5話 奏でる戦慄
歩いている途中、どこかの街で一人の少年に会った。少年は一人でいたから私は心配で声をかけた。
「君、一人でどうしたの?」
少年は急に声をかけられたことの驚いていたけど話に答えてくれた。
「今珍しそうな蝶が飛んでいたから探してたの。でもどこかにいちゃった・・・」
「珍しい蝶がいたんだ。それで一人で追いかけてたの?」
そう聞くと少年は元気よく話してくれた。
「そうなの。僕は将来科学者になりたいんだ!そのためにはいろんなことを勉強しなきゃいけないでしょ?だからまずは生き物のことを勉強しようと思っていたの!」
「科学者になれるといいね。」
と私が答えるとうん!って言って元気よく少年は走っていった。私を作ったような人にならないといいな。だけど”最後”にあんな子に会えて良かったな・・・私はそう思って歩いていった。
コンパスの指す方向に何日もかけ、少しずつ歩き続けていると草木で囲ませた場所に遠くに見たことのある建物が見えてきた。近くに近づいてみるとそこは私が訓練させられている時にいた建物だった。だけど様子がおかしかった。前私がいたときよりも、人が異様に少なかった。私は窓に近づいて中を見ようとすると何か話し声が聞こえてきた。
「これで・・つ目の街と国が潰れた。これで全員我々の・・だ。だが我が軍の中の兵が一人逃げたらしい。それも・・・・がだ。始末に行かせた・・・・とも連絡がとれていない。もしかすると我々のことを探してるのかもしれない。特に・・・だけは見つかってはいけない。みな警戒するように。」
この人達はまだ私達に何かを隠していたの!?聞こえなかったけどそれだけは見つかってほしくないみたいだから、中に忍び込んで探して何か突き止めないと悪い事が起こるかも。私は少し慌てながら建物に裏口から入り込み中に入った。中は不思議なことに誰も人がいなかった。前私が居たときとまったく変わってなかったけど私が入ったことのない場所が一箇所だけある。そこには鍵がかかっていて誰も入るところを見たことがない。だから私はそこが怪しいと思い、鍵がかかっている扉に近づいて鍵を銃で撃ち破壊した。私の能力で銃声は抑えてあるから誰にも聞かれていないはず・・・
扉の中に入ってみると研究室らしき大きい部屋に人が一人入りそうなくらい大きい透明の筒の中に何やら透明な液体が入っているものが何個もあった。それらはすべて一台のパソコンに繋がっていた。
パソコンは電源がついたままだった。部屋の中にはここの場所を指していたコンパスと同じようなコンパスがあり、また別の場所を指していた。私はそれをとり、パソコンの中にあったファイルを調べてここで何が行われているのかを調べてみた。そこには・・・・の・・と・の・・なども書いてあった。そして見ているうちにあるものを見つけた。ここでやっていたことと・の・・のことだった。あれが本当だったことにショックを受けてしばらくの間動けなかった。その時部屋の外が騒がしくなった。
「おい!ここの扉が開いてるぞ、誰か中にいる!」
私は焦ってさっきまで見ていたパソコンを開きっぱなしにしたまま扉の近くに居た人をおして逃げ、施設の外に出た。後ろから沢山の人が追いかけてきてたけど振り返らずに走り続けた。顔を見られたかもしれないけどもうあの場所には行かないから大丈夫だと考えた。あの場所で見た内容と歩いてきた疲れが溜まっていたから、追いかけてくる人がもういないことを確認して私は少し休憩をした。
少し時間がたちあの場所で見たことを思い返していた。おそらくあの人達が見てほしくなかったものはあのことでいいのだろう。私達が過ごしていたあの場所であんなことが行われてたなんて信じられなかった。だけど私達がされたことを考えればそうなのかもしれない。私はそこまで考えて”覚悟”を決めた。この争いを止めるために。私は研究室で取ってきたもう一つのコンパスを指す場所を見て重い体を動かしあるき始めた。
まだ私を探している施設の人たちに見つからないよう草に隠れながらあるき続けようとした時、
「おい!見つけたこいつだ!お前らこ、ぐっ」
人に見つかってしまった。私は急いでその人を殴って気絶させた。今回はうまく倒れてくれたけど次があったらまずいかもしれない・・・そう思い私は歩き始めた。
何日かかったかはもうわからない。歩いているうちにコンパスが指している場所にたどり着いた。警備員みたいな人たちもいたけど覚悟を決めた私の前では・・・
「いたぞ!捕まえろ。」
私はその人たちに銃を向けて容赦なく撃った。銃声が静かに響きどんどんと人が倒れていった。緑の草が一面赤色に染まった。私はそんなことも気にかけないで、行く手を阻む人たちがいなくなったら私は銃をおろし建物の中に入った。中にも人がたくさんいた。だけどその人達にも容赦なく銃を乱射し弾がなくなったらナイフで切り裂いた。そして襲ってくる人が誰もいなくなったら建物の中を何があるか探したけど何もなかった。そうしていたらいつの間にか建物の中で一番上の階についた。屋上みたいな場所で開けていてそこには大きなタンクがポツンとあってその前に一人の男の人が立っていた。
