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第8話  樹

よろしくお願いします。







瑠璃との勝負から今日で十日が過ぎ、その間学校や市役所に行って手続きをしたりして、これで書類上でも私は女性となったし、内面においてもあの日から私は色々な意味で変わった。と思う。あの日を境に今まであまり関心を持たなかったファッションや歌と化粧などに対して興味を持ち始め、自分でやや離れたデパートとショッピングモールに行って、色々見たり、買ったりした。歌とかも聞くようになったけど、元がポップス?ジャズ?なにそれ美味しいの?な感じなわけだから、聞くようになったって言っても普通の人くらいか、それより少ないくらいしか聞いてない。化粧に関しては、知識もほとんどないので、お母さんに色々教わった。私としてはただ単に興味が沸いたからやってみようと思ってやり始めたことだったけど、家族からはどうやらそうとは見られず、妹にTSのストレスによって性格や精神に異常を及ぼしたと思われ、昨日、病院に連れて行かれたくらいだ。そして病院の先生が言うにはTSによって嗜好がやや変わることがあるから、多分その影響だと言われた。特に問題もなかったけど、TSしてからある程度の期間も経ったので、カウンセリングと簡単な検査を受けた。病院を出た後は瑠璃とかき氷食べに行って、そこでクラスメイトにばったり会ったりと、豊富な一日だったので、明日はずっと部屋の中でだらだらしようと決め、ベッドに入ったが、そこでまだあいつにTSしたことを伝えてないのを思い出して、ちょっと鬱な気分になった。


そして、今日・・・・・








「はぁ~」


「・・・どうしたの?お姉さん。」


「いや、あいつにメールと電話どっちの方がいいかなって。」


あいつにどう告げればいいのか、メールと電話のどっちで伝えようかと悩んでいる。本心を言えばメールで呼び出して、ここで伝えたいのだが・・・・・。


「家に呼べばいいじゃん。」


「やっぱりそう?」


「うん。私もいるし、手助けもできるでしょう?それに、お姉さんが言うあいつって(いつき)兄ぃのことだよね?」


「うん。」


「なら、家に呼んでも全然平気じゃん。昔からよく遊びに来てたじゃん。」


「うーん。・・・・わかった。家に呼ぶわ。」


「私も一緒にいるから、心配しないでね?」


「うん。ありがと」



樹には時間あるなら家に来てとメールしたら、すぐに返信が来たので、慌てて画面を見た。

『わかった。20分後に着く』


「・・・・えっ」


「どうしたの?これないの?」


「・・・二十分後に着くって。」


「・・うちの道場に通うくらいだから、近いのは当然でしょう?」


・・・完全に忘れてたけど、樹の家とうちは自転車でも二十くらいでつく距離だった


「時間もないから、ボーとしてないで何をどう話すかもう一度確認しよう。」


「う、うん。」


と、いってもなぁ。ラノベみたいに勝負してから云々だったからめんどくさいな。そうなったら無理。樹は高校に入ってからも道場に通い続けてるけど、私は三か月前にやめてから月に二、三回道場の休館日に一時間少々動かすだけだ。それに、元々私の方が上手だけど、今の私は女性だから力では絶対に敵わない。瑠璃にだって負けたのに。だから、もし勝負しろと言われたら困る。だから、樹と私でしか知らないことを言って、信じさせることにした。







それから大体二十分くらい後に家のベルが鳴ったので、事前に決めた通りに妹が出迎えに出てった。私はここで待機して、樹を待つことにしている。いきなり私が出て行ったら、多分びっくりしてしまうかもしれない。びっくりだけで済めば、それはそれでありがたいものだが・・・・・



「失礼しまーす。」


来た。うぅ・・・


ペタペタとスリッパを履いた二人の足音が段々と近づいてきて、ついにリビングのドアが開いた。


「連れてきたよー。お姉さん」

まず、瑠璃が入ってきて、その後ろから樹が続いて入ってきた。


「よっ、凛。来たぞ。」


「う、うん。いらっしゃい」


樹は入ってきて、そのまま瑠璃と一緒にソファーに腰かけた。あんまりにも普通すぎて、私の方がびっくりした。というか何も思わないのか?髪の長さだったり、声だったり、胸だったり・・・・


