶に伺たいので、ご都合の良い時間を教えていただけますか? ー


 フレンドリストを見ると彼女は確かにこの街にいる。電話をしようかと思ったがとりあえずメッセの返信を入れた。


ー 今日はこの街にいるのでいつでもOKだよ。忍者仲間が他にいるのならその人達と一緒に来てもらっても構わないよ。ー


 すぐにお礼と、自分を入れて4人で30分後にお邪魔しますという返事が来た。


 きっかり30分後、脳内にミントの声がした。


(登録をしていないプレイヤーが敷地の中への入室を希望しています)


(4人かな?)


(そうです)

 

(じゃあ許可をお願い)


(分かりました) 


 門から4人の忍者が庭に入ってきた。ヤヨイさんの店で会った忍者のアカネと、同じ忍者の格好をしている女性1人、男性2人だ。


 門から入ってくるなり、凄い家だとか畑も広いとか言っているがそれ以上に彼らが大きな声を出したのは俺の頭の上に乗っているリンネと隣で尻尾を振っているタロウを見た時だ。


「本物だよ、本物のタロウとリンネだよ」


 偽物がいるんかい?と思ったが黙っていると以前あったアカネが近づいてきて挨拶をする。


「ヤヨイさんの店でお会いしたアカネです。開拓者の街に着いたので仲間の忍者さん達と挨拶に来ました。大勢で来てすみません」


「いらっしゃい。こっちは大丈夫だ。忍者仲間は大歓迎だよ」


「いらっしゃいませなのです」


「ガウガウ」


 タロウとリンネの挨拶を聞いて感激している4人。


「本当に話してるよ」


「嘘みたい」


「主のお家でゆっくりしていっていいのです」


 リンネが言うとありがとうございますとリンネに頭を下げる4人。とりあえず縁側を勧め、畑で取れたお茶と梨とりんごを出す。お礼を言った4人がお茶を飲み、梨を食べると皆声を上げた。


「美味い!」


「本当。お茶も、りんごも梨も美味しいわ」


「これは先輩の畑で採れたお茶と果物ですか?」


「そうだよ。それと先輩はいらないよ。タクでいいから」


 俺はそう言ったが4人はそうはいきません。何と言っても第1陣でただ1人と言っても良い忍者の人で今では上忍ですからと言う。それほど大した事はしていないんだけどな。


 アカネ以外の忍者はムサシという男性忍者がLV56、同じく男性のジンムがLV56、女性のリンリンがLV56、そしてアカネはLV57だと言う。リンリンという女性が猫人であとの3人は人族だ。


 基本忍者だから皆ソロで活動しているが、第2陣は忍者ジョブを選択したプレイヤーがそこそこいるので仲間内で情報交換をしているのだという。


「これもそれも先輩が不遇と言われた忍者の概念を覆して頂けたからですよ」


「いやいや、それは言い過ぎだろう?」


 4人は皆最初の募集に申し込みをしたものの抽選に漏れ、2回目の募集を待っている間にネットや初期組でプレイしている知り合いなどから情報を集めていたらしい。


「ここにいる人に限らず、忍者を選択しているプレイヤーは私も含めて皆ソロで気ままに活動をしてゲームを楽しみたいと思っている人たちなんです。ただPWLが始まった当初は忍者は最低最弱のジョブだとネットで散々叩かれていたんです。忍者を選んだ人もほとんどがジョブチェンジをしたということでどうなるんだろうって思ってたら先輩がただ1人で孤軍奮闘して忍者の地位を上げてくださったんですよ」


 熱く語るアカネだがそれはかなり盛られている気がするぞ。孤軍奮闘したのは最初のエリアボス戦くらいだよ。あとは全部フレンドと一緒だよ?


 彼らによると掲示板では最初はボロクソに叩かれていた忍者だがそれが少しずつ変わってきて、今では忍者はソロで十分にやっていけるという強いジョブだという評価を得ているらしい。野良パーティに誘われることもあるのだという。


