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第19話  学校へ

頑張りました。長めです(当社比)

あれから一か月。毎日が灰色。・・・・・・・・なんてことはなく、普通にオンラインで授業に参加している。


というのも私本人がもう現状を受け入れているのに、脳が勝手にバグを起こしてパニックになったからだ。勝手に処理ミスして勝手にパニック。


担当医も私がパニック状態に陥ったと聞いたときは、別の同姓同名のTS患者かと思ったほどだった。違和感を感じることはあっても、パニックに陥るとは思いもよらなかったらしい。


日常生活においてストレスと感じることも、身体的な障害も一切ない。パニックとなる要素が一つもないのだ。


ただ、なったものは二度とならない保証はないので、今はオンラインで授業に参加している。両親も海外から帰国して、家からテレワークしながら、私に付き添っている。瑠璃は学校があるからもう家にはいないけど、樹も毎日見舞いに来てくれている。もうこのままでいいでは?なんて思ったりしたけど、このまま終わるとクラスメイト達にも将来に渡って気を使わせてしまう。


だから今週の日曜日に登校して、学校を一回りする予定。前回は現在の女である自分が、男だった自分の席に座ると、同じ自分であるにもかかわらず、性別が、体が違う。じゃ、自分は誰?という流れでパニックになった。自分はもう受け入れたのに、脳の処理が追い付いてないからなったんじゃないかと担当医が言っていた。


慣らすために、週末登校して、大丈夫そうなら翌日の一限だけ授業に参加する。


・・・・・・・・担任になにか持って行った方がいいかな?いや、でも余計気を使わせちゃ嫌だし・・・・・・・・口頭で謝罪するくらいにしよう。そっちの方がいい。うん。


「(り〜ん。彼氏さん来たわよぉ。降りてきてぇ)」


「だからっ!!彼氏じゃないってっ!!!何度もっ!!言ってるでしょうっ!!!」


毎日のように見舞いに来るの樹の事を両親は勝手に彼氏認定して、毎回私の事を揶揄う。もう、二週間前からずっと・・・・・・・・・。ていうか、関係性知っている両親からもそう思われるって、そんなに私、樹にべったりのように見えるのか?


「今行くよぉっ!!」


かと言って、この距離感を変えようとは思はないけどね。











          ◇











週末、私だけの登校日・・・・・・・・





















なはずはもちろんなく、部活生で平日の放課後と変わらない賑わいを見せている。そして・・・・


「ん?どうした?凜」


「ううん。大丈夫だよ」


樹もついてきている。元々は両親と来る予定だったのが、樹がついてくると知った後に揃いに揃って会議があるって予定を変更した。・・・・・・・・もう、どうでもいいや。


担任の先生もついてくるし、担当医もわざわざ学校にまで来てくれている。何が起きてもすぐに対処はできる。


予定としては使った事のある施設、設備をすべて回って、実際に触ったり精神状態をその都度担当医に話すことになっている。何がトリガーとなるかはわからない以上を総当たりでいくしかない。担当医はもちろん難色を示したが、両親も一緒についてくることで同意してくれた。


「二年L組の雨月です」


「(どうぞ入って)」


「失礼します」


医務室で待機してた先生と担当医に合流して、入学以来となる校内探検。どうなるかわからない分、割と本当に探検なのがすこし心懸かりだけど、まぁ大丈夫しょう。多分。メイビー。











          ◇











「問題、なさそうですね。これでしたら、明日からでも登校しても大丈夫だとおもいますよ」


「そうですか。ありがとうございます」


はい。校内探検から医務室に戻ってきました。


本当ね、アレは何だったんだよってくらい何もなかった。パニックの前兆どころか、違和感さえ一つもない。


「まぁ、二か月たったわけわけですし、精神が肉体に大分慣れたのでしょう。もうパニックになることはないと思います」


「確かに、ここ二週間で物を取るときで空振ることもなくなりました」


「それはよかったです。おそらくですが、前回は時期が少し早く、それで精神と肉体の間の乖離によってパニックになったんだとおもいます」


「そうなんですか。一応、ほかに気を付けた方がいいことってありますか?」


そう担当医に話すと一瞬時間おいてから先生と樹を医務室から追い出した。


「えっと?先生?」


「まだまだ先の事になるとは思うけど、一応ね。外国の例なんだけどね・・・・・・・・」


「は、はい」


「・・・・妊娠した時も気を付けた方がいいよ」


「・・・・はい?」


な、なにを言っているんだこのおばはんは!!!


