三日月の元には今日もまた。
第5回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞応募作品です。
あと初投稿です。
1000文字という制限があったためあまり内容を込められず薄い作品に、
正直自分でもなに書いてるか途中で分からなくなりましたが暖かい目でみていただけると…
私は普段、普通に働いている会社員だが、金曜日の深夜数時間だけは趣味で喫茶店を経営している。
別に料理の腕に自信があるわけではない。
初めは友人と飲んだり悩みを話し合ったりするためだけに料理を振る舞ったりしていたが、次第に知らない誰かに、なんとなく自分の料理を食べてほしくなった、そういう理由だけで自宅の一部を改装して喫茶店を開いてみたのだ。
店の名前は「三日月」
この名前も特に意味を持ってつけた訳ではない。
昔から何かに名前を付けるのは苦手だったため、その場にある目に入った何かからつけていた。
これも喫茶店を開こうと思ったときに咄嗟に目に入った三日月を見てつけたのだ。
有難いことに客足はそこそこあり、店の雰囲気だとか小さいからこそ落ち着けるといった理由で気に入ってもらえることが多いらしいが、一番は深夜にやっていることだという。
なぜ深夜に開店しているのがいいと来る客皆が言うのか、その最大の理由は客全てが何かしらの障害をもっているからであった。
確かに居酒屋とかだと障害のある人は少し窮屈な思いをしてしまうというのは分かる。
だが客全てが、100%障害を持っているというのは何とも不思議な事である。
そしてもう一つ、客に共通してあることが…
(カラン…カラン…)
ドアベルの音が鳴ると共に客が店に入ってきた。
見た感じは三十代後半の女性で、厚いロングコートを着ていたがすぐに気づいた。
両足がない。
彼女は入るなり私の顔も見ずにカウンターのど真ん中、私の目の前にゆっくりと進む。
「どう、なされましたか?」
私は客が来ると決まってそう話しかける。
すると初めてその女性は顔を上げ、私の目をじっと見つめると、
「ずっと一緒だって、あの時は言ってくれたのに、もう、私のことは目にも入らないみたいで…あの人はもうなにも話してくれない。なにを話しても、応えてくれない…」
そう、涙ぐんだような震えた声で話す。
悩み、それが客の二つ目の共通点。
大体はそういわれてもどう答えれば分からないだろう。
だが私は、明確に言えること、言わなくてはいけないことがある。
「きっと、その方は見ていないのではありません。見えないのはあなたの方ではありませんか?あなたはここにいてはいけない。どうか、ご理解を。」
そう伝え、一枚の紙きれを差し出す。
するとその女性の体は見るうちに薄くなっていき、やがて消えてしまった。
迷える魂は、あの世に返す。
三日月の夜の元に。
読んでいただきありがとうございます。
初投稿でつたない文章力だったと思いますがこれから頑張っていい文章書けるようにしていきます。
また私の作品を読んでいただけたら幸いです。