眠り
「澄んだ水色の魂が見つからないとはどう言う事だ」
明らかに不機嫌だとわかる声が天上に響いた。
「いやその・・・何故か加護の力を感じられなくなって、最近までいた場所はわかってるんですよ。今神託を出して探させていますからしばらくお待ち頂けませんか」
「そんなに悠長に待っている場合ではない。私が与えた加護が感じられない。今すぐその場所を教えろ」
私を連れてきた神様が与えてくれたご加護のおかげで今までは傷を負っても治っていた。
だけど今回は治りが遅く、薄く傷跡が残った。
そしてもう立っている事も辛くとても眠い。
視界はぼやけ、意識は飛び飛びだ。
「だれか、このの死体を街の外に運ぶから手伝え」
「一応まだ生きてるみたいだぜ?」
「見た感じどうせ明日には死ぬ。気にするな」
「「梨乃、梨乃」」
暗闇の先から私を呼ぶ声が聞こえる。
懐かしい人たちの声だ。
私は必死に目を開けた。
「パパ、ママ・・・」
「梨乃、どうしたんだ。怖い夢でも見たのかい?」
私の手を握りながらパパが問いかけてくる。
「うん、怖かった」
「もう大丈夫よ。夢はもう終わり。夕食は梨乃の好きな者を作ってあげるから泣き止みなさい」
パパの後ろに立っているママがいつもの快活な声でそう言った。
「ほんとママ、じゃあハンバーグがいい!」
「そう、じゃあハンバーグに唐揚げも付けるわ」
「やったー!」
「梨乃がやっと笑った」
パパがそう言って笑う。
「パパ、ママ、安心したら眠くなってきちゃった。でも寝るのが少し怖いの」
「大丈夫だよ梨乃、パパが起きるまで手を握っているから。安心して眠りなさい」
「うん、ありがとうパパ」
私はゆっくりまぶたを閉じた。
「おやすみ、澄んだ水色の魂よ」