「おいお前。どうやってここにきた。下の奴らはどうした。」
私は男がそう言い終わる前にナイフで切りかかった。だけど男はそれを避け私のお腹に蹴りを入れてきた。私は蹴られた勢いで飛ばされた。私が痛みで起き上がれないところに男は言った。
「おい、なぜ無視をする。答えろ。それとも答えたくないのか?」
男はそう言いながら私に銃を向けた。
「そうか。お前も俺と同じなのか。だが反旗を翻してここにやってきたのか。」
私はその質問に何も答えなかった。
「お前はここにあるものが何かわかるか?お前はなぜ力を使わない?」
男はそう言いながらも銃を私に向かって撃ち、私は避けきれずに肩を撃ち抜かれた。肩から鮮血が出てくる。私は仕方なく力を使って方の傷跡を凍らせて血を止めた。私の行動は気にせずに男は続けて言った。
「あきらめろ。お前一人で何もかも止められると思うな。」
私はそう言われたけどそうは思わなかった。なぜなら・・・
「私はあきらめない。そもそも私一人で止める気なんかないの。」
私がそう言うと男は子供に聞かせるように
「どういうことだ?仲間がお前なんかにいるのか?」
と言った。だけど私は答えるよりも先に撃たれていない方の手でナイフを持ち男に切りかかった。男はそれを避けたけど私はその瞬間に力を使い男の動きを止めた。私は力の反動を少し受けて血を吐いた。だけど私はナイフを止めずに男の胸を貫いた。感触などなく一瞬で貫いた。
「グッ、こんなことで俺が攻撃をやめると思っているのか?」
男は血を吐きながらそう言った。だけど私は
「このタンクは何が入っているの?」
と聞いた。そうしたら男は血を吐きながらも素直に答えてくれた。
「その中には少量で国を消せるほどのエネルギーがつまっている。これさえあれば強い脅しにも使えるがそんなことを聞いたってお前に何が出来る?」
答えたところで私には何もできないと思ったのだろうか?私はそれを聞き、やっぱりこれがあの人達のここまでの源だったんだと確信した。だけど男は立ち上がり私に隠し持っていた剣で切りかかってきた。私はそれを持っていたナイフで受け止めたけど短いナイフじゃ衝撃を受けきれずに壁まで飛ばされ背中を思い切りうった。背中をうったせいで体がしびれて思うように動かせない・・・
それにまだ男は動けるの?あんなに傷が深いのに、動けるなんて普通はありえない!私は少し動揺をした。
男は気にしないでそのまま剣で切りかかったけど私は転がるようにしてそこから避けた。私は焦りながらも少しの時間稼ぎのために男に問いかけた。
「あなた達はそのエネルギーを使って一体何をするつもりなの?世界を終わりにでも導くつもり?」
男は動きを止めて馬鹿にしたかのように答えた。
「世界を終わりに導く?そんな事して何になる。それに目的を説明したってお前は理解できないだろうしな。まぁ特別に冥土の土産として聞かせてやる。このエネルギーはここだけじゃなくて他のところにもある。それをすべて使って世界を作り変えるんだよ。そして・・・これ以上は話し過ぎだな。いい夢でも見るんだな。」
そう言い男はものすごい勢いで私に切りかかってきた。だけど男が話している間に私の体はしびれが取れていた。私はそれを避けて男に蹴りを入れた。男はそれでもビクともせず私の蹴りを受けて蹴り返してきた。私は急いで力を使って男の動きを少しだけ止めた。そこ仕留めただけでも反動で血を吐きながらもその蹴りを避けた。
男は私が血を吐いてるのを見て言った。
「お前は無制限に力を使えるわけじゃなさそうだな。だったらお前は俺に勝てない。」
男はそう言いながら私に近づいてきた。だけどそもそも私の狙いは男を倒すことじゃなかった。私は近づいてきた男を殴った。男が急に殴られて防ぎきれずに少し後ろに下がったすきに銃を奪い、倉庫で取っていた起爆剤がない爆弾をばらまいた。
それをみた男は焦り始めた。
「なっ何をする気だ!」
男はそういった。私は冷静に答えた。
「見たらわかるでしょ?」
男は慌てた様子で言った。
「お前もそうしたら生きてはいないぞ!」
私はそんな男が言ってることなどを気にせずに銃を構えた。
「私や雪菜はあなた達に苦しめられてきた。私以外にも私みたいな人を造ったんでしょ?あなた達の都合で造り本人はそれを知らずにいいように使われてた。たとえそれに気づいても他とは違うという苦しみがあるはずなの。あなたはないんだろうけれど私はあったの。だからそれを止めなくちゃならないの!私がこの争いを止める気はないけどあなた達の強みであるこれが一個でも消えたらどうなると思う?ここで私は死ぬかもしれないけど他の人達もいる。ここが消えただけであなた達は警戒して強く動けなくなるでしょうね。そのうちに誰かがあなた達を止めてくれればいいの。」
私が静かにそう言うと男は急いで立ち上がり薙ぎ払うようにしてこっちに剣を振った。男が剣を振り切る前に私はためらわずに銃の引き金を引き爆弾に弾を放った。銃弾が触れた途端爆弾は衝撃に反応して爆発した。爆発の衝撃はエネルギーが入ったタンクにも届きエネルギーはそれに反応するように膨張を始めた。そして一瞬で激しい光を出して私達を衝撃とともに包んだ・・・