神具と加護
悪魔どもを駆逐し、ついに災いの世界とつながる場所を守っていた悪魔王と名乗る存在に渾身の攻撃魔法を放った。
「え、神具が・・・」
今までどんなに酷使してもびくともしなかった神具が、この段階できしんだ音を立て始めた。
「お兄さん、銅貨二枚でいいよ」
「二人で二枚なら使ってやるよ」
「・・・お願いします」
あと少しで三年がたつはず。
あの神様はきっと約束通り迎えに来てくれる。
帰りたい・・・
私は意識を殺して路地裏にお客を案内した。
いかにも柄の悪い二人だったが客を選ぶ権利など私にはない。
「さっさと壁に手をつきな」
そう言われて粗末な布をめくり壁に手をついた。
痛さも不快感ももう慣れた。
生きるためにはお金がいる。
私がいた街に悪魔が攻めてきて、街中の人がちりぢりになって逃げ出したので奴隷のような状態からは解放されたけど、魔石も手に職もない私には他に食料を得る方法がない。
「ご利用ありがとうございました。お代をお願いいたします」
私は頭を深く下げ両手を器のようにして前に突き出した。
「ああ、これが料金だ。受け取りな」
視界の隅に光る物が映ったすぐ後、お腹に激痛が走った。
視界がくるくると回り、地面を見ていた私はいつの間にか空を見上げていた。
そして見えるのは血の付いた刃物を持った男・・・