 俺の場合はタロウとリンネが優秀だったからだと思っているんだが、彼らは従魔はもちろんだが俺本人のPSが高いというのがネットの掲示板によく書かれているんだという。


「俺のPSとか言ってもさ、それって実際に見てない人が書いてるんだろう?」


「公式で配信されている動画を見る人が見れば分かりますよ」


 ああ、それがあったか。自分では配信を見ていないのでどの場面か分からないんだけど。黙っていると延々と言われそうなので俺から話題を変えた。


「第2陣って忍者が500名程いるって聞いているんだけど忍者同士横の繋がりとかあるのかい?」


 そう言うと4人がお互いに顔を見合わせる。


「いつもインしているのはどうだろう100名くらい?」


 アカネがそう言って他の3人を見た。結構多いな。俺の時とは全然違うよ。


「そのくらいかな。それで俺が知っている忍者の知り合いは30名ほどだよ」


 ムサシが言うと他のメンバーが私も俺もそれくらい、30名か40名程だという。彼らは何かイベント、例えばエリアボス戦とかでは掲示板の忍者スレッドで一緒に挑戦する仲間を募ってはその時に忍者だけのパーティを組んでやっているらしい。普段はソロで動いている。


「いずれは忍者クランみたいなのも作りたいとは考えているんですけどね」


 ジンムがそう言うと皆ができるといいよねとか言っている。うん、俺の時とは大違いだ。こっちはソロだったからな。そういえばジョブクランってのは聞いた事がないな。あるのかどうかクラリアにでも聞いてみよう。


「先輩は最初からタロウちゃんがいてそのあとリンネちゃんを従魔にしたんですよね?」


「そうだよ。そしてここで畑を耕していたら妖精のランとリーファがやってきた。この2体は戦闘はできない。自宅の外には出れないけど農作業のプロだよ」


 そう言うといいなぁという声がする。聞くと皆経験値アップのスライムを装備している。ソロ中心の忍者だから当然そうなるだろうな。


「ここにくる時の洞窟にいたレッドモグラは戦闘力が高いって聞いてるよ。あとはこの盆地の西の森には小熊がいるらしい。なかなかテイムできないって聞いてるけどテイムできたら良い相棒になるかもしれない。それとは別に次のエリアに行けば虎や狼がいるけど試練をクリアして上忍になってからかな」


 俺がそう言うととりあえずモグラか小熊にトライするかと言う男性2人。女性二人は虎か狼まで我慢しようかななんて言っている。


「ソロで動くのなら従魔はいた方がいいよ。攻撃力が増えることはすなわちソロでの生存率のアップに直結するからね。従魔を持つと愛着も湧くし、育てる楽しみもある」


「そうなんですよね。これからレベルが上がると一撃で死に戻り、なんていうこともありそうだし」


 ムサシが言うがその通りだ。レベルが上がるとソロでの討伐は厳しくなっていく。


「先ずはレベル60まで上げて空蝉の術2を会得することだね。空蝉の術2を覚えると戦闘が本当に楽になるよ。この盆地は60以下だと結構きつい。レベルが50台の時は山裾の街のあるエリアで鍛錬する方がいいね。60を超えたらこっちの盆地で経験値稼ぎをしたらどうかな」


「先輩もそうだったんですか?」


 アカネが聞いてきた。そうだよと答えるとじゃあ私もそうしようと言う。他の3人も先輩のやってることに間違いはないだろうしとか言ってるが結構間違ってるぞ。そう思っているといつの間にか俺の頭の上に乗っているリンネが言った。


「主は間違えないのです。主が言う通りにすれば良いのです」


「いや、リンネ。俺だってしょっちゅう間違ってるだろうが」


 そう言うがリンネは主はいつも一番なのですと言う。まぁ50台のレベル上げの場所については間違った事は言っていないと思うけど。


 装備についても聞かれたがこの開拓者の街には忍者の武器や防具を売っている店がないが、次のエリアまでヤヨイさんの店で買える最高級レベルの武器と防具で十分に通用するよと言っておいた。


「俺は掲示板の類を一切見ないんだけど、上級ジョブへの転換の条件を情報クランは公開しているって聞いてる。皆は知ってるのかな?」


 知っていますと言う4人。


「なら分かると思うけど、レベル上げだけをしていると後できつい試練が待っている。いろんなNPCと話をしたりクエストをこなしたりしておく方が良いよ。忍者を選んだ時点でソロがメインになる。攻略の先頭を走る先行組じゃない。マイペースで続けた方が長続きすると思う。それにこのゲームはいろいろと隠しクエストみたいなのもあるしね」


 だからタロウちゃんやリンネちゃんを手にいれることが出来たんですよねと言われる。そう、その通りだ。路地のマップ作成クエストやらソロでエリアボスに挑戦するとか、普通のパーティプレイじゃできないよな。


 これからも何かあったら相談に乗ってくださいと言われたので俺でよければいつでもと答える。アカネとはフレンド登録しているが他の3人ともフレンド登録をした。これでいつ家に来てもらってもOKだ。


「「お邪魔しました。ありがとうございました」」



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