「ふ~。やっぱ凛の家のソファーはいいね。」


「え?あ、うん。ありがと」


「ところでさ、わざわざお前の家じゃないと話せないことなんだ?困ったこととかだったら遠慮なくいってくれよな。」


なんで、私が家に呼ぶが私が困ってるがイコールなのかはしらないけど、樹なりの気遣いだろう。


「ありがとね、樹」


「遠慮すんな。」

・・・・・目を見て話してるのに何も気づかないとは、いったい樹はどれほど鈍いのだろう?いや、それはいい。まずは言わないと。


「それでね、実は・・・・・」


「うん」


「性転換現象で女の子になったの。」


「・・・・・・・」


言えたけど、樹から反応がない。冗談だと思って怒ってるのかな?って思って樹に近づいて行ってみると、いつぞやの瑠璃みたいフリーズしてた。


え?


「ちょ、樹!?」


「え!いや、え?性転換現象って。え?」


体をユサユサしながら声かけたら意識は戻ったみたいだけど、思考がまだ上の空みたい。なので頭をホールドしてから目を見て言った。


「そう。私がTSしたの。それと、一回落ち着きなさい。」


「う、うん。わかった。」


とりあえず落ち着いたから続きを話すことにしよう。


「それで、今これを知ってるのはうちの家族と学校の教員くらいなんだ。クラスの人たちには休み明けの日に先生から伝える予定だけど、樹には早く言いたかったから家に呼んだの。」


病院と市役所の人たちも知ってるけどあまり関係ない。今は樹に納得してもらうことが優先。


「そ、そうなんだ。」


「本当だよ樹兄ぃ。嘘はついてない」


妹も援護射撃したけど、効果がいまいちな気もしなくはない。


「うーーーーん」


腕を胸の前で組んで唸りだした。今度はいつぞやのお母さんみたいな反応だ。


「信じてもらえないのなら、私と樹でしか知らないことを言おうか?」


手段はそれくらいしかないだろうし。


「うーん。じゃーさ。俺が最後にお前と勝負した後に、お前と何を話したか覚えてるか?」


あー。たしか道場をやめる話をしたら、私が勝てばやめてもいいけど、負ければ続けろってという条件で始めた勝負か。結果は私が樹の鳩尾にクリティカルして勝ったっけ?勝負には師範の祖父もいたけど、そのあと二人で思い出話をしていたな。それ以外に確か・・・・


「思い出話。小学校から高一までの勝敗や学校の思い出とか。あと樹が好きな人の話もしたかな?」


「う、うん。正解。じゃー。うーん。」


二人っきりの時間は多かったのに思い出に残ることがあんまりないのかな?それだったら寂しいかな。


「うーん。いや、実は今ので大体は信じたけどさ・・」


「そうなの?」


「今ので?」


私も瑠璃もやや驚いて、樹に聞いた。


「うん。だって、凛が懐かしそうだったから。」


話自体よりも私の表情で判断したのか。


「そうなんだ。じゃ、あとなにが足りないの?大体ってことはあと何かたりないってことでしょう?」


「うん。・・・理性ではわかってるけど、凛が女になったってのがすこし受け入れられなくて。」


感情か・・・それは私でもどうにもできないことだ。少しずつ受け入れるしかないだろう。でも、ほったらかしにして、長く関係がぎこちなくなるのも嫌だな。

そうだ、一緒にいる時間を増やせば自然と女の私が凛だと認識してもらえるはず。


「だったら、一緒にいる時間を増やそう。」


「え?」

(๑•̀ㅂ•́)و✧


次話は明後日投下します。






「思い出話。小学校から中二までのーー」の部分を高一までに変更しました。

 7/11


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