表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

絶望日記

作者: たなか

 私は今、自分自身にかつてないほど絶望している。


 始まりは非常に順調だった。

 真っ白な紙の上に無限に広がる可能性を見出だすことができた。誰よりも自由で、斬新で、刺激的で、幻想的なストーリーを紡ぐ自信があった。だが、それこそ幼稚で浅はかで傲慢な夢物語だと気づかされてしまったのだ。


 今では澱んで濁りきった脳内をひたすらかき混ぜ、ごく稀に浮かんでくるアイディアの欠片に卑しく惨めにしがみつくことしかできない。ほんの僅かに鈍く輝いて見えた希望も、数秒後にはメッキが剥がれ、ただのガラクタに過ぎないと悟ることになると知っているのに。


 私は擦り切れるほど使い古されたテンプレを、無知と盲目ゆえに気付かぬまま何度もなぞってきただけだった。凡庸なジェネリックになることを毛嫌いしているくせに、孤独なパイオニアになる勇気も才能も持ち合わせていない。両手で口を塞がなければ、つつがなく過ごす友人への僻みや妬みが際限なく漏れ出してしまいそうだ。


 地道な積み重ねを続ける根性や気力すらない私に、一体何が残されているのだろう。指の隙間からこぼれ落ちていく時間を、為す術もなく怠惰にただ眺めている。


 今、辛うじて綴ることができるのは空虚で救いようのない愚痴だけだ。


 もう、限界なのかもしれない。


(以降、8月31日まで空白)




 先生より


 その日にあったこと、感じたことを素直にそのまま書き留めるのが日記です。1ヶ月分の出来事(物語)を創作しなければいけなくなったのは夏休み終盤まで宿題を放置していたからでしょう。雑に「何もありませんでした」の一文で全て埋めるよりは良いですが、来年はきちんと反省して毎日コツコツ忘れずに書くようにしてください。一番最後の日の文章には、どうしようもない絶望感がよく表れていましたね。


 P.S.

 自分の限界を決めつけることも諦めることもあなたの自由ですが、個人的には些か早計に感じます。宿題の隠蔽工作は推奨しませんが、今回のトラウマとスランプを乗り越えて、もしまた物語を書きたくなったら、いつでも一人の読者としてお待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 実体験?
[良い点] 作家さんの魂の叫びかと思ったら夏休みの宿題かーい!w 担任の先生が素晴らしいです。好き 今年の夏休みも絶好調ですねK君(?)w [一言] 日記や読書感想文の宿題って夏休み中の最大の敵でした…
[良い点] 中途から「あのシリーズ」だなぁと予想はしていたんですが、先生の包容力が回を重ねる毎に(笑) [気になる点] >もしまた物語を書きたくなったら、いつでも一人の読者としてお待ちしています。 […
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