表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/13

初レベリング 最初の事件

文月四季は空き部屋だった隣の部屋に住むことになり蓮の隣人となった。

自分たちを襲った『文月輪廻の従者』という男は四季の頼みで蓮が隣の部屋に運び、暫くすると全く別人のように笑顔の住人となった。


秀麗な容貌にピッカピカの笑顔。


何よりも驚かせたのは蓮の部屋にやってきて

「掃除いたします」

と言うなり丁寧に掃除を始めたことであった。


四季はにこやかに

「この方が助かるだろ」

俺も暫く動けないし

「部屋は綺麗な方が良い」

名前は相羽大事にした

とうんうんと頷いていた。


文月四季…彼はギフテッドで何かの紋章を持っているみたいなのだがその辺りは全くと言っていいほど分からないし、彼も言わない。

「取り敢えず通信破壊がギリギリセーフだったのか抹殺対象にはなっていなかったみたいだな」

何時まで抹殺対象にならないでいられるか分からないが

などと物騒なことを呟いている。


彼が何を考えて何をしようとしているのか想像もつかないが、彼の頼みで蓮は輪廻と同居することになった。


その直後にアパートに二人の人物が姿を見せた。

一人は『鷲尾惣』

一人は『七尾汎』

と言う名の人物であった。



名探偵の紋章 ~Coat Of arms of Detective~



鷲尾惣も七尾汎もエリートサラリーマンのような人物で凛として顔が良くシュッとスーツを着こなしていた。

そして、人間が変わってしまった相羽大事とよく似ていたのである。


その鷲尾惣は蓮の元に訪れると

「私は鷲尾惣と申します」

紋章所持者のレベルを上げるための従者とお考え下さい

「ご要望をお聞きすることとレベルを上げるための最良の手助けをすることが任務となっております」

と告げた。


…。

…。


何それ?と蓮はぴきーんと固まった。

紋章保持者にはそんなものが付いてくるのか!?そう言えば大事さんは輪廻ちゃんの従者とか言ってたなぁと極々一般生活を送っていた蓮は驚くしかなかったのである。

しかも、恐ろしいことに最上級探偵という称号自体よくわかっていないのだ。


俺、大丈夫なのか?と突っ込まざる得ない。


それに横で立っていた文月輪廻が

「分からない事は聞くといい」

と蓮を見て告げた。


蓮は頷いて

「そ、だよな」

と言うと

「あの、最上級探偵の意味とレベルを上げる方法を教えてください」

と告げた。


惣は一度目を閉じて再び開けると

「先ず広義の探偵とは様々な出来事の異質点を見つけ真実を探求するもの」

狭義では事件事故の真犯人を見つけ出す

「レベルを上げる方法は多くの不可解な出来事と関わり真実を追求することです」

最上級はその比較系です

と答えた。

「レベルを上げる仕事に関しては私の方で手配いたします」


蓮は頭を下げると

「ありがとうございます、鷲尾さん」

と告げた。


…。

…。


惣は蓮の旋毛を見つめ

「かしこまりました…その行動は感謝の意ととらえることにいたします」

と答え

「その隣の存在は土方様とはどのようなご関係でしょうか?」

と聞いた。


蓮は少し考え

「あー、俺のパートナーです」

そう

「パートナーで」

名前は…ふ…

と答えたかけた。


それに文月輪廻は蓮の服の裾を掴み

「津村輪廻」

母親は津村霞

と告げた。


惣は目を一度閉じて開くと

「システム設計の紋章の保持者である津村霞を母親として3歳まで養育され、その後に第一次適性検査でギフテッドと認定され医学の紋章を取得後レベルアップの為に探偵の紋章の取得者の元で同居」