「妊娠期間中って精神がかなり不安定になるから、それで再び精神と肉体の間で乖離が起こることがあるみたいで。だから、懐妊中はパートナーとずっと一緒にいた方が安全よ」


「は、はぁ。ところで、なんで私にそんな話を?」


「え?」


「え?」


え?じゃないでしょう。何言っているの貴女って顔されても、わけわからないよ。


「あの男の子、君の恋人じゃないの?」


・・・・・・・・。


「・・・・・・・・チガイマス」


「・・・・本気??」


「えっと・・・・何がでしょうか」


「貴女と彼の距離感、長年連れ添ってきた夫婦みたいだったわよ。それに」


「先生、ひとついいですか?」


「え、えぇ」


まだ何かを言いおうとしているみたいだけど、どうしても気になっていることを私は聞いた。


「・・・・数時間しか一緒に行動しなかった先生からもそう見えるのですか?」


樹と一緒に行動しているところをこの先生はまだ数時間しか観察していない。どこにそう思われる要素があるのか全く理解できない。


「そうね・・・・・・・・相手の事を心から信頼していなけば、許さないことを許しているし、距離感も恋人同士のソレだったわ。男性TS患者も女性TS患者も、パーソナルスペースだけはTS前と変わらないことが多いんだけど、担任の先生と私に対してはしっかりとしてパーソナルスペースを持っているのに、彼に対してはゼロよゼロ。それに、今日は両親と一緒に来てと言ったのは、両親がもっとも心を開いている相手だから、安心するから来てほしかったのよ。それが、両親じゃなく、男。しかも両親も電話で代わりに彼氏が行くからって言ってたからてっきり許婚くらいの関係性だと思ったわ」


い、許嫁!?彼氏彼女ではなく結婚前提の関係性だと思われてたの!?!?ていうか、パパママ、他人になんてことを話しているの!?!?!?!?



「えーと、彼とは幼馴染ですので、それで近いように見えるのだと思います。はい。それに、TSしてからまだ2ヶ月しか経ってないんですよ?許婚なんているはずないじゃないですか」


「・・・・貴女がそう言うなら、そういうことにしましょう」


「は、はい」


「・・・・ひとまず、登校することに関してはもう問題はないはずよ。何か違和感を感じることがあったら、病院まで来てね」


「あ、はい。わかりました。本当に、学校まで来ていただいて、ありがとうございます。」


「いいよ、いいよ。医者としてできることをしただけよ。それじゃ、私はもう帰るから、あとは担任の先生と話して」


「はい」


「あ、そうだ、そうだ。ごめんなさい。一つ忘れてました」


「あ、はい。なんでしょ??」


まだ、何かあったっけ??


「さっきの妊娠の話じゃないけど、生理も気を付けた方がいい」


「生理ですか?」


「えぇ。まだ四ヶ月先になると思うけど、先手先手に準備をした方がいいからね。」


「わかりました」


「じゃ、私はこれで」


「はい。ありがとうございました」


そう挨拶を交わして、担任と樹と入れ替わるように医務室から出ていった。


その後は担任と話して、登校日を明後日にしてもらい、帰宅。


途中、樹とファストフード店で夕食をとったが、担当医の話がチラチラと頭に顔を覗かせては、私の情緒をぐちゃぐちゃにしてきた。



読んでいただきありがとうございます。


次話は未定です(Déjà Vu)

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