表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/15

4 ミルフィーユは許可する

「「ひいぃっ!!」」

「あらあら、アーモンド公爵令息も、キャンディ伯爵令嬢も顔色が悪いわ。大丈夫?あぁ!でも、大丈夫よね!!だって、貴い血の流れるお貴族さまの子供だものね!!」


 ミルフィーユはパンと手を叩いて、嬉しそうに笑った。そして、今まで散々ミルフィーユの生まれを馬鹿にしてきた貴族の名前を読んでいく。


「キャラメル侯爵子息に、アイスクリーム伯爵令嬢、チョコレート男爵令嬢に、モンブラン公爵令息、イチゴケーキ伯爵令嬢に、フラペチーノ男爵子息。わたくし、これでも一応王族の端くれなの。これまでの暴挙、覚えておいた方がいいわよ?」


 へなへなと崩れ去った貴族を冷たく見下ろしたミルフィーユに、これまでミルフィーユを馬鹿にしていた貴族たちが狼狽え、発狂し、崩れ落ちた。中には失神してしまったご令嬢さえもいる。


「みーちゃん、流石にこれはやりすぎじゃないかな?」

「そんなことないわよ。これくらいしなくちゃ、王族が侮辱されるのは異常事態だってことを愚か者たちに知らしめられないわ。ふふふっ、それにね、わたくし怒っているの。だからね、例え泣いて喚いたって許してあげない」

「あぁー、あぁー、なんてことだ。誰がこの、眠れる獅子を起こすなんて暴挙をしてしまったんだ………」


 額を押さえてうずくまった王太子ルイボスに、ミルフィーユはニコニコと笑った。今までは侯爵夫人の言う通りに大人しくしおらしく、美しいご令嬢を演じていたが、もうその必要はない。よって、ミルフィーユは暴走し放題なのだ。


「みーちゃん、………こんな時だけど、僕の小さい頃からの夢を叶えていい?」


 うずくまったまま顔を覗かせて真っ赤な顔で頼んできたルイボスに、ミルフィーユはキョトンと首を傾げた。なぜ絶対王政を引いているこの国で、王族が他人に許可を取るのだろうか。

 ミルフィーユは必死になって頭を回転させて、1つの答えへと行き着いた。


「? ………あ、そう言うことね!いいわよ!!」

(貴族への罵倒をやってみたかっただなんて、品性方向なルー君らしくないけれど、たまには暴れてもいいと思うのよね!!これでちょっとでも、ルー君のストレスが減ったらいいのだけれど………)

「!? いいの!?本当に!?」


 きらきらとした髪を揺らして、爛々と顔を輝かせるルイボスに、ミルフィーユはこくんと優しい表情で頷いた。


「えぇ」

(無能はちゃーんと心をバッキバキに折って、ゴミ箱に捨てておかないといけないしね)


「じゃあ、遠慮なく。みーちゃん、僕の言葉に『はい!』って元気よくお返事してね」

「? えぇ、分かったわ」


 ルイボスに深い策略があると考えたミルフィーユは、厳かに頷いた。

 ミルフィーユはルイボスのことを心の底から信頼し、信用し、そして大事に思っていたのだ。

 ミルフィーユの頷きをもらったルイボスは、幼い頃の無邪気で元気いっぱいな笑みを浮かべてくしゃっと笑った。ミルフィーユはそんな笑みを見て、久しぶりに彼に初めて出会った日を思い出した。

読んでいただきありがとうございます♪

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