と言い

「つまり、土方様の元で医学の紋章レベルアップの為に同居中ということですね」

と告げた。


蓮は「はて?つい先日同居となったところだけど」と頭を傾げたが、隣で輪廻が

「その通りです」

と答えたので口を噤むことにした。


惣は目を閉じて開くと

「では輪廻様のレベルアップのための従者の選別と出向の依頼を掛けましょう」

紋章を持っているものには必ず一人従者が付き補助するシステム上の決まりがあります

と告げた。


輪廻は蓮の裾を引っ張り

「邪魔になる、でしょ?」

と見上げた。


蓮は心の中で

「何でだろ…この文月親子の心が透けて見える」

新しい従者はダメなんだな

と突っ込み

「あ、しかし従者が一人付くというシステムなら兼任でも間違いはないと思いますけど」

と告げた。

「俺の最初の望みは貴方が俺と輪廻ちゃんの従者を兼任することです」

不可解な出来事の中に事件や事故などがあった場合治療や医術を必要とする緊急事態があると思うので

「輪廻ちゃんには着いて来てもらうしその時に従者が2人いると邪魔になるので」


冷や汗だらだらである。

口から出まかせも良いところだ、と蓮は蓮自身にビシッと突っ込んだ。


惣は一度目を閉じて数十秒ほどすると目を開け

「前例はありませんが確認を取りましょう」

と告げた。

暫く立ち、不意に視線を蓮に向けると

「探偵の紋章の特別事項に医学の紋章の付随を認める旨が書かれておりました」

承認いたします

と答え

「では私はこちらのアパートの空き部屋に入居し探偵のレベルアップと医学のレベルアップの為に邁進いたします」

と頭を恭しく下げて立ち去った。


隣の部屋でも七尾汎が一礼をして部屋を出て行くのが見えた。

蓮は二人が立ち去るのを確認して隣の部屋へと輪廻を連れて入った。


文月四季に色々聞きたいことがあったからである。

四季はそれに関して短く

「輪廻の母親である霞が色々細工をしたので」

悪いが君は適当に話しを合わせておいてくれ

と言うに留まった。


蓮としては「ハァ」と答えるしかなかったのである。


アパートは3階建てで一階ごとに部屋が3つあり、鷲尾惣と七尾汎は一階に入居した。

鷲尾惣は一階の部屋102号室で七尾汎は一階の入口に近い101号室であった。


蓮と輪廻は201号室。

四季と相羽大事は202号室。

それまで空いていた部屋は蓮の隣の一室だけであったが、気付けばアパートの住人は次々と引越し6人だけの住居となっていたのである。


鷲尾惣が蓮と輪廻の従者となって2日後に『依頼者』と言う人物を連れてきた。

その人物は『早坂さな』と名乗り『ある奇妙な出来事』が続いており、それを解決してほしいと言ってきたのである。


惣は空いている103号室に蓮と輪廻を連れて行き彼女と対面させると

「探偵は依頼を受けて出向き解決をする」

彼女の依頼を解決することでレベルが上がります

と冷静に告げた。


蓮はテーブルと椅子だけがある簡易な部屋の中で

「そう…なんだ」

と答え

「解決…できるんだろうか」

と心の中では戦々恐々としていた。


いわば自分はギフテッドではない。

つまり紋章など本来持てる立場でない一般人なのだ。


しかも低級事務称号のダメダメ人間。

似非紋章持ちなのだ。


『しかも野良紋章ってわけのわからない紋章だしな』

蓮はそう自分で突っ込んだ。


隣に座っていた輪廻は蒼褪めると蓮を見上げ

「落ち着く」

人の話、ちゃんと聞く

と冷静な助言をしたのである。


早坂さなは三人を見て息を吐き出し

「システムに相談したところ…『探偵』の称号を持つ者が解決する内容という回答があり、今日こちらに出向くように連絡がありました」

と告げた。


蓮は頷いて

「なるほど、そうなんですね」

と返し

「それで相談した内容を教えてもらえますか?」

と促した。


探偵レベルがあげられるのか?

初レベリングに乗り出す蓮であった。

最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